試合結果

2022.08.18

2022年8月17日 新木場大会

2022年8月17日 新木場大会

天龍プロジェクト
『WRESTLE AND ROMANCE』シリーズ第5戦

WRESTLE AND ROMANCE Vol.5

2022年8月17日(水)/東京・新木場1stRING


 試合に先立ち、天龍プロジェクトの嶋田紋奈代表が挨拶。コロナ禍による前日・当日のカード変更を観客に謝罪。深く頭を下げた後、昨年に続いて今年も天龍プロジェクト「龍魂杯」を行うことを発表。11月の新木場大会二日間で16名によるトーナメント方式での対戦を行う。

 さらに、10月9日に2年ぶりとなる天龍プロジェクト・後楽園ホール大会を行うとマイク。大会名は「革命龍魂」、第一弾カードとして石井智宏&ウルティモドラゴンVS望月成晃&ドンフジイの一戦が正式決定したこと、特別レフェリーとしてレッドシューズ海野レフェリーがこの試合を裁くことを発表した。

 ここでレイパロマがリングへ。代表と抱擁を交わした後、マイクを持つと「2人も感染してしまって本当、残念だけど、俺たちはまだまだ、まだまだコロナに煮え湯を飲まされているけど、みんな、俺たち、俺がいるから大丈夫だぞ! 俺たちが腹いっぱいのプロレスを今日もやるから、一生懸命声を出して応援してくれよ!」と咆吼。2度目の抱擁は代表がそっと拒否した。


▽第1試合・シングルマッチ(30分1本勝負)

○真霜拳號(10分9秒 無道)岩崎孝樹●

 7月の王子大会へ初参戦後、前回大会に続いて連続参戦のガンバレプロレス・岩崎。当初はTORUとのシングルマッチを予定していたが、TORUの新型コロナウイルス感染により2AWの真霜拳號が急遽参戦となった。

 グラウンドの攻防からスタート、探り合いから岩崎がローキックを放つ。真霜も返して蹴り合戦に、フロントキックで岩崎が真霜を吹っ飛ばす。脇固めに切り返すと岩崎はすぐさまエスケープ。真霜はキーロックから左腕を攻めて動きを止め、さらにアームロックからアームブリーカーと畳みかける。食らいつく岩崎は真霜の蹴り足を掴んで立ち上がり、ミドル。再び激しい蹴り合いに。真霜は攻防の中で巧みに腕を狙い、自分のペースに引き込んでいく。脇固めから腕十字、岩崎は逃れてローキック。ラリアットをかわした真霜がジャーマン、岩崎はキャプチュードと第1試合から激しい展開になり、解説の天龍も「メリハリのきいたいい試合」と賞賛する。

 咆吼をあげた真霜がエルボー。岩崎も倒れずやり返す。どちらも引かないエルボーのラリーから蹴り合い。左腕を攻められた岩崎は急角度のバックドロップで反撃を狙うが、真霜は痛めつけた左腕を取り無道で岩崎を捕獲、逃げ道を塞いで勝利した。

岩崎「あぁ、腕効いた。ボスザル、真霜拳號。てめぇを追いかけて、千葉でもずっと行ってやる。てめぇを追いかけてやる。てめぇのこと好きなんだ昔から、またやらせろ。以上!」

真霜「急遽の試合だったけど、岩崎選手、蹴りが凄かったね。強力だった。思った以上に苦戦したよ。だけどさ、まだまだ。まだまだ実力差はあるよ、そして久々の天龍プロジェクト。やっぱ天龍さんの前だと思ったらね、ちょっとね、いつもと違いますよね。気合い入っちゃいますよ。まぁ天龍さんにどう見えたか、お客さんにどう見えたか分からないけど、ひとつ言っておきたいのは、俺は2AWの無差別級チャンピオンだ。この天龍プロジェクトのリングに出ている選手よりも、俺のほうが強ぇえ」


▽第2試合・シングルマッチ(30分1本勝負)

○入江茂弘(9分18秒 片エビ固め)SUSHI●
 ※ビーストボンバー

 パワーファイター入江茂弘をが迎え撃つ第2試合。ゴングが鳴るとSUSHIが手拍子でSUSHIコールを煽る。入江がスネてリングを降りようとすると今度は入江コールでご満悦に。SUSHIも早々にニールキックで気合いをアピールしていく。

 SUSHIがコーナーで入江を固定し十字チョップ。細かい攻撃に対し入江はダイナマイトボディーで押しつぶしてダメージを与え、場外ダイブで追撃する。うめくSUSHIをスリーパーで極めた入江は、SUSHIの頭上の寿司をいたぶっていく。エルボーを放って気合いを見せるSUSHIだがやはり入江がパワーで上回る。弱ったところへ入江がテディベア。なんとかカウントを返したSUSHIが入江を根性のショルダースルー。粘ってSUSHIが入江の蹴り足をキャッチし、カウンターのラリアットからブレーンバスターを放ち、勝機を狙っていく。チンクラッシャーからトラースキックとSUSHIがいつもの第2試合とは異なる闘志を見せ、ダイビングヘッドを放つもかわされて入江が突進ヘッドバッド、とどめのキャノンボール。つぶれたSUSHIが息絶え絶えにカウントを返すが、最後はビーストボンバーで入江が勝利した。

 敗れたが大奮闘のSUSHIには場内から温かい拍手。SUSHIは四方に礼をして退場した。

SUSHI「(ガラガラ声で)くそ! 入江……、声が出ない。なんやこの声。最後、あいつのラリアットやろ、人のノドつぶしやがって。この恨み、ずっと忘れんからな。ずーっとお前、ずっと狙うからな。まぁ俺は全員に負けてるから全員狙うけど、お前そのうちの1人やからな。あかんこの声、この声どうしよ……、でやんでぃ!」

入江「今日、天龍プロジェクトでSUSHI選手と多分はじめてのシングルマッチですね。全日本プロレスとかで多分何回も戦ったり組んだりしたことあったけど、はじめてのシングルマッチ。SUSHIさん、SUSHIさんってものを痛いほど感じました。何よりもこんな時期に会場まで来ていただいて、声援を送ってくださる皆さんに本当に感謝しかないです。僕はもうプロレスがないと生きていけません。そんなプロレスを見ている皆さん、そんな皆さんに生かしていただいています。ありがとうございました」


▽第3試合・シングルマッチ(30分1本勝負)

○矢野啓太(13分06秒 キウイ・ロール)翔太●

 対戦カード変更で急遽シングルでの対決となったガンバレプロレス・翔太と矢野啓太。昨年の龍魂杯でも対決した両者、矢野はピンクのショートタイツでリングへ登場。来月より、アメリカへの無期限遠征が決まっている翔太、龍魂杯の雪辱を果たすことができるか。

 リストの取り合いから下になった矢野、立ち上がり腕を振りほどくとアッパーカットエルボー。翔太は腕を取りハンマーロック。互いに相手の出方を伺いつつも、自分の世界へ引き込もうと画策し合う展開に。後ろ足で蹴って巧みに腕を外した矢野は翔太の足を取る。トーホールドからレッグブリーカーへつなぎ、インディアンデスロックでじっくりと翔太を痛めつけていく矢野。寝技の攻防から徐々に矢野が試合の主導権を握っていく。

 アームドラッグから巻き込んでカウントを狙う翔太。足責めで踏ん張りのきかない状態ながら、コーナーからダイビングボディアタック。カウントを返した矢野が足を取って徹底的に左足を攻める。4の字を狙ったところを翔太がクレイドル、逆さ押さえ込みとカウントを狙うがどちらも2。最後は矢野が変型ヒザ固めのキウイ・ロールで翔太を捉えて勝利。翔太が足の痛みに顔をしかめたが、勝った矢野自身も左腕を押さえて苦しい顔をみせた。

 敗れた翔太から矢野に近づき握手。翔太はリングを降りると解説席に歩み寄り「アメリカから帰ってきたらまた天龍プロジェクトにあげてください。絶対に成功して帰ってきます」と宣言、天龍は頷き「嬉しいね」とコメントした。

翔太「今日、結果的に欠場者というモノが出た中でカードが変更になって、僕と矢野さんとシングルマッチというカードが実現して。何だろうな、新井さんやTORUと同じ興行に出たかったですけど、アメリカ行くのが決まってて、無期限で。矢野啓太という僕のプロレス人生に欠かせない存在と、こうして僕らにしかできないプロレスをやれたことに、矢野さんにも、天龍さんにも、プロレスの神様に感謝しています。9月から(アメリカに)行って何も決まっていないですけどね、本当に。いくつか試合が決まっているだけで。その先どうなるか分かりませんが、必ず翔太というレスラーが世界中に響き渡った上で、僕が、天龍プロジェクトのリングに帰ってきて、お客さんが翔太を見に天龍プロジェクトに来て、そんなレスラーに必ず成って、天龍さんに恩返しします。シーユー・ネクストタイム!」

矢野「ありがとうございました。ほとんどキャリアも変わらない翔太とまたこうして。昔のこと言ってもしょうがないから、今日の勝因はね、ちゃんとバカンスを取ったから。ちゃんと夏休みを取ってコンディションを整えてきたから。まぁ、アメリカに行く翔太に対しては、気をつけて行ってきてください。あと、調子乗んなって。……以上、ノーコメント!」


▽第4試合・6人タッグマッチ(60分3本勝負)
 ※新井健一郎欠場によりノンタイトル戦に変更

関本大介&岡林裕二&吉田和正(2-0)河野真幸&佐藤耕平&レイパロマ
 ①○関本(11分2秒 グラウンド・コブラツイストホールド)パロマ●
 ②○岡林(20分55秒 アルゼンチンバックブリーカー)パロマ●

 吉田和正がパートナーとして連れてきたのは大日本プロレスのトップである関本大介と岡林裕二。を連れてきたことによりタイトルマッチが決定していたが、新井健一郎の新型コロナウイルス感染により、急遽ノンタイトル戦へと変更。無念の欠場となったアラケンに代わり、“ジュリーズ”のパートナーであるレイパロマが大日本勢と向き合う。

 大砲2人を抑えて自ら先鋒を買って出たパロマ。微妙な表情の関本相手に渾身のタックル。関本は倒れず。ならばとロープに走ったところへパロマボンバーを放ち、関本を倒すことに成功。不意打ちを顔面に受けて自軍へ戻る関本。「俺に続け!」と吠えるパロマ。

 突進する吉田をあしらうように、入れ替わりながら痛めつける河野・耕平。関本、岡林からは吉田へのゲキが飛ぶ。タッチしたパロマは岡林にコーナーへ運ばれ、先ほどのお返しとばかりに関本がボディスラムからストンピング。河野、耕平が入り2人がかりのビッグブーツ。続いて岡林が河野へヘッドロック、耕平がチョップを放つと岡林がチョップ、ならばと耕平は強烈なエルボー。岡林はよろめくが反撃のチョップ。大型日本人同士の肉弾戦が展開される。

 タッチを受けたパロマが関本へクロスボディから恍惚。岡林が悠々とリングへ入り背中にはたき込むようなチョップを放ってカット。コブラツイストを切り返して逆さ押さえ込みからマヒストラルを狙うパロマだったが、コブラツイストホールドで一本目を取られてしまう。

 2本目スタート。すかさずパロマを捉えた関本、コーナーへ連れ込むが、パロマは自軍コーナーへ脱走。耕平と岡林のエルボー・チョップ合戦再開となるが、岡林がエルボーでダウン。耕平も痛みをこらえてコーナーへ、両軍タッチ。吉田が河野をボディスラムで持ち上げようとするが、河野は返して高層階からのボディスラム。続いて吉田へ耕平の鋭いミドルキック、エルボーから鈍い音が響くヘッドバッド。この一撃で吉田が額から出血。ぐらつく吉田へパロマ、河野からも追撃をくらうが、根性で耕平にタックルし自軍コーナーへ生還する。

 後輩の奮闘を受けて岡林が耕平へ串刺しラリアットからぶっこ抜きブレーンバスター。パロマが関本へニールキック、河野・耕平のブレーンバスターからパロマが恍惚を狙うが、岡林がカット。岡林がパワースラム。大日本勢3人に囲まれたパロマがチョップの連打。コーナーに上がったパロマを吉田がカット、その拍子にパロマのタイツがずれるアクシデント。関本がパロマの尻にアトミックドロップ。岡林がパロマをアルゼンチンで担ぎ上げ、Tバック姿のまま無念のギブアップとなった。

パロマ「なんも言うことはないですけど、アラケンさんにだけは一言言わせてもらっていいですか。アラケンさん……あんたのせいだよ!」
河野「それで伝わりました、全部」
耕平「こういうご時勢だから仕方ないってとこもありますけど、俺はすごい楽しかったから、あの軍団と試合できたのが。すごい楽しかったんで。またぜひ。牙を磨いてきます」
河野「このご時勢、風邪引いたアラケンさんが悪い、発熱したら悪いってわけじゃない、それについては俺らは責めるつもりはない、何だったらリング上でマイクで責めたアイツが一番悪いやつじゃない?ただ、それに関してパロマさんが入って急遽やってくれる、その男気には感謝してる」
耕平「吉田がね、試合から逃げたとかどうの言ってたけど、あいつ今日一本も取ってないじゃない。からんでない。いいよ次、ストレートでアイツを叩き潰してやろうかなと思いましたね」
河野「アラケンさんの回復を待って、正式な日程を天龍プロジェクトで決めていただいて。何だったら大日本でもいいですよ。そのときにはパロマさんセコンドついてください」
パロマ「いや、俺もタイトルマッチがありますから」
河野「タッグのベルトに俺たちセコンドにつきますよ」
パロマ「よろしくお願いします!」

岡林「よっしゃ!」
関本「よっしゃ、ストレート勝ち」
岡林「吉田、頭大丈夫か。」
吉田「大丈夫ですよ。ああくそ、でも、今日もやられっぱなしだった。次のタイトルマッチでは、倍返しにしてやるからな。何発すごいエルボーうたれようが、何発すごいヘッドバッドくらおうが、俺はぜったい壊れないぞ、あのベルト取るまで、俺はぜったい壊れない!」
岡林「こんなんじゃ壊れんよ。気合い入れろよ。絶対取るぞ!」
吉田「お願いします!」
岡林「まぁ次、タイトルマッチ、6人タッグ次ぜったいぶんどるんで。力こそパワー! ピッサリ!」
関本「よろしくお願いします!」


▽セミファイナル・タッグマッチ(45分1本勝負)
 ※新井健一郎欠場によりノンタイトル戦に変更

○谷嵜なおき&児玉裕輔(14分10秒 エビ固め)椎葉おうじ&仁木琢郎●
 ※インプラントボム

 セミファイナルは当初IJタッグ選手権試合が決定していたが、新井健一郎のコロナウイルス感染により急遽ノンタイトル戦へ変更。かねてよりIJタッグ挑戦を希望していた仁木&椎葉の“レッド&ブルー”が王者組と対戦する。

 先発は児玉と椎葉。組み合ってロープ際、離れ際に一撃を放った椎葉。すかさずコーナーの谷嵜にも一撃、ここで仁木も飛び込んで児玉を場外へ。すぐさま椎葉がトペで飛び込んで場外へ一撃。大日本勢が大暴れした場内の空気を変えていく。

 スピードを活かしてあわや王者組を秒殺かと思われたが、すぐさま王者組は体勢を立て直し、児玉がカウントを返すと谷嵜も場外からアシストし試合ペースを握らせない。谷嵜が椎葉を逆片エビで捕獲、児玉は花道で仁木を痛めつける。椎葉に声援が飛ぶ場内の反応を面白がるように、2人がかりで椎葉へダメージを与えていく。椎葉のチョップに児玉はエルボー。椎葉はキックで逃れ、仁木がエルボー連打からスイングDDT。流れを変えたいレッド&ブルー、児玉のドロップキックに仁木もそれ以上のドロップキックを返す。

 児玉はハンドスプリングエルボーで逃れ、谷嵜へ。四つん這い状態の谷嵜へ踏みつけるようなキック、仁木と2人がかりで一撃。児玉が仁木を捉えて谷嵜が地獄の断頭台。めまぐるしく攻守が入れ替わる展開の中、谷嵜がクロスフェースで仁木を捕獲。救助に入った椎葉も児玉がクロスフェースで捉えて逃さない。

 これまでかと思いきや仁木が逃れ、椎葉を救助。2対1で谷嵜をとらえてハリケーンドライバー。児玉が雪崩式ブレーンバスター。ストレートからカサノヴァ。インプラントボムで追いすがる仁木を振り切った。試合後、手を差し出した王者組に対し、レッド&ブルーの2人はその手を叩いて握手を拒否。挑戦をアピールする2人を振り払って王者組が退場した。

椎葉「くそ……今日、急遽カード変更でIJタッグチャンピオンと組まれたけど、少し準備不足というか、お互い焦って先を急いでしまいましたね」
仁木「せっかく今日こうやってカード変更になって、タッグチャンピオン。このチャンス生かせなかった。ただ、最後、握手しなかったでしょ。どういう意味か、続きがあるってことですよ。俺らはあのベルトを取るまで、取ってからも、あの2人とやりあいますからね。まずはシングルマッチ、谷嵜さん! 今日俺、あなたから取られてるんですよ、まずはそこを返してから、タッグのベルトに俺たちで挑戦したいと思います。よく見といてください。以上」
椎葉「じゃあ俺は……、児玉! ……その余裕こいたニタニタした表情、消してやるよ俺が! シングル、組めコラ!」

谷嵜「勢いあったなあいつら」
児玉「イキ……、イキはいいな。イキがいい」
谷嵜「イキがいい。とてもイキがいい。でもそのイキだけじゃ、俺らベテランにはまだまだ。俺らにも意地があるからよ」
児玉「今日のやる予定だったタイトルマッチ? しっかり防衛して、僕まだ、いまだに悪夢……いまだに見るって。ちょっと病院にかかろうと思ってますけど、それを今日払拭できると思ってたら後の持ち越しですかね。あのイキのいいのとあたって。でもそのかわりにあの若いのと。ノンタイトルだからって少し甘く見てたかな」
谷嵜「そう、パロやんのケツの悪夢。まぁあいつらの、イキはいいけど勢いだけじゃそんなに動じないから。ノンタイトルとはいえ、勝ったぞ。ベルト守ったぞ」
児玉「まだ持ってますからね。とりあえず、僕は病院に行かせてください。カウンセリング。寝汗がすごいんですよ、気をつけます」


▽メインイベント・インターナショナルジュニアヘビー級選手権試合(60分1本勝負)

佐藤光留(27分48秒 片エビ固め)渡瀬瑞樹
 ※右ミドルキック。第24代目王者が初防衛に成功

 ガンバレプロレス・渡瀬瑞樹が挑戦するIJシングルの一戦。自ら“ミスター天龍プロジェクト”を名乗る24代チャンピオンの佐藤光留が迎え撃つ。

 ぎらついた目で光留を見据える渡瀬。ゴングが鳴るも両者にらみ合ったまま動かない。じりじりと一歩ずつ、じわじわと距離をつめていく両者。距離を取って向き合う渡瀬、光留が詰めるも渡瀬は引いて受けず。掌底、ロー、平手と光留の攻撃が当たり始める。

 手を取り合ったところで光留が投げ、グラウンドへ。上になってマウントからサイド。ヒザで抑えつけて立ち上がった光留、渡瀬はタックル、組み付くと強引にいきなりバックドロップ。これに対しすぐさま光留が飛びつき腕十字。なんとか渡瀬の足がロープ外に出てエスケープに成功。デスバレーボム。渡瀬がドロップキックからセグウェイ。ストンピングから低空ドロップキック、光留が口から出血する。

 ロープ際、渡瀬の突進をかわした光留がその背中にキック。リング外に逃れた渡瀬を光留がリングへ戻し、ミドルを追撃。ぐらつく渡瀬がコーナーへ、光留はエルボー。渡瀬もエルボーで返し、カーフブランディングを狙うが光留が阻止、コーナーから渡瀬をリング下へ落とす。先ほどと同じくリングへ戻そうとする光留に対し、渡瀬はエプロンから場外へのカーフブランディング、さらにミサイルキックを放つ。

 立ち上がった光留へ、さらに渡瀬はコーナー上からミサイルキック。渡瀬の無骨な連続攻撃に、解説の天龍も「こんなプロレスバカは見たことがない」と感嘆の声を上げる。

 光留の河津落としからグラウンド卍。ガッチリと極められた状態から渡瀬はエスケープ。粘る挑戦者へエルボー連打。渡瀬も返し、もっと打ってこいとアゴを突き出す。打ち返した光留は笑顔。フロントキックに渡瀬がエルボー、打ち合いが続くも互いに倒れない。渡瀬の一撃に光留の歯が飛ぶ。光留は脳天へエルボー。渡瀬は頭突き。雄叫びをあげながらのエルボー合戦。ぐらつきながらも互いに倒れない。エルボーの連打から追撃を狙うも、前のめりに倒れたのは渡瀬。続いて光留も倒れる。ヒザをついた状態で、それでもエルボーを打ち続ける両者。ぐらつきながらもお互い、再び立ち上がり前へ出る。終わりの見えない打ち合いの音が響く。

 ロープにもたれ、両膝をついた渡瀬、レフェリーがカウントに入るも渡瀬は拒否して、エルボー5発連打。光留は「痛く、ありません!」と叫んで打ち返す。渡瀬はゆっくりと指を折って10数え、10発を打ち込む。光留が連打で14発。天龍も言葉を忘れて攻防を見守る。エルボーをくらう渡瀬、一瞬笑みを見せる。

 体勢が崩れた渡瀬、ロープを掴んで立ち上がる。25分経過、体が揺れた光留が倒れるとすかさず渡瀬がフォールを狙う。体を引き起こして至近距離からエルボーをひたすらに連打。さらにヘッドバッド。フォールに入るがカウントは2。立ち上がった光留がジャンピングハイキック。胸板を蹴り上げるようなキック。ローからのフォールを渡瀬はカウント1で返す。ロー連打からのフォールはカウント2。とどめの右ミドルキックで渡瀬が崩れ、カウント3を聞いた。

 ベルトを守った王者だが、渡瀬の上から動けず。セコンドのガンバレプロレス・翔太、岩崎、さらに椎葉が入り様態を確認する。光留は動けずにダウンしたままベルトを受け取る。場内が固唾を呑んで両者を見守る中、割って入るようにリングへ登場したのは光留の元パートナー、矢野啓太。光留を引き起こしてファイティングポーズ。光留が矢野を指さして答える。無言の挑戦表明とその受諾のあと、ようやく佐藤光留が立ち上がり天に腕を突き上げた。

 リングへ全選手が戻るも、光留、渡瀬どちらも立ち上がれない。天龍がマイクを持ち「雨の中、天龍プロジェクトの新木場大会に足を運んでくださりありがとうございます。選手の諸君も雨の中足を運んでくれたお客さんと同じくらい力を発揮してくれたことに、ありがとう。天龍プロジェクト、後楽園ホールに進出したりと、他にもいろいろとこれからも動き出していきますので、一層の支援をよろしくお願いいたします。TORUとアラケンと拳剛が戻ってくるまで、皆さん足を運んで、応援していただけたらと思います。よろしくお願いします」と挨拶、エイエイオー3連発で大会をしめる。コーナーで座り込む光留のもとに天龍が歩み寄り、笑顔で言葉をかけて握手した。

 最後にひとり残った佐藤光留はベルトを手に立ち上がり、ガッツポーズ。ベルトを掲げて花道を退場する王者の背中を、観客が拍手で送った。

光留「(椅子を倒して、床に正座し)聞くことねぇんなら、これが全部。このベルトを賭けて戦った。天龍プロジェクトに認められた、俺の折れた歯は戻ってきた。聞くことねぇんならそれだけ。
(佐藤選手と渡瀬選手の2人が、天龍プロジェクトのリングでしか見られないような試合をしての防衛)本当に素直な気持ちを言っていいなら、何だよ天龍プロジェクトでしか見られないようなプロレスって、これがプロレスじゃねぇのかよって気持ちですよ。俺たち、少なくとも佐藤光留は、特別なプロレスをしているつもりはないです。天龍プロジェクトにあるプロレスが、プロレスの根幹。本物のプロレスという言葉は使わないです、プロレスは全部本物だから、でもこれがプロレス。THIS IS プロレス。天龍プロジェクトでしかできないプロレスじゃないと思っているけど、もしこのプロレスを他のところでやんねぇんなら、俺たちが独占させてもらいますよ。プロレスを、世界中でここにしかないプロレスだったら、それを独占させてもらいます。
(代償は大きいとは思うんですが)どうかな。そうなのかな。大きいのかな。いま、全然代償が大きいなんて感じないですね。悔しいもん。すっごい悔しい。渡瀬に悔しい。それもプロレスですよ。歯、全部なくなってもいい。渡瀬に悔しい。
(最後、リング上での天龍さんとのやりとりは)秘密。秘密っすね。プロレスラー佐藤光留の秘密。プロレスラーじゃなくなったら言いますよ。
(渡瀬選手に悔しいというのは)どこかでやっぱ、俺が天龍プロジェクトのチャンピオンだ、俺がミスター天龍プロジェクトだって思っていたんですけど、今日の試合を見て佐藤光留だけがミスター天龍プロジェクトだと思いました? 今まで時間をかけて、痛みをもって、人生をかけて作り上げてきたものが、佐藤だけじゃないじゃんって思われるなんて、こんな悔しいことはないですよ。だから勝たなきゃいけなかった」

渡瀬「(コメントブースで倒れたまま)……まだ、まだか。そこまで、(手を伸ばして)すぐそこまで、ベルト、掴みかけてたぞ。悔しい。悔しい……。また、最速でベルトを掴みにいくぞ。あぁ、心は折れてないぞ」


【次回大会】

『WRESTLE AND ROMANCE』vol.6

【開催日時】2022年9月4日OPEN11:30/GONG12:00
【会場】東京・新木場1stRING (東京都江東区新木場1-6-24)
アクセス:JR京葉線・東京メトロ有楽町線・りんかい線 新木場駅より徒歩2分
※駐車場はございません。ご来場の際は、公共の交通機関をご利用ください。

【チケット料金】(前売りチケット)※当日券は500円UP
▽特別リングサイド…6,500円(東西南1列目、2列目)
▽指定席…5,500円(南側ひな壇)

※お席のご指定はできません。(お支払い完了者様より前方より配席いたします)
※小学生以上の方はチケットが必要となります。
未就学児のお子様は保護者様1名につき1名まで、保護者様の膝上での観戦に限りチケットは必要ございません。

LIVE配信、選手応援特典付き配信チケットのお買い求めはこちらから

(選手応援特典付きチケットは選手への還元をしております)
⇒https://tenryuproject.zaiko.io/

《LIVE配信ラインナップ》
実況;鈴木健.txt
解説:天龍源一郎 

<出場予定選手>
新井健一郎、佐藤耕平、河野真幸、佐藤光留、矢野啓太、TORU、渡瀬瑞基、椎葉おうじ、仁木琢郎 SUSHI、レイパロマandmore…
各大会の選手出場情報は各種天龍プロジェクトSNS、HPなどでご確認いただけます。

※選手の怪我などによる欠場で予告なく対戦カードに変更が生じる場合がございます。
予め、ご理解の程よろしくお願いいたします。