試合結果

2022.09.20

2022年9月19日 大阪大会

2022年9月19日 大阪大会

天龍プロジェクト

Osaka Crush Night 2022

2022年9月19日(月=祝)/大阪・176BOX


 日本列島へ台風が上陸する中で開催された大阪大会は、台風による交通機関への影響を考慮して試合時間が変更に。1~5試合は30分から15分に変更、タイトルマッチ2試合は60分から30分へと短縮し行われることとなった。

 試合に先駆けて天龍プロジェクトの嶋田紋奈代表が挨拶。

「本日は天候にご不安のある中ご来場いただきまして誠にありがとうございます。配信をご覧頂いている皆様もありがとうございます。試合時間に変更がございますが、選手たちは試合時間の変更でより厳しい戦いを強いられることになると思いますが、こうした不測の事態にとても強いのも、プロレスラーだと私は思っております」。

 さらに、先日入院した天龍の手術は無事成功し、術後の回復も良好。天龍本人もまた、大阪会場へ来場することを楽しみにしていること。その日のためにも今は体を最優先にする時間をとらせて欲しいと語った。

 この日は天龍プロジェクトの大阪大会ではじめて、不織布マスクをつけた状態での声援が解禁、ファンの声が久々に176BOXへ響いた。


▽第1試合・タッグマッチ(15分1本勝負)

河野真幸&○SUSHI(12分8秒 SHIMESABA)後藤哲也●&吉田和正

 オープニングマッチは大日本プロレス・吉田和正とプロレスリング紫焔・後藤哲也がタッグで登場。天龍プロジェクトのベテランコンビ、河野・SUSHIと対戦。声出しOKの会場をあおるSUSHI、吉田は自軍コーナーへ引き込むと後藤にタッチ。

 7月の王子大会で河野に敗戦した後藤は、早速巡ってきたリベンジのチャンスにボディスラムを狙うが、返されヒザ蹴りをくらってしまう。気合いとともにチョップを放つも代わる代わる痛めつけられて反撃の糸口を掴めず、ジャンピングニーからブレーンバスターでカウント2。串刺し攻撃を切り替えした後藤、ミサイルキックで一矢報いると吉田へつなぐことに成功。体格差にもひるまず向かっていった吉田、河野をブレーンバスターで担ぎ上げて場内をどよめかせる。河野は逆に落下傘式のバックドロップ。ニールキックで飛び込んだSUSHIへ吉田がバックドロップ。流れを受けて後藤がリングイン、吉田はエルボーで後藤を援護。

 食い下がる後藤をSUSHIはバックドロップ。カウントを返すとSUSHIが逆片エビ。カットに入る吉田を河野が阻止する中、根性でエスケープに成功する後藤だったが、待っていたのは前回の王子大会でも繰り出したSUSHIのSHIMESABA(変型卍)。エビからシメサバに繋いだSUSHIの切れ味が光った。

吉田「ちきしょう。今日も負けてしまった。俺は毎大会毎大会、呼んでいただいているのに。チャンスをもらっているのに。そのチャンスを生かすことができない。それが本当に悔しいです」
後藤「すみません。自分も7月の選手プロデュース興行からでようやく本興行、大阪大会に呼んでいただいて。やっぱりこの天龍プロジェクトのリングはすごい強力な敵ばっか、いっぱいひしめきあうリングで。これからももっともっともっと精進して、このリングで戦っていきたいんで。そしていつかこの団体のトップを狙えるような選手に僕もなっていくんで。ご期待ください。すみません、今日はありがとうございました。またよろしくお願いします。くそ」
吉田「こうやって新しい人もたくさん入ってきてる、今のままじゃどんどん新しい人に追い越されてしまいます。僕はずっとこれからも天龍プロジェクトに上がっていきたいので。必ず次は結果を出します。ありがとうございました」

SUSHI「てやんでぃ。勝ったぞ。ありがとうございました。やっぱ河野さん、いいですね」
河野「ありがとうございました。いきますか、タッグ挑戦しますか」
SUSHI「え……いいんですか、いきますか。いきましょう」
河野「いきましょう。あと吉田、いつ? 流れてる6人タッグのタイトル、待ってるよ」
SUSHI「前回も河野さんとタッグで、前回もメインで自分が惜しくも……、惜しくもって自分で言うのもなんだけど惜しくもメインで敗れて。でも今回また第1試合で組まれたってことは、なんかこのタッグに希望を抱いている人がいるんじゃないですか。わかんないけど。ボクは存続を希望します。タッグマッチ組むときは河野さんと組ませてください。この調子でどんどん勝っていくからな! てやんでぃ!」


▽第2試合・シングルマッチ(15分1本勝負)

○菊タロー(11分34秒 片エビ固め)菅沼修●
 ※シャイニング・菊ザード

 前回の大阪大会で因縁勃発、シングルマッチが決定した両者。菅沼は気合いに満ちた表情で入場、クリーンな握手で試合スタート。菅沼の気合いが場内に響く。ロープに押し込んでチョップを放ったのは菊タロー、菅沼はリストを取って悶絶させる。「ギブア…」まで発するも飲み込んだ菊タロー、菅沼の腕を絞り返す。エスケープで逃れた菅沼、ぶつかり合いと見せかけていなしショルダータックル。

 場外へ逃れた菊タロー、菅沼が追うとリングへ戻りセカンドロープで股間へ一撃、さらにトーホールドと菅沼を下から崩していく。レフェリーの死角でタイツから何やら凶器を取り出した菊タロー。グーパンチ、サミングと小ずるく攻め込んでいく。レフェリーチェックを挟んでようやく菅沼が反撃へ、串刺しからサンセットフリップ、ヘッドバッド。両者チョップ合戦から菊タローがえびす落とし。フィニッシュへの前口上から菅沼が逆ブレーンバスター。互いに股間を打った状態で弱々しいチョップ合戦、最後の力を振り絞ってキックを放った菅沼、菊タローはすかさずドラゴンスクリューからシャイニング菊ザード。この一撃で菊タローが試合を制し、菅沼の上に立つことに成功した。

菅沼「菊タロー……。やっぱり大阪では菊タローを超えないとお笑い一番とは言えないです。必ず、必ず! 菊タロー、いつか超えてみせますと言いながらもう10年20年経ってるんですけど、この先どんだけかかっても必ず、必ず超えるぞガチョーン! …………あ、すいません」

菊タロー「なんちゅうかあの、とにかく、とにかくね、あとチンポジね、あと2センチ横に行ってたら決まっていなかったね。でもま、とにかく……♪稲妻が闇を裂いて~俺を呼んでる~(『マッチョ・ドラゴン』を歌いながら退場)」


▽第3試合・タッグマッチ(15分1本勝負)

○ツバサ&アルティメット・スパイダーJr(12分8秒 プエンテ・デ・ソル)レイパロマ●&“brother”YASSHI

 パロマ&YASSHIの広島・ダブプロレス組と大阪プロレスのツバサ&アルティメット・スパイダーJr.(以下、USJ)組の対戦。YASSHIが「カス野郎!」と連呼しつつも互いの先を読み合う互角の攻防を展開、タッチしてパロマとUSJがリングイン。YASSHIやツバサの戦いぶりを見て刺激されたか、パロマも序盤からルチャを意識した攻撃を繰り出していく。USJへ繰り出したヘッドシザーズで一瞬パロマのタイツが危ぶまれるが、これはなんとかセーフ。タッチしたツバサがパロマを転ばせ、USJが低空キック一撃。パロマもホイップから股間を密着させて反撃。YASSHIはツバサを意識しつつパロマに見せ場を作らせようという心づもりか、深追いせずパロマにタッチ。パロマはバックエルボーからサマーソルトドロップ、股間を顔面へ押しつけた形でのカウントを迫る。場外へ逃れたツバサをYASSHIが捕獲、パロマとの連携を狙うがツバサは2人同時にホイップ。USJを呼び込むと、YASSHIを場外へ追いやってのトペからクロスボディでフォールを迫る。

 リング内、YASSHIがマンハッタンドロップからバッドボーイ。両軍タッチ、ツバサの華麗なカサドーラクラッチにパロマはニールキック。ヘッドシザーズを放つもここでTバックを露出。タイツを直す余裕もなくドロップキックから恍惚へ。これをUSJがカット、YASSHIも飛び込み引き離す。ノーザンライトからフォールを狙うもツバサはDDT。手と足を絡めとったツバサはジャベでパロマをさらし者状態に。タイツも絡まり為す術なしのパロマはギブアップ。配信コードギリギリの状態でフィニッシュとなったパートナーの姿にYASSHIは、そっとコスチュームをかけて隠した。

YASSHI「くっそ、カス野郎、ツバサ。CMLLジャパンの時から見てたツバサ。あんときは俺が高校生やったけど今はちゃうぞ。立派なカス野郎や。次にこのリングで対戦するときは、絶対に逃さへんから覚悟しとけカス野郎。なぁパロマ!」
パロマ「やってくれたなオイ!! カス野郎、今日のカス野郎は俺かもしれねぇけど、今度はオマエらがカス野郎だ、覚悟しとけよカス野郎!」
YASSHI「今日はこれくらいで勘弁しといたるわ、カス野郎!」

U・スパイダーJr「ふう、brother”YASSHI”、おまえが見てるのはツバサしかいねぇのか。俺も見てんねん、オイ! おまえの持ってるタッグのベルト挑戦してもいいぞ。何なら一緒に呑もうやないか。おい、どやどやどや。次、リングで会うか、ステージで会うか。俺は楽しみにしてるからな」
ツバサ「おいbrother”YASSHI”、おまえのくっさいモジャモジャの毛と、パロマのくさい股間、そんだけじゃ俺たちにはかなわねぇんだよ。いつでも挑戦してこい」


▽第4試合・シングルマッチ(15分1本勝負)

○TORU(12分14秒 片エビ固め)グルクンマスク●
 ※垂直落下式ブレーンバスター

 琉球ドラゴンプロレスより再始動後・初参戦のグルクンマスク。ゴング直後、組み合ってロープに押し込むと鋭いキック。場外へ落とすとトペを放って一気に仕掛けていく。リングへ戻ったTORUもドロップキックからチョップ。打ってこいと挑発したグルクンマスクは切り返して足責めへ。ヒザ十字でTORUを崩していく。エスケープで逃れたTORUへチョップから蹴り、TORUがエルボーを返すとマシンガンキックで棒立ちにさせる。

 グルクンマスクのペースを崩したいTORU、低空ドロップキックからネックブリーカー。グルクンマスクはカウンターのドロップキックからスワントーンボムでTORUのいいようにはさせず。TORUの背へキック連打、TORUが返すと胸板を突き出し、打ってこいと再び挑発。TORUが蹴ると再びグルクンマスクが蹴り返し、再度TORUを挑発。TORUの蹴りを受けたグルクンマスク、TORUの蹴りで胸板が真っ赤に腫れ上がる。互いに引かない状態からダブルノックダウン。先に立ったのはグルクンマスク、カウント9で立ち上がりグルクンマスクを追ったTORU。コーナーへ上がったグルクンマスクをとらえ、雪崩式ブレーンバスター。TORUも頭を打ち、すぐにフォールへ入れない。

 再度ブレーンバスターを狙ったところグルクンマスクが返す。TORUはローリングエルボー、グルクンマスクはラリアット。残り5分を切った状態での攻防からTORUがDガイスト、これはカウント2。ならばと垂直落下式ブレーンバスター。グルクンマスクをマットに沈めた。

 勝利したTORUは座って一礼。グルクンマスクが差し出した手をTORUが両手で握り返した。

TORU「天龍プロジェクト大阪大会のね、何も知らない人からしたら休憩時間前くらいの第4試合のシングルマッチですけど、僕からしたら17、8年越しのやっとたどり着いたスペシャル第4試合ですよ。あの人がいるから、断言しますよ、あの人がいたから僕はプロレスラーになることができました。あの人がいるから、あの人が枚方の畳の道場、沖縄の嘉手納のリングを作ってくれなかったら、僕が第1回龍魂杯で優勝することもなかったし、第23代IJ王者になることも間違いなくなかったです。なんすか、再来年の4月で引退するんでしょ? 別にさせねぇよって言う気もないです。本当に、本当に、お疲れ様でした。あと1年と少しの間、全力でグルクンマスクのプロレスをお客さんに、そしてかわいい後輩にも届けてくださいよ。本当にありがとうございました」

グルクンマスク「まぁTORUは、長い付き合いですねもう、20年近いのかな。ファンで会場通ってる頃から知っていて、キツい思いさせたりとか嫌な思いさせたりとかもさせてしまったかもしれないけど、それはもう本当に今考えてみると若気のいたりで申し訳なかったかなと思う反面ですね、今日その何年ぶんかの思いがあの蹴りにこもっていたかなと。めっちゃくちゃきつかったです、蹴りが。まぁ、琉球ドラゴンプロレス旗揚げの時にTORUにはいろいろと力を貸してもらって、プロレスにどっぷり浸かってもらいたいと思って誘ったんですけども、今こうしてプロレスにどっぷり浸かって、天龍プロジェクトという大きい舞台でシングルが出来たのは非常に嬉しいです。負けて悔いなし。彼はどんどん上り調子で、僕はもうどんどん下っていくばかりなんで。もうちょっとね、来年4月で休む準備はできているんですけど、もうちょっとだけ頑張ってみます。ありがとうございました」


▽第5試合・6人タッグマッチ(15分1本勝負)

△船木誠勝&越中詩郎&真霜拳號(時間切れ引き分け)関本大介&佐藤耕平&渡瀬瑞基△

  豪華メンバーで彩られた6人タッグマッチ。先発は真霜と渡瀬、ロックアップから押し込んだ真霜が胸を叩いてあしらうと、渡瀬もまた頭をポンポンと叩いてあしらい返す。真霜が渡瀬をとらえて自軍コーナーへ連れ込むと、早速越中が飛び込んでケツ攻撃へ。しかしこれはタッチが成立していないとレフェリーがチェック、やむなく越中はコーナーへ。改めて両軍タッチしリング内は越中と船木が対峙。手四つの力比べを回転しうまく返した船木、リストロックを狙って力で勝る関本を相手に引かない構えをみせる。

 三角締めを持ち上げようとした関本、船木は察知して離れると越中へ。関本へのケツ攻撃から真霜を呼び込んでダブルタックル。さらに船木の蹴りへとつなぎ、意外にも息の合った連携を見せる。船木のチョップに関本も返してドロップキック。耕平が飛び込み船木と足関節の取り合いへ。次いで船木と越中が耕平の股割き、越中と耕平の場外戦はカウント4でリングへ。

 エプロンで気合い十分に自分の尻を叩いた越中。かつて佐藤耕平の歯を折ったことで、その威力がより恐れられているヒップアタックがエプロンから耕平、関本へさく裂する。耕平をリングへ引き戻し、河津落としからヒップアタック。ショルダースルーで返すと関本を呼び込む。関本は先ほどのお返しとばかりにラリアットからブレーンバスター、さらにチョップ乱れ打ちと一気に関本ペースの肉弾戦へ。船木もまた蹴りで衝撃音を場内に響かせる。関本は蹴り足を掴んでドラゴンスクリュー、渡瀬へタッチ。残り3分、渡瀬がカーフブランディングを狙うも船木はデッドリードライブ。

 リングへ入った真霜へ渡瀬がドロップキック。さらにエルボー、カーフブランディング。バックドロップを狙うが真霜は行かせずエルボー。打ち合いから残り1分で真霜がフロントキック、ジャンピングキックからのフォールはカット。分断から真霜がバズソーキック、フォールは耕平がカット。残り10秒で渡瀬が踏ん張り技に入らせず、時間切れドローの引き分けとなった。

 ドローも越中は船木、真霜の腕を上げて雄叫び。耕平は船木、真霜とクリーンに握手も越中とは睨み合い、握手せず。勝ち名乗りをあげた越中・船木・真霜組が先に退場すると、耕平と関本も渡瀬の健闘を称えて両腕を上げ、退場した。

関本「渡瀬、大丈夫か。まだまだいけるな?」
耕平「よく耐えた」
渡瀬「まだまだいけます。すげぇ、すげぇ相手だったけど、名前聞くだけでびびるような相手だったけど、戦えてる。まだまだいけます」
関本「いや、最高の3人ですね。面白いなぁ。テンション上がっちゃいますね」
耕平「面白かったね。ワンモアだね、ワンモア。やってやるって!」
渡瀬「やってやるよ! 次あたったとき、俺のケツぶちこんでやる!」
関本「次はケツを砕いてやる!」

真霜「えっと、時間がね。15分1本勝負になっちゃって足りなかったね。越中さんも船木さんも元気だから、もっとやりたいんだよ。もっと長い時間で戦わせてくれよ。いやー、あの2人、まだまだ元気。まだまだ俺はかなわないかもしれない。追いつくよ、これから」


▽セミファイナル・IJタッグ選手権試合(30分1本勝負)

<王者組>○谷嵜なおき&児玉裕輔(17分29秒 片エビ固め)<挑戦者>椎葉おうじ●&仁木琢郎
 ※リビドー。第21代王者組が初防衛に成功

 椎葉&仁木のレッドブルー組が勢いでつかみ取ったタイトルマッチ。椎葉にとってこれがキャリア初のタイトル戦となる。仁木と同じ2AWの真霜拳號が挑戦者組のセコンドについた。

 先発は児玉と椎葉。昨日の全日本プロレス武道館大会ではタッグを組んでいた両者の対決。リストを取った椎葉、取り返されるもアームホイップで跳ね返す。ヘッドロックに児玉を捉えるも、児玉は髪を掴んでいなし、自軍へ引き込むと谷嵜へタッチ。椎葉も自軍へ戻り仁木を呼び込む。

 仁木はエルボー連打から椎葉とのダブルバックエルボー。次いで椎葉がローリングサンダー、谷嵜の背へ蹴り。椎葉がまったく同じ技でやり返すと谷嵜も再度やり返す。静かにタッチを受けた児玉がアトミコ、谷嵜が河津落としと椎葉を痛めつける展開に。児玉が珍しく気合いとともに平手打ち、マンハッタンドロップから谷嵜がエースクラッシャー。ムイビエンで悶絶する椎葉、セコンドの声を受けてエスケープに成功。谷嵜へ逆水平からレッグラリアットで反撃、仁木を呼び込む。

 仁木は谷嵜へ延髄からバックドロップ。次いで児玉も仁木が下からミサイルキックで撃墜。前回大会のシングル戦で勝利した自信か、仁木が王者組を相手に攻勢へ。互いにパートナーを呼び込むと、椎葉は谷嵜の背へフットスタンプ。ダメージを受けるも谷嵜は脇固めの形からクロスフェース。仁木が救助に入るも、児玉がすかさず入りダブルクロスフェースの形にとらえる。

 エスケープも王者組は串刺しから地獄の断頭台、カサノヴァへ。王者組ペースとなった試合展開、椎葉がインプラントボムの体勢に捉えられたところを仁木が救助。カナディアンの形で逆に谷嵜をマットへたたきつけることに成功。仁木が串刺しドロップキックから飛びつきDDT、椎葉にジャーマンで投げられまいと踏ん張る谷嵜、ロープを掴み児玉が引き寄せるがその手に仁木がドロップキック。ジャーマンで大の字になったところへ仁木がマッドスプラッシュ、椎葉がムーンサルトにひねりを入れたヴァルキリースプラッシュ。

 カットに入った児玉を挑戦者組はダブルドロップキック。ストレートで粘る谷嵜へ椎葉がランヒェイ。ヴァルキリースプラッシュに続く椎葉の隠し技2連発に場内がどよめく。児玉のアシストを受けて谷嵜がリバースインプラントで潰しにかかるが、椎葉はすぐさま上半身をあげて返す。谷嵜の奥の手・カサノヴァ改をも返した椎葉、谷嵜はインプラントボム。これも椎葉は返し、場内から大きな拍手。しかし、続けて放たれたリビドーでついに椎葉で沈み、王者組が初防衛を果たした。

仁木「相当、ハードだ。ハードな戦いでしたね、椎葉さん、最後、俺たちチャンピオンに勝つことできなかった。最後とられたのは椎葉さんですけど、俺たちはレッドブルーっていうタッグチームなんで。ああくそ、ああ悔しい。俺にも責任あるし。まだまだ俺たちは上を目指していかなきゃいけないと思っているんで。次、次、もう1回、もう1回、もう1回、やらしてくれ! ゼロから1からスタートなんて出来ないんで。割り込んででもあのベルトもう1回取りに行きます」
椎葉「ようやくはじめてのタイトル挑戦。ものに出来なかったのがすごく悔しいです。でももっと、まだ自分たちのこのレッドブルーっていうユニットにはすごい可能性を感じたんで。タッグチームとしてのチームワークもそうですけど、自分の技量をもっと高めて、もう1度 ベルト挑戦します。それまで絶対、何度だって這い上がっていきます」
仁木「次、俺たちがベルトを取るときもチャンピオンは児玉・谷嵜組でいてくださいね。次、次にもう切り替えていきます。ありがとうございました」

児玉「防衛、防衛。苦しかった。ぶっちゃけ、若いやつらが、勢いだけの若いやつらだと思ってましたけど、完全に見誤ってましたね。危ないシーン何回もあったし、完全に、めちゃくちゃリスペクトします。試合終わったから。すごかった」
谷嵜「あのキャリアでここまでやるって、予想すらしてなかったよ。さすがこのIJタッグに挑戦してくるだけあるよ。十分価値のある挑戦者だった。またやりたい。でも、その挑戦者を俺らが押さえつけて勝った」
児玉「最終的には僕らの防衛ですからね」
谷嵜「このタッグの価値をもっともっと、内容も高めていこうぜ。ありがとう、コダやん。次は誰だ。誰でも来い、コノヤロー」


▽メインイベント・IJシングル選手権試合(30分1本勝負)

<王者>○佐藤光留(29分8秒 ラ・マヒストラル)<挑戦者>矢野啓太●
 ※第24代王者が2度目の防衛に成功

 シングルで2度激突し天龍プロジェクトのリングを盛り上げ、その後は前王者組としてともにIJタッグのベルトを巻いた佐藤光留と矢野啓太。そして今日、佐藤光留の持つIJシングルのベルトに矢野啓太が挑戦する形で2人が対峙する。

 光留が差し出した右手を矢野がさっと握り、短い握手の後ゴング。場内が固唾を呑んで見守る中、距離を取って向き合う両者。互いに入れない状況から矢野がタックル、光留が引いて組ませず。光留の蹴り足を取って倒した矢野。足を振って組もうとした矢野を振り払い、光留がロープを掴んでエスケープ。

 スタンドに戻った両者、光留の右ミドルが矢野のボディにさく裂。ガードが遅れ矢野がダウン、カウント8で立ち上がる。ヒザからフロントネックロック、矢野が外してグラウンドの展開へ。矢野のヒザ十字から光留がアキレス。矢野が顔面への攻撃をはさみながらV2アームロック。絡み合うグラウンドの攻防の中、矢野が腕を取って絡めてから光留の両肩を付けてフォール、カウント2で光留が立ち上がる。

 スタンドで向き合うとまたしても光留がミドルキック。脇腹に入れられた矢野が悶絶。追撃する光留を再びグラウンドへ引き込む矢野だが、腕十字で矢野をとらえエスケープさせる。今度は矢野がアンクル。光留はヒザを使って足を攻撃し逃れる。

 打撃で勝る王者が試合を優位に進めていくが、矢野も首を極めて反撃。光留は「全然痛くありませんよ」と意地を張るもエスケープ。ロープに走った矢野をすかすと、サードロープを使った矢野の腕攻撃からキック。さらに水車落としからフォール、返されると腕十字へ。逃れるとアンクルホールド、ジャンピングハイキックと光留の猛攻が続く。起き上がるも視線の定まらない矢野へキック、腕十字。よろめく矢野へ光留が掌底。タックルをきられるも腕十字、肩を付けられた矢野がキックアウト。しかしまたも光留が矢野を腕十字にとらえる。クラッチがきれた矢野がリング中央で悶絶。ようやく足を伸ばしエスケープに成功する。

 ダウン状態の矢野、立ち上がるも左手をかばう様子。猛攻の光留もダメージ、スピードが落ち始める。タックルし光留の体勢を崩すと、フォールに行くと見せてゆりかもめ。エスケープを狙う光留の足をさらに固め、スタミナを奪う。前半の腕責めによるダメージか技を解いた矢野。追撃を狙ったところへ光留が下からヘッドバッドを放ち矢野をダウンさせる。

 互いに立ち上がると矢野もヘッドバッド。蹴り足をキャッチするとボディへのナックル連打からフォール、カウント2。上になった光留がヘッドバッド。矢野が崩れるもカウント2。這いずるように立ち上がった矢野がコブラツイスト。ロープに手を伸ばした光留へローリングクレイドル。カウント2で返した光留が大振りの平手打ちを乱発。矢野は足を取って光留を崩しアキレスを狙う。残り時間3分、アキレスの取り合いに。ギブアップしないとみるや光留はトーホールド。矢野もヒザ固めに切り返す。矢野がレッグロールクラッチ、光留がスリーパーで切り返し脇固めへ。残り時間終了を目前に次々と繰り出される関節技の攻防の中、最後に光留が切り出したのはラ・マヒストラル。3カウントで光留がベルトを守り切った。

 戻ってきたベルトを手に、勝利の雄叫びをあげた佐藤光留。右手を差し出した王者に矢野が応え、握手をかわした。


 全試合終了後、マイクを持った光留。

「矢野啓太、矢野啓太。最強のチャレンジャー、矢野啓太。勝ったんで私の言うことを聞いてください。本当は好きじゃないのわかってる、でも現代のプロレスは試合が終わったらすぐマイクが投げ込まれてくるんだよ。ノーサイド、ノーサイドだよ。せっかくこんな日に来てくれたんだ。天龍プロジェクト、出場してくれたメンバーあがってくれ。だいぶコロナも収束してきたかと思ったら、次は台風がくるという、自然にはそう簡単に勝てない、そう思わされました。おまけに天龍さんも。天龍プロジェクトのリングに戻ってくるまで超頑張ってます。今日、この大阪に、この世にひとつしかないザ・プロレス、天龍プロジェクトを見に来ていただいて、配信で見ていただいてありがとうございます。
コロナに台風に病気に、どんどん敵が増えていきますが、プロレスラーはけっしてあきらめない上に、我々には全員天龍源一郎の遺伝子が多かれ少なかれ流れています。何があったって絶対にあきらめません。もうお腹いっぱいだって言ったら、我々がお腹をすかせます。まだまだ腹いっぱいにならないでください。俺たちが天龍プロジェクトのプロレスで、皆さんのお腹を埋めます。次も、代表。次の大阪っていつなんですか。……来年の寒い時期だそうです。いいや、待ってますよ天龍さん。俺たちはいつでも待っていますからね、天龍プロジェクトのリングで待っています」

 最後は光留の「それでは皆さん、エイエイオーで天龍さんに向かってアピールしようじゃありませんか。僭越ながら皆様、ご起立願います」のマイクで「エイエイオー」。王者が観客、試合を終えた選手たちとともに大会を締めた。


矢野「リアル。まぁこんだけ言っておいて、悔しいです。本物、本物を感じた。虎は死して皮を残し、人は死して名を残す。龍は、死なない。以上、ノーコメント」

光留「いろんなプロレスがあって、いいと思うんですけどね。でも天龍源一郎のリングですからね。やっぱりプロレスリングじゃないとって思いはあるんで。でも『ざまぁみろ』って気持ちですよ。全然いいよ、みんな信じたプロレスをやればいい。飛ぶことが悪いとは言わない、凶器攻撃も嫌とは言わない、やられるのは嫌だけど。でも天龍プロジェクトのリングのプロレスは、ザ・プロレスだよ。プロレスって辞書で引いたら、俺たちが出てくるんだよ。デザートでお腹いっぱいにならないでしょ。ファーストフードでお腹いっぱいにならない、満足しないでしょ。俺たちは料理だから。プロレスファンの心を、料理で胸いっぱい、腹いっぱいにしますよ。ありがとうございました」