試合結果

2021.07.29

7月28日試合結果/リポート

7月28日試合結果/リポート

 天龍プロジェクト presents『SURVIVE THE REVOLUTION Vol.7』

7月28日(水) 東京・新木場1st RING 
新型コロナウイルス禍にあり、出場予定選手の感染、濃厚接触者が頻発したことにより、前夜に対戦カードの大幅変更という大混乱の中、恒例の新木場大会は9団体、フリー選手の総勢18選手が参加して開催。メインイベントには「世界一性格の悪い」と評判の鈴木みのるが満を持して新生・天龍プロジェクト初参戦。異例の3本勝負で争われた6人タッグ戦にて、敵味方と天龍源一郎をも標的に縦横無尽&無差別に毒をまき散らし、各選手に強い刺激を与える劇薬ぶりを見せた。またIJ王座次期挑戦権をめぐる戦いは、タッグ結成の予定から一転して、王者・HUBから「査定」を言い渡されていた拳剛とTORUが一騎打ち。何度となく両者がダウンする大激闘の末、TORUを下した拳剛が決意の「HUB狩り」を誓った――。
【各試合リポート】

タッグマッチ(30分1本勝負)

 田村 男児            LEONA
〇本田 竜輝     vs      青柳 亮生×
【10分11秒 ジャーマン・スープレックスホールド】
全日本プロレスの若手3選手にドラディション所属のLEONAが混ざってのタッグ戦。28歳になったばかりのLEONAにとって、敵も味方も「全員が年下」という珍しい組み合わせになった。序盤からヘッドロックで絞り合い、意地を張り合う中、田村がパワースラム、本田が豪快なブレーンバスターでLEONAを叩きつければ、LEONAは北斗原爆を狙う本田に、慌てず腰を落としたネックロックで防御。キャリアの差を見せた。
軽やかな空中戦に勝機を見出す青柳が同門をかく乱する中、LEONAは田村にドラゴンスクリューを見舞い勝負をかけたが、飛び出した本田が強烈なスピアーで軽量の青柳を吹き飛ばし、そのまま脳天からマットに突き刺すような急角度のジャーマンスープレックスで3カウントを奪った。
【田村男児コメント】
LEONAさんとは初対決だったんですけど、少ない時間でしか攻防できなかった。もっと戦いたい。最後、ドラゴンスクリューを喰らったので、それが悔しいです。
【本田竜輝コメント】
天龍プロジェクトさんに初参戦させていただいたんですけど、第1試合からしっかりと勝つことができました。もっともっと経験積んで力をつけた時に、また呼んでいただけるよう頑張ります。
【LEONAコメント】
天龍プロジェクトに来て、これだけ同世代に囲まれてやる試合は初めて。まず試合に負けた悔しさ……相手の選手、顔も名前も絶対に忘れません。同世代と戦いたいという気持ちが、ボクの中であふれ出たような気がします。
【青柳亮生コメント】
初・天龍プロジェクト、ありがとうございます。いきなり負けちゃって悔しいんで、次回があれば、ぜひ、またやりたい。

②タッグマッチ(30分1本勝負)

 新井健一郎           菊タロー
〇翔   太     vs     SUSHI×
【11分42秒 横入り式エビ固め】
年齢差16の新井と翔太による「ハッとしてGood(以下、HG)」は、6月23日に第19代IJタッグ王者となってから天プロ初見参。コミカル路線の第一人者・菊タロー&SUSHIと対戦した。チャンピオンベルトを手に勢いづくHGに対して、菊タローは流れるようなアームドラッグから2人をコントロールしつつナックルパート、ブルドッキングヘッドロックとネックブリーカードロップの複合技、ファルコンアローなど、まさかの無双っぷり。
HGはSUSHIを捕獲して、手の平を踏み潰すなど、えげつない攻撃で流れを断ち切ると、スクールボーイからのカウント2連発で、覆面戦士のスタミナを奪う。新井がSUSHIにパンチ田原レフェリーの死角を突いたサミングを見舞うや、小柄な翔太がスライディング気味のスクールボーイで3カウント奪取。HGが勢いの差を見せつけた。
【新井健一郎&翔太コメント】
翔太 ハッとしてGood、何度も戦って、何度も結果を残してきましけど、IJタッグチャンピオンとして、この1勝。勝ってスタートしたのは実に丁々発止~! 最高の発進だったんじゃないですか? 新井さん。
新井 まっ、まあ…そうやな。オレらって、かつて他のタッグベルトも巻いてたけどさ、ベルトかかっている時の試合だけ勝てばいい、普段の試合はコロッと負けてもいいんだって思ってたけどよ、このベルト持っていると、そうはいかないね。最後はドラゲーにはないような、強烈なクローズライン喰って泡食ったけど、最後はさすがだったね。
翔太 タッグチャンピオンとしての威厳のある、実に強さを見せつける勝ち方ですよね。我々だからこそできる、タッグの勝ち方で、これからもIJ(タッグ王座)のベルトを守って、愛し愛され、やってやるよ~!
新井 そ…そうやな。

③30分1本勝負

〇進 祐哉   vs   平田 智也×
【9分32秒 高角度前方回転エビ固め】
FREEDOMS期待の新鋭・平田智也が初参戦。同門の進祐哉と初となる一騎打ちを行った。生粋のヘビー級(103kg)である平田が、ゴングと同時に約30kgの体重差を武器に、進を一方的に攻撃。
平田に丸太のような腕で殴られ、叩きつけられ、怪力とともに万力のようなヘッドロックで絞り上げられた進は、ひたすら耐え抜き、反撃のタイミングをうかがう。5分過ぎ、平田の全体重を浴びせた水車落としに青息吐息となりピンチに陥るも、鋭いソバットを腹部に突き刺すと、前かがみとなった平田にひょいと飛び乗り、ウラカン・ラナ(高角度前方回転エビ固め)で平田の巨体を丸め込み、3カウントを奪取した。
【平田智也コメント】
進さんとの初シングル(戦)、押していたんですけど、うまいことやられちゃって、経験の差が出ちゃいました。今日は初めて天龍プロジェクトさんに出させていただきました。機会があれば、次の大会も出たいです。

④45分1本勝負

〇拳  剛   vs   TORU×
【17分57秒 垂直落下式ブレーンバスター ⇒ エビ固め】
本来ならば、IJ王者・HUBによる「査定試合」として、ともに次期挑戦者の座を狙う拳剛とTORUがタッグを組み、HUBと、HUBが「大阪からイキのいい奴を連れてくる」と語っていたエイサー8(沖縄プロレス)とのタッグ戦が行われる予定だった。だが新型コロナ禍による対戦カード直前変更により、拳剛とTORUが直接対決することに。正式に銘打たれてこそいないが、事実上の「IJ王座・次期挑戦者決定戦」となった。
スタミナ温存など頭にない両者はゴングと同時にフルスロットルで衝突。寝技あり、飛び技あり、場外戦ありの激しい攻防が続く。ポーカーフェイスを装いつつ、TORUは拳剛の両足をセカンドロープに固定しつつ「がぶり」の状態からスクリュー式DDT、クォーターネルソンからヒザで頸動脈を圧迫して悶絶させるなど、えげつない攻撃で拳剛の体力を奪い取る。
拳剛もニーリフト、串刺しドロップキック、バタフライロックで反撃するが、TORUはフットスタンプ、下半身を固定しつつ上半身をねじり切るようなコブラツイストなど拷問技の波状攻撃。頭突き合戦で意地をぶつけ合いつつ、「まだまだだ!」と絶叫した拳剛は、鉄拳、ケンカキック、延髄斬りの後、低空の高速バックドロップ3連発。お互いに手の内を知り尽くしているだけに、どの攻撃もフェイントとカウンターギリギリのタイミングで決まり、両者のダメージは深まるばかり。
TORUは拳剛の延髄にヒザを落とす非情ぶりを見せたが、眼光鋭く立ち上がった拳剛はフットスタンプ、脳天から突き刺すような垂直落下式のブレーンバスターでTORUを叩きつけて3カウント奪取。試合後しばらくは大の字となり立ち上がれなかった両者だが、最後は抱き合いノーサイドの握手を交わした。
【拳剛コメント】
まず、もともと決まってたカードが、凄い期待してもらってたりとか、楽しみにしてるっていう声も結構……すんません(涙)。こんな状況になってもうて、まずファンには申し訳なかったな。だけど、こんな緊急事態こそプラスに考え、臨機応変にどんな相手とでも戦うのがプロや。逆にこんな状況になって、今のオレは最強やなと感じた。オレの痛めている首をあそこまで攻めてきましたんで、そこまで徹底して勝ちたいTORUの気持ちも伝わってきた。ここで負けたら今までと一緒やからな。オレは常に進化していきたいんで、今日は負けるわけにはいかなかった。オレが思う「天プロ最強」であるTORUに勝ったんで、こちらからアクション起こさんでも満場一致でIJ選手権の次期挑戦者はオレでしょう。HUB、(タイトル戦当日まで)ケガすんなよ!
【HUBコメント】
(査定試合が流れたこと)メチャクチャ残念でした。オレが連れてくる予定だったエイサー8が、実は拳剛と同級生ってのを知ってたんで、それでその2人の試合を特等席で見れると思ったんですけどね。あとTORUとエイサー8が、大阪で凄い試合をしていたらしいんですよ。そのからみも生で見れるかなと期待していた。今日の拳剛とTORUの試合は、メイン出場が控えてましたけど、やっぱりチラチラとのぞいていました。拳剛は動きも良かったし、ノリに乗っている感じ。間違いなく(次期挑戦者は)拳剛です。技術的に似ているような感じを受けたので、ちょっとタイミングをズラしつつ、自分のタイミングで勝負を賭けたいと思います。

⑤6人タッグマッチ(60分3本勝負)

 鈴木 みのる         河野 真幸
〇MAZADA   2ー1   H U B×
 佐藤 光留          矢野 啓太
 
① 〇佐藤 【10分14秒 腕ひしぎ十字固め】 矢野×
② ×佐藤 【10分4秒 ゆりかもめ】 矢野〇
③ 〇鈴木 【9分33秒 ゴッチ式パイルドライバー ⇒ 体固め】 矢野×
東京愚連隊のMAZADA、パンクラスMISSIONで子分扱いする佐藤光留を引き連れ新生・天プロに初登場した鈴木みのるを迎え撃つのは、河野真幸、HUB、そして普段の怪奇派ムードを脱ぎ捨て、昭和期のアマチュアレスリング選手の赤いユニフォーム(通称・吊りパン)姿で登場し、さらに不気味さを増した矢野啓太だった。
試合は近年のマット界では絶滅しつつある「3本勝負」を採用。これは嶋田紋奈代表による「やっぱり天龍源一郎のいる場所ですから、いろんなことを今の選手たちに感じてもらいたい」との願いから導入された。
HUBの頭部についた尻尾(?)を見るや「反則だろ、おい」と、大声でパンチ田原レフェリーに抗議しつつ会場を支配した鈴木は、大型の河野を挑発しつつ場外乱戦。イスを振り上げ、セコンド業務にあたっていた全日プロの若手選手を殴り飛ばすなどやりたい放題。リング内では佐藤と矢野が高度で細かい関節技の攻防を見せていたが、鈴木は「てめぇ、折れてもいいから返せよ!」と佐藤に脅迫という名のゲキを飛ばす。背中に突き刺さる鈴木の鬼ゲキに恐怖を感じ取った佐藤は、腕と同時に足をも巻き込みつつ左腕を取る腕ひしぎ十字固めで矢野からギブアップを奪った。
2本目に突入も、高度な技の攻防を見せる後輩とは裏腹に鈴木は喧嘩腰で河野を挑発し続け、今度はそのスキに矢野が長いリーチを活かした秘技「ゆりかもめ」で佐藤にからみつき一本! 試合を1対1のイーブンに戻す。
3本目に入り火がついた模様の鈴木は、HUBの振り回す尻尾を軽やかに避けてバックに回りスリーパー。MAZADAがスピーディーかつ安定感のあるジャベを披露した後、またもや意地を張り合う佐藤と矢野は、リング中央で頭突き合戦。座った状態でなおも睨み合いゴツンゴツンと頭をぶつけ合った後、佐藤がハイキック矢野をダウンさせる。
お膳立てが整い、登場してきた鈴木は、佐藤とMAZADAに河野とHUB捕獲を命じると、弱った矢野の背後にタックルで回り込みとスリーパーで落とすと見せかけ、そのまま余裕たっぷりにゴッチ式パイルドライバーで矢野を脳天からマットに突き刺し3カウント。混乱するリング内、そしてリングサイドを一瞥すると、さっさとバックステージへと姿を消した。
【鈴木みのるコメント】
「天龍プロジェクトに参戦させていただき、ありがとうございました」とか「出させていただいて光栄です」とか言ってやがるクソ野郎どもがいっぱいいたな。馬っ鹿じゃねえの? ハッハハ。天龍プロジェクトって何? 天龍源一郎が余ったお金でお年玉くれる会社なのかよ? 違うだろ。あのジジイが、あのクソジジイが作ってきたプロレス、お前ら感じろってことじゃねえの? 何が「ありがとう」だよ馬鹿。なんで誰一人として、天龍源一郎に喰いつかねえんだよ。オレには天龍プロジェクトに関して、何の権限もねえけどよ、「プロレス界の王様」という権限があるんだよ。お前ら全員クビだ。出直してこい!
【佐藤光留コメント】
(控室に張られた天龍プロジェクトポスターの矢野啓太の写真をちぎり取りつつ)これだけだよ。これが新しい天龍プロジェクトのポスターだよ。ここに矢野啓太なんかいねえんだよ。もう。矢野啓太のプロレスは死んだんだよ。でもな、佐藤光留のプロレスは生きてるんだよ。ただ、必要とされていないだけだ。

【天龍源一郎の眼】

どうよ? 天プロ、見た? 凄いよ本当に。自分で見てて、何だか感極まるものがあった。鈴木みのるは変わってないよ。髙山善廣選手やオレと新日プロで戦っていた時と何ら変わらない。彼が出ることによって、今まで天プロに出てくれていた人たちも刺激を受けて、プロレスの勉強になったと思うよ。佐藤光留選手とかもそうだけど、やっぱり力量のある人はそうなるんだよな。あの小っちゃくても頑張っている矢野(啓太)もそうだ。爪楊枝のように痩せてはいるけど、爪楊枝だって歯茎に刺さると痛いからね(笑)。3本勝負中、2本は矢野が取られてしまったけど、矢野も得るモノが大きかったと思う。これから楽しみですよ。
セミファイナル(拳剛vsTORUの盛り上がりを)見て、メインどうなるのかな?と思ったけど、メインはメインでしっかり締めてくれましたね。3本勝負で1勝1敗になったところで、やっぱり鈴木組に火が点いたっていうのかな? 「3本勝負」の採用で結果的には腹いっぱいのプロレスを見せられたって満足感はありますよ。久々に「腹いっぱい」のプロレスを見せてもらった。
ありがたいよ。この心意気で天プロに上がってくれるレスラーの人に対してな。
(対戦カードの直前変更などもありつつ)それを、みんなが意気に感じてくれ、爆発的な力を出してくれたっていうのが、嬉しいことですよ。本当にしつこいようだけど、「見たか天プロ」って大きな声で言いたい。
それと同時にプロレスの団体を持っているヨソの人たちはね、コロナ禍の中で、選手をいかに予防的に守っていくのか?ってことを声を大にして言いたい。紋奈代表がリング上でいみじくも言ってたけど、自分とこの興行だけやって、終わったら知らんぷりしてるってんじゃ、あまりにもレスラーが惨めだよ。こんだけリングの中で戦ってさ。だから最低限の予防とか、プロテクトはしてやらないと、レスラーが浮かばれないよ。この職業がな。