試合結果

2022.09.05

2022年9月4日 新木場大会

2022年9月4日 新木場大会

天龍プロジェクト
『WRESTLE AND ROMANCE』シリーズ第6戦

WRESTLE AND ROMANCE Vol.6

2022年9月4日(日)/東京・新木場1stRING


 大会の2日前、天龍源一郎が頸随損傷により入院したため今大会を欠席することが発表され、欠席のなか開催された新木場大会。試合に先駆けて天龍プロジェクトの嶋田紋奈代表が挨拶。突然の発表となったが、今の天龍源一郎について包み隠さず知って頂きたいと思って公表に踏み切ったということ、症状はあるものの本人はいたって元気で今日も配信を見ていると語った。

 続いて欠場中の拳剛がリングインしマイク。「絶賛欠場中の拳剛がやってきたぜ! 9月へはいってもまだまだ灼熱の新木場1stRINGへようこそ。今日も早起きして新木場へ来たのは、今日も天龍プロジェクトを思い切り楽しみたいから! 俺かお前らか、どっちが思い切り楽しむか、真剣勝負じゃ! 今日も最後まで思い切り楽しんで帰ってくれ! ヨロシク!!」と会場を煽った。

 天龍の欠席を受け、第2試合だけは代表権限で(?)紋奈代表が解説を務めたが、他の試合は欠場の拳剛を含む選手たちが交代で特別解説を実施。佐藤耕平に狙いを定める近野剣心に対しレイパロマが「もっといかないと、剣心」とゲキを飛ばす様や、真霜拳號とTORUの攻防にアラケンが感心する様も見られた。第3試合はIJタッグ王者の児玉がパートナー谷嵜のシングル戦を解説。まさかの敗北を喫した瞬間にはヘッドホンを外してリングへ飛び込み、谷嵜とともに“レッドブルー”こと仁木&椎葉組の挑戦を受諾すると表明した。


▽第1試合・シングルマッチ(30分1本勝負)

○児玉裕輔(10分0秒 ラ・マヒストラル)椎葉おうじ●

  前回大会でノンタイトルながらIJタッグ王者の谷嵜&児玉組に挑戦した椎葉おうじ。試合後希望したシングル対決が早速実現した第一試合、先に入場した椎葉に児玉はIJタッグのベルトを見せつける。タイトルマッチ実現のためにも負けられない椎葉は試合開始直後からドロップキックを突き刺し、チョップを放って王者にうめき声をあげさせる。児玉は足払いで椎葉を倒し、コーナーポストに打ち付けてヒザを攻撃。左ヒザに狙いを定め、椎葉の勢いをダウンさせていく。児玉のレッグロックで椎葉がエスケープ。椎葉はエルボーから延髄切りで反撃、ヒザの痛みをこらえながら場外へ逃れた児玉へトペ。ミドル連打から延髄、背後からのDDTと児玉をカウント2まで追い込む。

 児玉は椎葉のヒザをマットにたたきつけ、ニークラッシャー。ブレーンバスターから児玉の背中にフットスタンプ。とどめを狙った椎葉のスプラッシュを自爆させた児玉、立ってこいとアピール。向かってきた椎葉にスーパーキック。椎葉はこのタイミングですかさず丸め込み。返した児玉は椎葉がロープに走ったタイミングですかさずカウンターの低空ドロップキック。ヒザを打ち抜かれた椎葉をすかさずマヒストラルで押さえ込んで3カウント奪取。児玉が試合巧者ぶりを見せつけた。

 ベルト奪取に向けて燃える椎葉の闘志を受け流しつつ、ヒザに攻撃を集中させて試合ペースを握った児玉。悔しい表情の椎葉にもう一度ベルトを見せつけ、高く掲げて退場した。

 

椎葉「ここで勝たなきゃ、ここで勝たなきゃ意味がなかったのに負けてしまいました。くそっ。でも、この負けは僕、全然完敗だとかそんな風に思ってないですよ。絶対にやり返すチャンスはいくらでもあると思うんで、まだまだ僕の目は死なないですよ。僕の気持ちは死なないですよ。これからです。この後仁木選手、シングルなんでしっかりセコンドで応援したいと思います。そしていつか必ず、IJタッグ挑戦権獲得できるなら獲得しにいきますよ。くそっ!」

児玉「いやー、まぁ、前回仁木&おうじ、あの2人がやらせろって言って、タッグは僕らが何とか勝って。今回お互いがお互いと当たるシングルでしたけど、すっごい面白い。おうじくん、すごい面白いよ。でもちょっと、前のめりすぎじゃないかな? 前のめりすぎて、こけちゃうんじゃない? 足がもつれちゃうよ、そんな。このベルトに挑戦して取りたい気持ちはわかるよ、でも前のめりすぎて、すーごい前のめり。もっと落ち着いて。でも、楽しいよ」


▽第2試合・タッグマッチ(30分1本勝負)

○新井健一郎&レイパロマ(12分47秒 体固め)石川修司&吉田和正●
 ※モンキーフリップから押さえ込んで

  前回大会でWAR6人タッグへ挑戦予定だった大日本プロレス・吉田和正。新井健一郎がコロナ感染による欠場のためタイトルマッチは延期となったが吉田は「アラケン逃げるな、出てこい」とアピール。両者の因縁からタッグで対峙する。パロマと組んだジュリーズのアラケンに対し、吉田は大日本の大巨人、石川修司を伴って参戦となった。

 試合前にアラケンがマイクを持ち「前回の大会で私コロナになってしまいましてね。申し訳ございません。それについては吉田選手、あなたにも心からお詫びを申し上げます」と頭を下げる。丁寧なお詫びの後「ここから先はバックステージで言うことかもしれないけど、生で言わないと伝わらないからリング上で言わせていただきますけど。確かにパロマが入って戸惑った部分もあるでしょうけど、お前まったく目立ってなかったじゃねぇか。関本と岡林が張り切っちゃってさ」と、前回の6人タッグをニコプロの配信でしっかり見届けたアラケンが痛烈なダメ出しを開始。観客からまさかの拍手も起きてしまい、気を良くしたアラケンは細部に至ってダメ出しを続ける。「あんなしょっぺぇ仕事して、お客さんにはバレてるよ。てめぇみたいなギャラ泥棒はいらないんだよ。今日のこの現場でお前の仕事は終わりだ」とまで言い放ったアラケンを、怒りの吉田がゴング前に急襲。試合スタートとなった。

 エルボー連打からボディスラムでフォールに入るがカウントは2。顔面かきむしりで前回流血した吉田の古傷を刺激し、パロマにタッチ。195cmの石川に対し、パロマ161cm。34cmの身長差をものともせず体当たり。ドロップキックを放つも石川はびくともせず。逆に吹っ飛ばされたパロマはいったんアラケンへタッチ、石川に吹っ飛ばされたアラケンはコーナーの吉田へチョップ。不意を突かれた吉田がリングへ飛び込むと、すかさずアラケンが赤コーナーへ捕獲。パロマが股間を吉田の顔面に押しつけ、精神的に追い込んでいく。

 メンタル攻撃の次は手首、パロマのキーロックと、末端から吉田を痛めつけていくジュリーズ。ロープに走ったアラケンへ吉田はドロップキック、石川を呼び込む。石川はパロマを使ってアラケンへ串刺し攻撃。ふらつくアラケンへ強烈なラリアット。パロマは低空ドロップキックからパロマボンバー、恍惚へ技を繋げていく。石川はパロマを足の力で振りほどいて吉田へタッチ。ダメ出しのお返しとばかりにアラケンへ狙いを定める吉田、アラケンはのらりくらり殺法で吉田を翻弄。吉田が垂直落下式ブレーンバスターからフルネルソンバスター、フォールに入るもパロマがカット。石川が引っ張るとパロマのタイツが脱げるアクシデント。場外でパロマを石川が軽々とアルゼンチン。リング内は握手の手を差し出したアラケンを拒み、正々堂々と戦おうと手四つ。しかしここでアラケンがモンキーフリップ、すかさず押さえ込んで3カウントを奪った。

 試合後、再びアラケンが握手の手を差し出すと吉田は平手、アラケンがガットショットを放つとドロップキック。「絶対逃がさねぇからな!!」と吠える吉田をアラケンは「やらねぇよバカヤロー」と突き放した。

 

パロマ「アラケンさん、また勝ったよ」
アラケン「あんたプロだね。裏で一回履いたタイツ、もう一回脱いだもんね。ということでパロマおじさんよ、あの吉田ナントカ、煮ても焼いても食えないね。最初にマイクで言ったらお客さん、あの拍手。全部バレてるぞ、アイツ。関本と岡林が張り切っちゃってさ。でかい図体の裏に隠れてさ、アイツ資格なんかないだろ。(パロマを指さし)彼のほうが全然もっとおいしいポジション、いけますよ。邪魔しないで欲しいよ、目障りだよ。天龍プロジェクトに上がりたい選手、地方にもいるんだからさ、マジ説教だよ。前回の渡瀬、見ただろ。アイツはずっと悩んでるんだよ、俺ってこんなもんじゃないだろって悩んでるんだよ。俺だって二十何年、答えなんか出やしないよ。だからまた、またってさ。吉田はアイツ、なんも考えてないだろ。答えなんか出なくくたっていいんだよ、考えろよ。焦ってるだけでいいんだよ。バカ野郎が。リップサービスとかそういうアレじゃないよ。このあとのコメントも、どれだけの天龍プロジェクトファンが見ているか分からないけど、このコメントも気ぃ抜くなよ。動画、Twitterで上がるのか? 吉田、俺に突き刺さるコメントしろよ」

吉田「くそ。確かに言われた通り、試合見返したら、正直俺はボコボコにされてるだけだった。そこは本当に情けないと思っています。でも、タイトルマッチ、本番、絶対やるからな。そこだけ、俺の170%の力見せるから。絶対見にこい。お願いします!」
石川「はじめて上がらせてもらったんですけど、すごいハードヒットな団体って聞いてたんですけど、おい、パロマじゃねぇか相手、おい。次、シングルマッチ組めよおい、パロマやってやる。今度はおまえTバックじゃ済まさないからな。以上です」
アラケン「(割って入って)止めるな止めるな、お前のコメント横で聞いてたけどつまんねぇよ。30秒、コメントしろよ。ドキドキハラハラしねえよ、言ってみろよおい」
吉田「この前の試合は、マイクで言われた通りだった。だけどお前、コロナで試合に穴あけといてそれでその態度、どうなんだこの野郎」
アラケン「だから、謝ったじゃねぇか」
吉田「確かに……。ああ。もう何も出てこねぇ。だけど絶対タイトルマッチはやってやるからな」
アラケン「お前Twitterやってるか?」
吉田「やってます」
アラケン「俺は仕組みよくわかんねぇけど、リツイートってのあんのか?」
吉田「あります」
アラケン「てめぇのTwitterにお前、このコメント動画、まるまるリツイートしろよ。しなかったらお前、本当に話、何もなくなるからな。本当、コメントしょっぺぇよ」
吉田「やってやるよ。……じゃあそういうことだ。ありがとうございました!」


▽第3試合・シングルマッチ(30分1本勝負)

○仁木琢郎(12分4秒 体固め)谷嵜なおき●
 ※マッドスプラッシュ

  椎葉おうじとのタッグでIJタッグ挑戦を熱望する仁木。本人の希望で今大会ではIJタッグ王者である谷嵜とのシングルが実現した。パートナーの椎葉は同じくIJタッグ王者である児玉の前に惜敗、仁木にとってタイトル戦実現のためにも落とせない一戦となる。

 ロックアップからリストの取り合い、谷嵜が上を取ればすかさず仁木が取り返す。ロープに走った両者、低く仁木の足を取りにいった谷嵜に対し仁木はドロップキックで顔面を打ち抜いていく。谷嵜はココナッツクラッシュを仁木にお返しし河津落とし。ダメージを負った仁木に、コーナーからセコンドの椎葉が場内の声援を煽ってゲキを飛ばす。

 劣勢の中、声援を背に足を振り上げて谷嵜へキック、串刺し攻撃をかわした仁木がスイング式DDTを繰り出してバックドロップ。後頭部を押さえて苦しい表情をみせた谷嵜だったが、すかさず仁木を捕獲し、ロープを使ってヒザへ地獄の断頭台、リバースインプラント。粘る仁木へカサノヴァ。それでもカウントを返した仁木、インプラントを返して逆さ押さえ込み。エルボーからドロップキックの仁木、谷嵜の顔面へエルボー。ヒザをついた仁木へ谷嵜が顔面ストレート。動きの止まった仁木へ谷嵜がカサノヴァを放つが、その瞬間、仁木がドラゴンスクリュー。さらにハリケーンドライバーでカウント2、続けざまにマットスプラッシュ。解説を務めたタッグパートナー、児玉裕輔が見つめる中で谷嵜を沈めて勝利した。

 勝利した仁木はセコンドの椎葉を呼び込み、喜びを分かち合う。谷嵜のベルトへ挑戦をアピールする。解説の児玉も立ち上がりリングへ。児玉は「仁木、うちの谷やんに何してくれてんだ。やりやがったな。谷やん……あんな試合見せつけられたらやるしかないな。いいですかお客さん、やってもいいですか」とマイク、観客が拍手で後押しする。

 児玉は「9月19日、大阪。仁木くんがこう言ってるんで」とタイトル戦実現を代表へ要請。代表が頷くと「(谷嵜を見て)……結構やられましたね。次はこうはいかないぞ。防衛してやるからな」と、次戦でのタイトル防衛を宣言し退場した。

 

児玉「やりやがったな、仁木の野郎」
谷嵜「あの野郎、チキショー」
児玉「いやでも、谷やん近くで見てて、仁木のあのしぶとさ、ちょっと俺も舌を巻きましたね」
谷嵜「一ヶ月経ってない? くらいだよね。こないだから。何だアイツおい、100%伸びしろやんけおい。くそ腹立つな。これであるよね。豊中(176BOX)、毎回リング上がると本気だけど、本気の本気のもうちょい上、マックスまで行って、(9・19)防衛しましょう。俺らも完全に火がついたからな、仁木、おうじ、くそ!」

仁木「よぉし! 結果出したぞ。前回負けて今日、返した。一勝一敗。次はタイトルマッチでしょ。大阪で必ず、タッグのベルト巻きましょう」
椎葉「巻きましょう巻きましょう」
仁木「おじさんたち、多いんで。俺たち若い人間でこの天龍プロジェクト、今の天龍プロジェクト見せてやるからな」
椎葉「ベルト初挑戦、頑張ります!! 応援よろしくお願いします」


▽第4試合・タッグマッチ(30分1本勝負)

○佐藤耕平&佐藤光留(14分17秒 片エビ固め)渡瀬瑞基&近野剣心●
 ※パイルドライバー

  前回大会でIJ王者・佐藤光留に挑戦、敗れたものの合計193発のエルボー合戦を展開した渡瀬。4月参戦時にシングルで敗れて以来、佐藤耕平に照準を定めて闘志を燃やす近野剣心。雪辱を狙う2人をチャンピオンチームのダブル佐藤タッグが迎え撃つ。

 ゴング前から緊張感の漂うリング上。近野の視線を受け止めつつも落ち着いた表情の耕平。手四つの力比べも耕平は涼しい表情、青コーナーへ近野を追い払うと、渡瀬に出てこいとアピールする。迫る近野を両手で追い払う耕平。チョップを仕掛ける近野、瞬間で打ち返す耕平。連打にも耕平は相手にせず、突き放すと先に光留へタッチ。渡瀬も名乗り出てリングへ入る。

 組み合ってロープへ押し込み、早速エルボーを放つと見せかけて静かに離れた渡瀬。光留はタックルで倒し、組み合うと青コーナーへ押し込む。タッチして剣心が出てくると光留も耕平へタッチ。ローの蹴り合いにも表情を変えない耕平。光留と渡瀬はグラウンドの展開から渡瀬がエルボーを放つと再び打撃戦へ、渡瀬のエルボーで光留が倒れる。アゴに入ったダメージをレフェリーがチェック、カーフブランディングを狙う渡瀬を切り返して再び両者がスタンドで対峙。光留の頭突き音が響く。お返しに頭突きを狙った渡瀬、フロントネックロックでキャッチした光留。あわやレフェリーストップかと思いきや、立ち上がった渡瀬はブレーンバスターで反撃する。

 飛び込んだ剣心、エルボー合戦も耕平は揺らがず。倒れてもエルボーで迫る剣心だが、耕平は5発のエルボーを1撃で返し、ファルコンアロー。最後はとどめのパイルドライバーで剣心を沈めた。リング内、勝利した耕平の表情は笑顔。まだまだやろう、と呼びかけて手を差し伸べた耕平の手を剣心は悔しい表情で握り返した。

 

剣心「(渡瀬に)すいません、今日はすいません。くそ、佐藤耕平、いつもすかしやがって。俺はこのリングにわざわざ広島から、思い出作りに来てるわけじゃないけ。俺が狙うのは6人タッグのベルトでも、タッグのベルトでも、シングルのベルトでもない。佐藤耕平、お前の首だけだ。まだまだ諦めんけんの、いくらでもやってやるよ。まだまだ」
渡瀬「佐藤光留……! こないだ、タイトルマッチ。負けたよ。ベルト防衛、しつづけろ。またいくぞ、俺は。狙いにいくぞ」

※佐藤光留・佐藤耕平はノーコメント


▽セミファイナル・シングルマッチ(45分1本勝負)

○真霜拳號(22分2秒 無道)TORU●

  当初、シングル対決が決まっていた前回大会をコロナ感染で欠場したTORU。熱望していた対決が今大会のセミファイナルで実現した。初対決の両者、互いを探り合うような攻防から真霜の腕を取ったTORU、流れるようにヘッドロックへ切り返した真霜。TORUは低空ドロップキックで冷静に真霜の動きを止め、レッグブリーカーでヒザ攻めへ持ち込む。蹴りを封じる作戦に出たTORUに対し、真霜はいったん場外へ出てTORUをいなし、カウント9でリングへ戻る。TORUの苛立ちを誘うと、腕への蹴りからロープを使った左ヒジ攻め、さらに場外でコーナーポストへ打ち付けてダメージを蓄積させていく。試合ペースを握らせようとしない真霜、TORUはエルボーからヒザ攻撃。ロープを背にした真霜の両足をキャッチしたTORU、強引にダブルドラゴンスクリュー。串刺しからさらなるドラゴンスクリューで真霜の動きを止める。

真霜がアームブリーカーからワキ固め。さらに腕十字へ転じる。足を絡ませて逃れたTORU、ヒザ攻撃からスピニング・トーホールド。足のひねりを強めようとした瞬間、真霜が逃れるがTORUは追撃の足4の字固め。痛みをこらえながら真霜が反転、再びTORUが反転したところで真霜がエスケープ。クラシカルなプロレスの攻め技で見せる展開に、解説のアラケンも「いいですね、渋くて」と感心した様子。

 ジャンピングアームブリーカーからヒジへ蹴り、腕固めから無道を狙う真霜。逃れたTORUはドラゴンスクリュー。ともにダメージの深い状態ながらにらみ合う両者。足を取りに行ったTORU、すかさず真霜はカウンターのヒザ。その一撃に目がうつろになるTORUだったが、立ち上がり両者エルボーを放ち合う。TORUがドロップキックからDガイスト、カウントを返した真霜がロープを掴んで立ち上がったところへヒザ。ブレーンバスターを切り替えしての脇固めを逃れたTORUだったが、真霜は顔面へのジャンピングハイキックからバズソーキック。リング中央で真霜の無道がTORUを捕獲し、勝利した。

 

真霜「おーし、TORU、久々の気がするな。シングルは初か? まぁ正直、足攻めは効いたよ。予想してなかった技だったしな。いてえよ。でもな、まだだよ、てめぇは。まだ気持ちが弱えな。足でダメージをあたえて、勝負をかけて。そのあと何だ? まだまだ足んねぇんだよ、頭と気持ちがよ。後の攻め、そして相手の足、折ってもいいという覚悟、これが足りねぇ。おまえはうまいかもしんないし、まぁまぁ強いかもしんねぇけど、まだまだだ。頂上に、トップに行くにはまだまだ足りねぇもんがあるぞ。それに気づけよ今日の試合で。気づけばいいなぁ」

TORU「アホじゃないんで、分かってるんですよ、そんなもん。真霜拳號、プロレス界のトップレスラー。でも俺だって、自分の団体のチャンピオンやし、ましてや天龍プロジェクトの第1回龍魂杯・覇者であり第20代IJ王者やからね。当たり前のように負ける気せんと試合しましたけど、完敗ですよ。でもね、真霜拳號とやるからって、戦う前から日和ってるヤツいる? いねぇよな。今日で負けたけど、涼しくなってきましたねぇ、第2回龍魂杯。もちろん龍魂杯、もちろん連覇狙ってるんで。このリングでTORUの存在示していきます


▽メインイベント・タッグマッチ(60分1本勝負)

○矢野啓太&鈴木秀樹(16分48秒 足取り式ゆりかもめ)河野真幸&SUSHI●

  メインにはSUSHIが登場、WAR6人タッグ王者の河野真幸と組んで鈴木秀樹・矢野啓太タッグと対峙、試合の特別解説は佐藤光留が務める。

 第2試合を飛び出したSUSHIの活躍、いつもと変わらない様子で入場のSUSHI、先発で登場。次回大会で佐藤光留の持つIJのベルトに挑戦が決定している矢野はSUSHIの腕を取り、グラウンドで矢野をヘッドシザーズに捉える。抜け出した矢野はごろ寝の体勢で余裕の表情を浮かつつ、鈴木へタッチ。

 河野の腕を取った鈴木、河野は突き放さずにあえて鈴木の攻防に付き合っていく。SUSHIも刺激を受けたのか、矢野相手に足を取りグラウンドへ。組み伏せようとするSUSHIを矢野は腕がらみで返す。エスケープで逃れたSUSHIの腕を放さず、追撃する矢野。SUSHIは矢野を突き放して両軍ともにタッチ。河野をフルネルソンで捉えた鈴木、河野はじっくりと溜めてほどき、逆に鈴木をフルネルソンで捕獲する。鈴木は足の間からほどき、河野を押しつぶしてカウントを迫ろうとするが、河野は返して上になりアームロックへ。立ち上がってもほどかず、赤コーナーへ鈴木をたたきつけてSUSHIを呼び込む。

 SUSHIは鈴木の左腕を狙うが、鈴木は回転し足でSUSHIの頭を挟み込み、立ち上がるとエルボー。SUSHIはバズソーキック。続いて河野が鈴木へジャンピングニー。鈴木は串刺しをかわすとロープ際で大型タランチュラから矢野へタッチ、ヘッドロック。河野へサイドスープレックス。河野は矢野をロープへ飛ばすとジャンピングニー。タッチしたSUSHIは矢野へニールキック、串刺しのSUSHIボンバー。リング中央で河野が矢野を伸ばしたところへSUSHIがダイビングヘッドバッド。連携を切り崩した矢野がSUSHIへヘッドバッドをお返しする。15分経過、矢野の腕を取りSUSHIが矢野をかんぬき。ここでSUSHIがまさかの頭突き。倒れたところへ鉄火巻きを狙うSUSHIだったが、矢野はサムソンクラッチとみせかけてネックツイスト。さらにゆりかもめでSUSHIをとらえる。さらに足取り式ゆりかもめで締め付けるとSUSHIから「まいった」を奪った。

 

 試合後、全選手がリングに集合。天龍源一郎不在のなか、IJシングル王者の佐藤光留がマイクを持った。

「本日は日曜日のお昼に天龍プロジェクト新木場大会へ足を運んでいただき、またご視聴いただきありがとうございます。今日、天龍さんが欠場ということで、自分が最後挨拶をさせていただくんですが、天龍さんがいなかったら天龍プロジェクトじゃないのかなと不安でしたが、全試合見て、天龍さんのプロレスを見て育ち生きてきた天龍プロジェクトのメンバーのプロレスが見れて、嬉しさが30%、嫉妬が70%です。すごい試合見たらすごい悔しいです。痛みの伝わりすぎるプロレス続けていきますんで、天龍さんもまだまだお腹いっぱいにならないでください。まだまだ僕らのプロレスで皆さんを満たしていくんで。せっかくの機会なんで、これを見ているプロレスラーの皆さん、世界でここだけの痛みの伝わりすぎるプロレス、やってみたいと思う選手、大歓迎です。どんどん上がってきてください、そして、全員つぶします。それが天龍プロジェクトの、ジュニアのIJチャンピオンの使命だと思ってます」

 最後は光留が「天龍さんに物理的に届くくらいでかい声で」と仕切りながら、観客とともに「エイエイオー」3本で大会を締めた。


矢野「近年まれに見るコンディションの良さ。季節が変わっていくけども、あと2週間でIJシングル挑戦する。だからこのままもっともっと充実したレスリング・ライフ。戦うのもよし、見るのもよし。今日家出る前に見てたのは、ピート・ロバーツ。以上、ノーコメント」

鈴木「(SUSHIの手を引いて一緒に座り)なんで負けたのにいるんですか?」
SUSHI「知らんがな! 来たんやん! あれ、俺が来たんや、ごめん、ごめん、お先(そのまま退場)」
鈴木「えー、お見苦しいものをお見せしました。パートナーは?(もうコメントを出されて)あ、そうですか。今回タッグを組んで……どうもこうもないですよね。シングルマッチやってるような感じでした。でもまぁ、本来、レスラーって個々、それぞれ独立して、ほぼ1人1人の、それがレスラーなんで。だからこれがあるべき姿かもしれないですし、そういう意味じゃ面白かったですね。
河野さんは前にもやったし、僕より大きい人なかなか少ないから面白いし、もう1人の人も面白いっていうか、何言ってるか分からない。ギブアップってレフェリー言ってたから『ヴェー』って言ってるから、ギブアップしたのって聞いたら『まいったって言いました』って。まいったで終わる人、聞いたことないですね。まいったって言う人います? 昭和の時代でも、プロレスの漫画で出てくるくらいでしょう。まぁ、いずれにしろ勝ったんでしょう。まいったって。決着はついたんでしょうね。個性があふれる先輩たちで。僕、キャリア一番下ですから。偉そうにしてますけど、一番下ですから。だいぶ下です。
(天龍さん不在の中の開催だったが)天龍プロジェクトですからね、天龍さんの名前が出ている大会だし。ただ僕はこれが、この状況は何もおかしくないことにしたいですね。この状況が何もおかしくないことになって、お客さんがたくさん来て盛り上がって、そこにまた天龍さんが戻ってきたらもっとお客さんたくさんくると思うし、そういう状況のほうが面白いと思うんで。これは僕らが天龍さんに試されてると思うんで、この状況を僕らが勉強して楽しんでやればいいかなと思っています。……まいったっておかしいですよね。はい。まいりました」