試合結果
2021.07.08
7月7日試合結果/リポート
天龍プロジェクト presents『SURVIVE THE REVOLUTION Vol.6』
7月7日(水) 東京・新木場1st RING 大会リポート&試合結果
七夕に開催の新木場大会は国内10団体とフリー選手、計16選手が参戦。新生・天龍プロジェクト、シングル戦線の柱なるために8年ぶりに復活を遂げたIJ(インターナショナル・ジュニアヘビー級)選手権の第21代王者・HUB(フリー)の初防衛戦が行われ、関節技とクラッチ技の切れ味が光る矢野啓太(プロレスリング・ワラビー)の挑戦を退けて同王座のV1に成功した。次々と繰り出される魔術師・矢野の秘術に苦しみつつチャンピオンベルトを死守したHUBだったが、試合後には早速、拳剛とTORUに挑戦状を叩きつけられる。HUBは挑戦の条件として2人に、次回の新木場大会(7月28日)にてタッグ結成を命じ、そこで自分と戦い、「より王者の心に響いた選手」を挑戦者に選ぶことを宣言した――。
【各試合リポート】
①30分1本勝負
〇田村男児 VS 吉田和正×
【8:43 逆エビ固め】
②タッグマッチ(30分1本勝負)
〇菊タロー リッキー・フジ
SUSHI VS 太陽塔仮面×
【14分19秒 シャイニングウィザード ⇒ 片エビ固め】
コミカルな覆面3選手に、ベテランのリッキー・フジを加えたタッグ戦。SUSHIのラクダ固めに「腰痛持ちなんで、腰(への攻撃)は止めて下さい」と懇願しつつ自ら弱点を相手チームに教えてしまった太陽塔仮面は、さらにブレーンバスターで叩きつけられ、試合中に泣き出し、子どものケンカのような展開に…。菊タローは試合中に「ギブアップ!」を連呼し、レフェリーを混乱させれば、リッキーは尻出しパフォーマンスで観客席をパニックに陥れる。最後は武藤敬司が憑依した菊タローが、ドラゴンスクリューからま必殺シャイニングウィザードで太陽塔仮面からフォール勝ちし「人類の進歩と調和」を証明した。
③30分1本勝負
〇佐藤光留 VS LEONA×
【12分14秒 捕獲式腕ひしぎ十字固め】
佐藤の蹴り足をキャッチしつつ、コーナーに押し込みつつクォーターネルソンで圧をかけたLEONAだったが、寝技で簡単に逆転した佐藤はアキレス腱固めの激痛でLEONAを絶叫させる。ネックシザースからのクルック・ヘッドシザース移行で対抗したLEONAだったが、佐藤は再びアキレス腱固めで下肢破壊を狙う。LEONAをエルボーをあえて避けずに受けまくった佐藤は、同じくエルボーを見舞った後、ハリ手、頭突き、髪をワシ掴みにしての頭突きでLEONAの怒りをムキ出しにすべく挑発。
佐藤の蹴り足をキャッチしたLEONAはドラゴンスクリュー、人間風車、足4の字固めで攻め込む。だが無表情なままブレーンバスターを切り返した佐藤は、ワキ固め→逆十字固め→アンクルホールドと巧みにフェイントを織り交ぜ、捕獲式の腕ひしぎ十字固めでギブアップを奪った。
試合後の佐藤は「(LEONAは)今までいろんな人に、色んなことを言われていたから、それを確かめにいったんですけどね。でもまあ、その通りでした。百聞は一見にナンタラだな…と。(現状を)ブチ破ろうという気持ちはあると思う。だけどブチ破ろうとする環境にはないと思う」と手厳しくコメントしていた。
④6人タッグマッチ(30分1本勝負)
△新井健一郎 進 祐哉△
佐藤 耕平 VS TORU
河野 真幸 拳 剛
【11分35秒 監獄固めを仕掛ける進を新井が首固めに丸め込み、両者の肩が同時に ⇒ ダブルフォール】
延長戦(10分1本勝負)
新井健一郎 進 祐哉
佐藤 耕平 VS TORU
△河野 真幸 拳 剛△
【時間切れ引き分け】
前回の新木場大会(6月23日)にて、復活IJタッグ王者となった新井(パートナーは翔太)がヘビー級の佐藤耕平、河野真幸を引き連れ、天龍プロのジュニア戦線を引っ張るトリオ(進&TORU&拳剛)と対戦。ジュニアトリオは事あるごとにコーナーに控える佐藤と河野をエプロンからリング下に落としつつ、リング内では軽量の新井に集中攻撃を繰り返す。当然、佐藤と河野も黙っているわけがなく、試合は大乱戦に。進に監獄固めで捕獲された新井が、痛みに耐えつつ進を首固めに丸め込んだところ、両者の肩がマットに着いたまま固定され異例のダブルフォールで3カウント。勝負は引き分けに。
納得しない両陣営のアピールにより、10分間の延長戦がスタート。6選手全員が場外で暴れる中、天龍プロ採用のPWFルール(※場外カウント10でリングアウト)をも利用しようとしたが、両陣営その手には乗らずに、リング内でも目まぐるしく動き回ったままタイムアップ。決着はつかなかった。
⑤IJ選手権(60分1本勝負)
〈王者〉 〈挑戦者〉
〇HUB VS 矢野 啓太×
【22分21秒 アルマゲドン ⇒ エビ固め】
※王者・HUBが初防衛に成功
矢野は圧倒的なリーチの差を武器に、まずは徹底した左腕のリストロックで圧倒。関節技で痛めつけると見せかけては、今度はクラッチ技で捕獲…を繰り返し、ハブの捕獲と王座奪取を狙う。意地と体力で無間地獄から脱出したHUBは、ストラングルホールドγで矢野の動きを止めたものの、スルリと下肢関節にからみついた矢野はすぐに逆転。
10分すぎ。意図的な場外脱出でリズムを取り戻したHUBは、矢のようなトペを放ち反撃。だが矢野は場外でも鉄柱に腕をからませつつ、HUBを痛めつける執念。どちらがヘビか分からない展開だ。ローリング・クレイドルから足を極めつつ、複合技「ゆりかもめ」からハブの尻尾を首に巻き付けては頸動脈を絞めつつ、ロープに逃げたHUBに欧州式のカチ上げエルボー7連打で完全に勝利が確定したかに見えた。
だがHUBは尻尾をムチ代わりに反撃開始すると、雪崩式フランケンシュタイナーから、矢野の背中にフロッグスプラッシュの空中戦に勝機。ダメージが深い矢野を抱え上げると、必殺のハルマゲドンで叩きつけて3カウント。大苦戦したものの、最後は意地と体力で初防衛に成功した。
嶋田紋奈代表から認定証とチャンピオンベルトを授与され、V1の喜びもつかの間。王者決定トーナメントの1回戦(5月25日)でHUBに敗れたTORU、そして決勝戦(6月12日)で敗れた拳剛から王座挑戦を表明される。
「どっちも負けとるやん!資格あんのか?」と受け流しつつも、王者の裁量でHUBは次回の新木場大会(7月28日)にて、2人にタッグ結成を命じつつ、自分と闘い、そのうえで「より響いたほうの選手」の挑戦を受けることを宣言。当日、HUBのパートナーは自らが関西から連れてくる「イキのいい奴」としており、場合によっては、TORUと拳剛を無視して、その「イキのいい奴」を次期挑戦者に選んでしまうことをも示唆した
【HUBコメント】
(矢野の)の気合が凄かったです。最初のリストロックでもう極められそうになった…。彼のレスリング技術は別格ですね…。途中、気持ちを切り替えるために場外に出たのが幸いしました。想像以上のチャレンジャーでした。でも矢野を退けることができたので、次の挑戦者は拳剛かTORUか? 7月28日(新木場1st RING)の闘いっぷりを見て、オレが決める。仮に何も響いてこなかったとしたら、当日、オレが関西から連れてくるイキのいいパートナーを挑戦者にすることも考えています。だからIJ王座の次期挑戦者候補は3人いるってことですよ。
【矢野啓太コメント】
いろんなプランを練ってきて、(HUBが)場外に逃げることも予想していました。PWFルールってのも想定しつつの闘いでした。今日は腹をすかせて挑んだんだね。結果に満足はしていないが、結果以外は完勝ってことだ。次につながる闘いにはなったかな?と。 試合に負けておいて、こんなコメントをしていることは勝負師としては良くないことだが……。
【天龍源一郎の眼】
今日は俺自身、凄くプロレスを楽しみましたよ。いろいろと凝縮された楽しい大会になったね。HUBと矢野は過去に何回も闘ったことがあり、手の内も知り尽くしていたのかな? 最後は矢野が攻め疲れたというか、手をこまねいたというか。ズングリムックリと言ったら言い方が悪いけど、HUBがその体力で乗り切って勝負をつかんだっていう感じかな。しかし面白い試合だったね。楽しませてもらったよ。さっそく、メーン終了後に拳剛とTORUが出てきて挑戦をアピールしていたけど、そういう自己主張をしてタイトルにからむってことはいいこと。レスラー間で軸と競争(意識)が生まれてきたって証拠だからね。
LEONA選手に関しては、彼が今日闘ったってことが、これからプロレスをやっていくうえで、絶対に何かのプラスになるはず。佐藤光留選手と戦えるってなかなかないからね。攻められっ放しってんじゃなく、ところどころLEONA選手の負けん気が出ていたよ。その負けん気をもうちょっと長く延ばせるように努力すれば良いだけの話だから。それを継続させられたら、プロレスのトップクラスの実力ってのも分かると思うよ。
次回(7月28日)は鈴木みのる選手の参戦が決まったけど、彼が持つ毒とかアクとかを全部飲み込んでこその興行ですよ。それに負けているようでは、新木場(1st RING)で月に2回も興行をやる価値なんてないってことだよ。