試合結果

2022.10.27

2022年10月26日 新木場大会

2022年10月26日 新木場大会

天龍プロジェクト

『WRESTLE AND ROMANCE』シリーズ第7戦

2022年10月26日(水)/東京・新木場1stRING



 試合開始に先立ち、天龍プロジェクト代表の嶋田紋奈代表がリングに登場し挨拶。「本日もご来場いただきまして、また配信をご視聴いただきまして誠にありがとうございます」と場内に一礼した後、第3試合に出場予定だったTORUが大会当日、試合開始直前に欠場となってしまったこと、欠場に伴って対戦カードが大幅に変更となったことを観客に謝罪。TORUの詳細については、あらためてTORUが所属するTTTプロレスリングと対応を協議した上でしかるべき発表を行うとし、変更となったカードをリング上からアナウンス。「対戦カードが変更となりましてご理解頂くこととはなりますが、今日も天龍源一郎の名の下に天龍プロジェクトらしく、明るく激しく楽しくプロレスをしてまいります。選手一同への温かい声援をよろしくお願いします。本日も腹いっぱいのプロレスをお楽しみください」と続けた。

 次いでリングに現れたのは欠場中の“龍魂三銃士”のひとり、拳剛。

「今夜もやってきたぜ天龍プロジェクト! こんばんは。拳剛と申します。今日も寒い中お集まりいただきありがとうございます。今寒いなって人、俺だけ? 俺入れて3人? それでは3人のために、暖まってもらいましょう。今日も、いいですか準備は。このBGMが流れてますよね、これに合わせて拳剛コールをいってみましょうか。みんな、プロレスの応援の仕方忘れてんねん、俺もそうやと思うし、そやから今日はそれを思い出して帰ってくれ」。

 場内は拳剛の入場テーマに合わせて「拳剛」コール。続いて画面の向こうで大会を見守っている天龍源一郎に向けての「天龍」コール。場内をしっかり暖めると「みんな最高です! その感じでメインまで思い切り楽しんで帰ってください! 天龍プロジェクト、スタート!!」と締め、試合スタートとなった。

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▽第1試合・タッグマッチ(15分1本勝負)

○那須晃太郎&飯橋偉進(14分43秒 片エビ固め)谷嵜なおき&渡瀬瑞基●
 ※バックドロップ

 TORUの欠場を受けて対戦カードが変更となり、谷嵜と渡瀬がタッグで第1試合に登場。IJタッグ王者が第1試合とメインをそれぞれに彩る大会となった。前回の後楽園で対戦し、時間切れドローとなった渡瀬と飯橋が先発。気合いとともに組み合ってロープ際に押し込み、エルボーを放ったのは飯橋。ドロップキックからのエルボーを受け、渡瀬が飯橋の髪を掴んで睨む。

 逆水平を放って渡瀬に火をつけようと迫る飯橋だが、渡瀬は顔面への踏みつけで、逆に煽っていく。谷嵜の鋭い蹴りから渡瀬のボディスラム。渡瀬はコーナーの那須にもビッグブーツを放ち、那須を挑発。火のついた飯橋がエルボーを連続してたたき込むと、渡瀬はドロップキックで迎撃。さらに谷嵜のキャメルクラッチで悶絶させられた飯橋がエスケープ。谷嵜・渡瀬組にかわるがわる攻め込まれ、ふらつき息が上がっていく飯橋。ロープ際で渡瀬はエルボー連打。飯橋はロープに走った渡瀬になんとかフォアアームで一撃くらわし、那須を呼び込む。

 那須が渡瀬へミドルキックからヒザ、串刺しタックルからヘッドロック。渡瀬はドロップキックで切り返すと谷嵜へタッチ。谷嵜が卍固めで絡みつき那須の動きを止める。エスケープした那須はミドル連打から延髄切りをたたき込み、飯橋へつなぐ。チャンスに攻め込む飯橋、垂直落下式ブレーンバスター。両軍入れ替わり那須と渡瀬が互いに渾身のエルボーをたたき込む。那須が倒れたところへ渡瀬と谷嵜が地獄の断頭台を決めてみせる。

 四者ともにヒートアップする中で残り1分のアナウンス。場外の谷嵜へ飯橋がトップロープからダイブ、リング内は那須と渡瀬が熾烈なエルボー合戦を展開。残り時間30秒のアナウンスの中、渡瀬へ那須がランニングローからバックドロップを決め、残り17秒で3カウント。試合前に渡瀬が「天龍プロジェクトは第1試合からメインイベントです」と語っていた通りの熱戦となった。

渡瀬「谷嵜さんすみません、やられました」
谷嵜「いや、しゃあないよ」
渡瀬「でも、プロレス、負けて終わりじゃないから。何回でも、次もやるって那須さんも多分分かってるし、偉進。何回でもカードが組まれる限り、俺たちが生きてる限り何回でも試合するよ」
谷嵜「瑞基には瑞基の物語があって、俺だって、偉進、那須。彼らにも、彼らがタッグチームとして機能するならば、いずれ俺とコダやんのIJタッグの視界に入ってくるかもしれない。ここからどういう物語が続くのか分からないけど、まぁ今日は気にすんな。オマエはひとつの負けじゃへこたれないの知ってる」
渡瀬「いくら負けたって、最後、勝って立ち上がればオッケー」
谷嵜「また明日も生きようぜ!」
渡瀬「ありがとうございました!」

那須「ありがとうございました。タッグだけど、前回のアレ(※9.10王子大会で渡瀬にシングルで敗戦)晴らせたんで。でもタッグだからね。シングルでやらないと意味がないですよ」
偉進「自分も10・9の天龍プロジェクト参戦させていただいて、今回が2度目の参戦で、渡瀬選手と2度目の対戦で試合には勝ったんですけど、直接は勝てていないので。どんどん自分をこの天龍プロジェクトでアピールしてレギュラー参戦して、また、渡瀬選手とシングルマッチして勝ちたいと思います」
(そこに渡瀬が乱入。偉進を指さし)
渡瀬「おう、何回でもやってやるよ。決着ついてないんで、1対1だからな」
偉進「いいよ、やってやるよ」
渡瀬「(那須にも)負けたかもしれないけど。何回でも。1対1だからな」
那須「元気なやつだな、やってやるよ。タッグじゃさすがにね、(偉進に)いい援軍もらったんで、ミサイルキックとか。お互いシングルでヤツにリベンジしましょう。ありがとうございました!」
偉進「(握手し)ありがとうございました!」

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▽第2試合・シングルマッチ(15分1本勝負)

○レイパロマ(12分6秒 エビ固め)SUSHI●
 ※パワーボムを切り返す

 対戦カード変更により、第2試合の固い絆で結ばれた2選手のシングルマッチが実現。場内から飛ぶ声援に「ヘイラッシャイ」で応えるSUSHI。ゴングが鳴ってもすぐに組み合わず、2人は場内のコールを煽って自分たちの気持ちを盛り上げていく。執拗に「ヘイラッシャイ」を繰り返すSUSHI、パロマは「わからん」と吠えて足を取る。SUSHIを場外へ追いやると、セクシーに腰をツイストさせてからSUSHIのお株を奪う「ヘイラッシャイ」を披露する。

 若干ショックを受けた様子のSUSHIを見て、チャンスとばかりにパロマが攻め込む。しかし重みで持ち上がらず、攻めきれない。頭突きからストンピング、さらにスライディングラリアットで重量感ある攻撃を繰り出していくSUSHI。体格差の前で吹っ飛ばされながらも、パロマは男を見せてやるとばかりに胸板へチョップ。SUSHIに倍返しされ、痛みに腰をくねらせつつもフライングニールキック、さらにパロマボンバーでカウントを迫るが2カウント。すっかり自分のペースに持ち込んだパロマはリング中央でSUSHIを恍惚に決める。

 首固めでカウントを取りにかかるが、パロマが肩を上げるとSUSHIはブレーンバスター。ダイビングヘッドバッドで大の字になったパロマだがカウントは2。フィニッシュを狙うSUSHI、振りほどこうとするパロマへ地獄突き。パロマがヘッドシザーズを繰り出すとここでタイツがずり落ち、Tバックが露出してしまう。 

 延髄からバックドロップもパロマは1で返し、タイツを引き上げることも忘れSUSHIへエルボー。互いにフィニッシュを奪いきれない展開の中、ふらつきながらもパロマは「次は龍魂杯だ、オマエ、出るんだろ」と語りかける。SUSHIも「出るに決まってるだろ!」と返す。「俺も出る」「オマエだけには負けるわけにはいかないんだよ!」「俺だってオマエに負けるか!」と、エルボーでの会話ではなく、エルボーを放ちながらの会話をかわす2人。最後はパワーボムでフィニッシュを決めようとしたSUSHIをすかさずパロマが丸め込んで3カウント奪取。龍魂杯へ向けて強引に存在感を見せつけた。

パロマ「オッケー、SUSHI。でけぇ。やっぱデケェなアイツ。オマエの魂と、俺の魂の打ち合い。どっちが勝ったか、今日は勝負ついてないけど、オマエ龍魂杯出るんだろ? 俺も多分出るからよ。もし1回戦で当たったら、その時は全身つってんじゃねぇぞ。なにが全身つっただ、しっかり水飲んでおけよ」

SUSHI「くそ、ギリギリ2やろ。ちゃうんか。負けたけど、今日はアイツも言ったけど、まだ何も決まってへんけど、次の11月、龍魂杯。出たい。出たい気持ちなら誰にも負けるか。絶対負けへん。出たい気持ちだけは絶対負けへんから、出してください。龍魂杯、もしパロマと当たることあったら、次は絶対、絶対負けへんからな。くそ。ふだん出さへん技まで出したのに。絶対このままでは終わらへん。SUSHI・イズ・クッキング! パ・ロ・マ…!」

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▽第3試合・シングルマッチ(15分1本勝負)

○宮本裕向(13分54秒 片エビ固め)矢野啓太●
 ※ムーンサルトプレス

 宮本裕向の天龍プロジェクト初参戦。当初対戦予定だったTORUの欠場を受け、矢野啓太が迎え撃った第3試合。両者は過去3回シングルで対決し、いずれも宮本が勝利している。宮本のことを「尊敬する先輩」と語る矢野、試合前に握手をかわしてからのゴング。

 慎重に矢野の出方を見る宮本。矢野のグラウンドにも冷静に対応し、随所で腕十字に切り返し、足関節には首を取るなどして極めさせようとしない。スタンドで矢野のリストを取った宮本、矢野が足ではじいてから切り返すと宮本も足をかけて回転し返す。グラウンドで上になった矢野、宮本は回転しインディアンデスロック。宮本はさらにラクダ固めから天龍プロジェクトを意識してか、WARスペシャルで矢野を痛めつけてみせる。

 矢野の攻撃に付き合った上で、最初のエスケープを奪った宮本。「よっしゃ行くぞ!」の声からスプラッシュ、さらに矢野を引き起こし吊り天井。ロコモーション式で回転させチンロック。すっかり見せ場を奪われた感の矢野だったが、手首をひねって決め、踏みつけて宮本のヒジを殺し、反撃に転じていく。勢いを封じられ、痛みに悶絶する宮本。左腕攻めでペースを掴んだ矢野がじわじわと反撃に転じていく。逆片エビからカウントを迫り2.9。

 10分経過、フロントスープレックスを放った宮本、矢野を投げ捨てるとビッグブーツからキック連打。さらにリング中央でコブラツイスト。エスケープするかと見せかけ、矢野は切り返してコブラツイストからローリングクレイドル。連続回転で目を回したところですかさず押さえ込むが、宮本が肩をあげて2カウント。宮本もその場飛びムーンサルトからフォールするが2カウント。ならばとラ・マヒストラルですかさず3カウントを奪いにかかるが、これはカウント2.9で矢野が返す。矢野のグーパンチに宮本が張り手、矢野も張り手からアッパーカットエルボー。ロープに飛ばされた宮本はハンドスプリングで返すと投げっぱなしジャーマンから走馬灯。カウントは返すも続いてムーンサルトが降り落とされ、矢野が敗れた。

 天プロ初参戦ながら、矢野を相手にレスリングテクニックをいかんなく見せつけた宮本。勝利した宮本の入場曲「ONE NIGHT CARNIVAL」が流れる中、立ち上がった矢野は宮本が去ったリングを悔しい表情で見つめ、トンファーを手に退場した。

宮本「天龍プロジェクト、初参戦。ちょっとね、TORUが来なかったからカードが変わったけど、矢野啓太は昔から知っているし、アイツはやっぱレスリングが好きだから、アイツの土俵で戦いましたよ俺は。でも楽しかったね。自分も忘れてたものが試合で出てきたんで、良かったです。またやりたいですね。また天龍プロジェクト、参戦します! ありがとうございました」

矢野「……気の利く後輩でいたいけどね。いつまでたっても、優しい先輩です。宮本裕向。龍魂杯で待ってます。以上ノーコメント」

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▽第4試合・タッグマッチ(15分1本勝負)

○鈴木秀樹&岩崎孝樹(12分48秒 エビ固め)仁木琢郎●&椎葉おうじ
 ※ダブルアームスープレックス

 前回の新木場大会でIJタッグベルトに挑戦し、王者チームに迫る実力を見せた“レッドブルー”こと仁木・椎葉組。今大会では天龍プロジェクトに継続参戦中の岩崎・鈴木組と対戦が決定した。実力者・鈴木の存在が若手タッグ、そしてパートナーの岩崎にどう変化を与えるか。

 最後に入場した椎葉おうじと岩崎が先発。スピードが持ち味の椎葉に対し、岩崎も素早く背後に回る。椎葉が手を取って自軍コーナーに引き込むと、仁木が飛び込んでダブルのドロップキックをたたき込み、タッグチームとしてのレッドブルーをアピール。鈴木が出ると仁木は待っていたとばかりに組みあい、決めさせまいとあえて懐に入っていき足を取る。上から鈴木を抑えた仁木、鈴木はすぐに体を引き抜くように離して上を取り返す。腰を取って動きを封じるが、仁木は腕を狙い、互いに距離を取って離れる。

 額を付き合わせ先に腕を取ったのは鈴木。互いのレスリングの実力を測り合うような攻防を見せる両者、5分経過。鈴木が仁木の左腕を取って痛めつけると、あえてここで岩崎へタッチ。岩崎はアームブリーカーからの蹴り。仁木のエルボー連打に岩崎は鋭い蹴りで返すが、仁木はスイングDDTを放ち、ピンチを切り抜けてみせる。

 飛び込んだ椎葉がミサイルキック。岩崎はフロントキック、椎葉がドロップキックからスワンダイブ式ミサイルキック。椎葉が岩崎の胸板へミドルキック、岩崎も返して打ってこいと挑発。ロープに走った椎葉へミドル、さらに力で椎葉を持ち上げて逆エビに決め、ギブアップを迫る。

 エスケープに成功し、バックドロップを着地で返した椎葉はミサイルキック。仁木との串刺し攻撃から2人がかりで岩崎へドロップキック、ダブルブレーンバスターで岩崎を投げると鈴木へも一撃。チームワークで体格差を跳ね返しにかかる椎葉と仁木だが、岩崎がキチンシンクで返すと鈴木へタッチ。

 鈴木がニードロップからダブルアームを狙うと、仁木は丸め込みで返しウラカンラナでカウントを迫る。椎葉の蹴りでアシストを受けてのジャーマン。トップロープからスプラッシュを放つがこれは鈴木が剣山で迎撃、岩崎のバックドロップから鈴木がバックブリーカー。最後はダブルアームスープレックスで仁木を沈めた鈴木だが、試合を通じて何か感じるものを得たか、仁木の健闘をねぎらうような様子を見せて語りかけ、退場した。

岩崎「どうしたんですか、ちょっと。大丈夫ですか、どうしたんですか足!」
鈴木「(岩崎の肩を借りながら登場し)ちょっと。ここ。いやいやそんな、プロレスラーだから、プロレスやりましたよ。あいててて!!(右足を押さえ)……朝、寝てたら猫が足元に起こしに来て、血が出ました」
岩崎「すぐ病院へ行きましょう!」
鈴木「いや、絆創膏貼ったら平気だから、絆創膏、バンドエイド……」
岩崎「菌が入ったら大変じゃないですか。すぐ行きましょう! 病院! 大変!(鈴木を引っ張って退場)」

椎葉「大丈夫か」
仁木「鈴木秀樹。アイツに真っ向勝負、最初から挑んだけど、なかなか、めちゃくちゃ、歯が立たなかった。強すぎた。ただこれで終わるような人間じゃないから。俺たちレッドブルーは何回でもやりますよ。やってやりますよ。シングルでもいい、何でもいい。もう1回やりましょう」
椎葉「オッケーオッケー。岩崎選手の蹴り、めちゃくちゃ効きました。刺激的でした。負けたのは悔しいですけど、俺たちレッドブルー、前回のタイトルマッチ挑戦から約1ヶ月、久しぶりのタッグですけど、俺たちまたここから再スタートして、IJタッグもそうですけどIJシングルも俺たち狙ってるんでね、まだまだこれからエナジー全開で、翼広げていきますよ。次だ次!」
仁木「やってやるぞ!」

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▽セミファイナル・WAR世界6人タッグ選手権試合(60分3本勝負)

○<王者>新井健一郎&佐藤耕平&河野真幸(2-1)<挑戦者>関本大介&中之上靖文&吉田和正●
 ①◯関本(5分18秒 アルゼンチン・バックブリーカー)耕平●
 ②◯河野(5分23秒 片エビ固め)吉田● ※シャイニングウィザード
 ③◯新井(12分40秒 リングアウト)吉田●
 ※第20代王者組が2度目の防衛に成功。

 大日本・吉田の猛アピールで対戦が決定した、天龍プロジェクトvs大日本プロレスのWAR・6人タッグマッチ。8月に決定していた一戦だが、新井健一郎のコロナ感染により延期、今大会での選手権試合が実現。欠場中の岡林に代わり、中之上が大日本軍として天プロの至宝を奪いに参上した。

 先発は吉田と耕平。組み付く吉田をあしらうかのように耕平はインローを放ち、バランスを崩す。ロープに押し込んで離れ際、先にチョップで快音を響かせたのは吉田。しかし耕平もすぐさま追撃しヒザ。早速追い込まれた吉田はコーナーで関本へタッチ。関本がヘッドロックで耕平にじわじわとダメージを与え、次いで中之上がエルボーを落とし、吉田を呼び込んでダブルエルボー。吉田のレッグドロップから関本のハンマーパンチが耕平の背に落ちる。顔を上げた耕平はエルボーに強烈なエルボーで関本を崩すが、大日本軍が串刺し攻撃、関本のブレーンバスターから中之上がダイビングエルボー。さらに関本がアルゼンチンで耕平を捕獲。連携で耕平ひとりを徹底して追い込んだ挑戦者組が最初の1本目を奪うことに成功する。

 後がない王者組、ダメージの残る耕平を関本が逆片エビ。河野とアラケンが救助に入れないよう見張る吉田と中之上。エスケープでピンチを逃れた耕平、吉田がその背にエルボー連打。投げを狙う吉田だったが耕平は抵抗し至近距離からの頭突き。この一撃で流れを変え、河野へタッチ。ストンピングに対し吉田がエルボー。河野は打ってこいと挑発し、受けた上で吉田を高々と持ち上げてマットへ叩きつけ、ジャンピングニー。ロープに走った吉田の背にアラケンが一撃。水車落としで反撃し自軍へタッチを迫る吉田が手を伸ばすも、後ろからアラケンが足を引っ張って阻止する。すかさず耕平が飛びこんでジャーマン、河野がニーをたたき込んで3カウント。2本目は王者組が勝利する。

 試合を決する3本目、いきなり河野が吉田をマットに押さえつけてカウントを奪いにかかるが、これはカウント2.9。ならばとアラケンが腕殺しへ。耕平が入ってミドルキック。連打でうめき声をあげる吉田。先ほどのお返しとばかりに耕平がその背へエルボー。レフェリーのブラインドを付いてアラケンがさりげなくダメージを与えに行く。

 なぶり殺し状態の吉田、レフェリーの死角で耕平がボディブロー。さらにアラケンがリング中央で裸絞め。ニアロープのたびに引き戻して精神的ダメージを与えていく。タッチした耕平の胸板へ吉田がエルボー、耕平は一撃で返す。ドロップキックも倒れない耕平、頭突き3連発で吉田の目が飛ぶ。

 ダメージで足元がおぼつかない吉田だったが、アラケン相手にバックドロップを返しようやく中之上へ。飛び込んだ中之上が河野にリバーススプラッシュ。フェースロックは耕平がカット、乱戦からリング内はアラケンと関本。握手の手を差し伸べたアラケン、場内からは「ダメ-」の声。純朴に関本はその手を握り返す。アラケンは握手からのガットショットに持ち込むも、関本はびくともせず。逆に握手の手に渾身の力を込めてアラケンを悶絶させる。

 エルボーからラリアットを放った関本、アラケンはラリアットをかわして関本を花道へ。倒れたところへハンマーパンチ。花道を走ったアラケンがリングへ弾き飛ばされる。孤立したアラケンへ関本が体当たり、万事休すと思われたその瞬間、アラケンがすかさず急所攻撃。苦悶の関本に代わり飛び込んだのは吉田。恨みを込めてひたすらにアラケンへエルボーを放つ吉田。耕平と吉田がカットに入り、6人がリング外へ。

 試合権利はアラケンと吉田、アラケンがコブラツイスト。振りほどいてアラケンを花道に叩きつけ、リングへ戻るべく花道を走った吉田、邪魔をする河野の存在に気づいて避けるも耕平がその足を取ってリングインを阻止。その隙にアラケンがリングへ復帰、追いかける吉田をキックで叩き落としてリングアウト勝ちをもぎ取った。

 まさかの決着に怒りのおさまらない吉田。絶叫しアラケンに殴りかかる吉田をセコンド陣が押しとどめる。余裕の表情で記念撮影し引き上げる王者組に、吉田は「くそーー!! こんな終わり方で納得できるか。俺は納得できない。俺は、大日本プロレスで一番諦めの悪い男だからな。必ず挑戦する、次はここにいる全員が納得できるような実績を作って、チャンピオンになってやるからな。覚えておけよ!」とマイクで吠え、リングを降りた。

アラケン「なんで彼が天龍プロジェクトのリングにたどり着いたのかって、分かります? そもそもそこから、アレだけど。でもちょっと、なんかね。まぁああいうヤツが居てくれるからこそ、俺らのプロレスが引き立つわけであって。ただ誰をパートナー連れてこようと、この2人が翔太と新井健一郎でやっていたようなプロレスをやってくれた。裏をかいたんです。それはキャリアだな、本当にすみません、ありがとうございました」
耕平「いやいや、こちらこそ」
河野「指示出してくれれば、動けますから」
アラケン「振り返ってみたら、俺たちそんなに技やってないですよね。でもここにベルトがあるということは、プロレスの神様が俺たちについているわけですよ」
耕平「ちょっとね、最初、俺が負けたのが早くて。あれは申し訳なかった」
アラケン「アレはビックリした。でもアレで我々は締まったんじゃないですか?」
河野「関本さんが来たからね。でも、向こうも本気だったってことですよね。関本さんと中之上は本気で取りにきた」
アラケン「この後どうせ、吉田がつまんねぇコメント出すんだろうから。おい吉田言っておくぞ。吉田、本気で俺たちにムカついてんのか? ムカついてねぇだろ? 昔、天龍さんがジャンボ鶴田さんとのタッグにうんざりしてよ、(阿修羅)原さんとタッグを組む前によ、天龍さんは『俺はもうジャンボの背中は見飽きたよ』って言ったんだよ。アイツ世代じゃないから分からないかもしれないけど、本気で言ってるんだよ。あれはジャイアント馬場さんの用意した言葉じゃないんだよ。本気で鶴田さんの横に立つのはもう嫌だってなって、あそこまで行ったわけでしょ? オマエもそれくらいの気持ちで向かってこいよ。これはマジなコメントだよ、なんかちょっとまだ目が開き直ってないんだよね」
河野「最後のマイクもきれいでしたからね。美しい、人目を気にしてる。でもその天龍さんの心の声は本気ですからね。関係ない、マジな気持ち」
アラケン「次、またアイツが来るのかなぁ。逆にアイツが来てくれればラッキーだけどね。何度でもひっくり返してやるよ。でも他の3人、やってみたいね」
耕平「そうですね」
河野「次のタイトルマッチ募集中ですね」
アラケン「この3人のタッグがめっちゃ面白くなってきましたよ。最後のお客さんの歓声が全てじゃないですか本当に。ありがとうございました」
耕平「ありがとうございました」
河野「(世界タッグのベルトを手に、カメラに向かって)天龍さん、天龍さんの巻いてたベルトです。早く戻ってきて、早く僕を褒めてください。褒められたら、伸びるタイプなんで」

関本「あー、くそ」
中之上「いや、申し訳ない」
吉田「負けた。くそ。でも、さっきリング上で言った通り、俺はあきらめてません。お客さんの拍手が少なかったりとか、僕のマイクに対して反応が悪かったっていうのは、多分お客さんも納得してなかったんだろうと思います。僕が挑戦することに対して。だから今度はみんなが納得できるような実績を作って、チャンピオンの前に立ちます。今日はありがとうございました」
中之上「よし、やろう。これから。必ずリベンジしてやろう」
関本「リベンジしてやろう。向こうの作戦勝ちだな。くそ、悔しいな。こんな形じゃ終われないしな。まだまだ、もう1回挑戦しましょう」
吉田「ありがとうございました」

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▽メインイベント・IJシングル選手権試合(60分1本勝負)

○<王者>佐藤光留(25分53秒 捕獲式腕ひしぎ逆十字固め)<挑戦者>児玉裕輔●

 “ミスター天龍プロジェクト”佐藤光留のIJシングル選手権試合。乱戦のセミファイナルから一転、静かに試合スタート。上目遣いで距離を詰める児玉を光留が見据える。手を取って飛び込んだ児玉、王者の上になりサイドからネックロック。光留が体を起こして児玉の肩をつけ、カウントを迫ると離れる。手四つと見せかけて素早く光留がタックル、児玉の上になる。腕十字を決めるもこれはニアロープ。児玉がエスケープし離れる。光留はマットに腰をつけた状態のまま、下から児玉の腕を取る。王者の攻撃になかなか自分の持ち味を出せない児玉、じりじりとポジションを変えて腕を取り返すも光留はすぐにヒザ十字へ切り返し、試合ペースを握らせない。

 場外へ逃れ立て直しをはかる児玉。光留はミドルキック連打、蹴り足を掴んで倒す児玉だが、光留はこれも読んでいたのか素早く腕十字へ。ギブアップを迫るも児玉はなんとかエスケープ。エプロンへ逃げる児玉の腕をロープにからめ、ローキックで徹底的に腕をつぶしていく。

 容赦ない光留の攻めに対し、防戦一方の児玉。ミドル連打から串刺しの一撃を狙った光留、児玉はすかさずセカンドロープで捉えて軸の左足を攻撃。鉄柱へ連続して叩きつけるとカウント9まで執拗に痛めつける。リングへ戻るとスピニングレッグブリーカーから足を絡めて裏4の字と、一気に攻勢へ転じていく。

 場外へ逃れた光留、足のダメージでなかなかリングへ戻れない。カウント8でリングへ戻った光留の足へ、児玉がサマーソルトドロップ。エルボーで児玉を突き放す光留。ロープへ飛ばそうとする児玉へ光留が延髄切り。

 15分経過、光留が痛む左足でミドルキック。次いで逆水平連打からジャンピングハイキック。抵抗する児玉を水車落とし、カウント2で腕十字へ。悶絶しながらもロープを探る児玉だったが、光留はさらに厳しく伸ばしていく。伸びたそのタイミングでエスケープ成功。光留が児玉の左腕を取って痛めつけると、児玉は低空ドロップキックを光留の左足へ放って反撃。場外へ突き落としてトペ、リングへ引き戻すとアンクルホールド。リング中央で決まったこの技に、光留の腕が空を切る。

 王者がエスケープに成功したところで20分経過、ロープに飛ばされるも走れない光留。ヒザへの攻撃を切り替えして光留が延髄。蹴り足を掴んで児玉がドラゴンスクリュー2連発。先に立ち上がった児玉がトップロープへ這い上がるも、光留は追いかけてハイキック、トップロープ上でアームバーを狙っていく。パワーボムで光留を落とす児玉、リングへ寝かせたところへフロッグスプラッシュ。2発目はかわされて自爆、互いにロープを頼りに立ち上がる。

 ロープを掴んだ児玉の腕を光留が蹴り、ヘッドバッド。脇固めに児玉が前転し、エルボー。ドラゴンスクリューを光留が腕十字に切り返す。これも返した児玉がニーロック。両者の四肢が絡み合う中、光留が足を取って足取り式腕十字。これで児玉がついにギブアップし試合終了となった。

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 勝利しベルトが返還されるも、痛みにうめき立ち上がれない王者。敗れた挑戦者もまた立ち上がれず、その腕をパートナーの谷嵜が冷やす中、全選手がリングへ入った。

光留「本日は、龍魂杯直前の天龍プロジェクトにご来場いただきありがとうございます。毎回、もう喋れるかってくらい力を使い果たすんですけど、勝つとマイクが回ってきます。それはプロレスをやめても闘い続けている天龍さんもきっと同じなんで。リングに上がっている我々が弱音を吐くにはまだ早いんで、ちょっと頑張りますんで聞いてください。
次は龍魂杯。これにミスター天龍プロジェクト佐藤光留がどれくらい賭けているかは、皆さんの想像の5から10倍くらいです。でも、もしかしたら僕が背中を見せているその後ろで、僕のことを刺そうとしているやつがいるかもしれません。(すると児玉が今にも刺しそうな顔で光留の背を見つめ、さらにパロマが耕平に促されて真後ろに立たされる。それに気付くと)大歓迎です。刺し返します。それが龍魂杯です。いつでも来いだよ。だから次の龍魂杯、会場で、生で見てください。この世で一番痛みが伝わりすぎるトーナメントをお見せします。よろしくお願いします。
それでは最後に、いろんなものに届くように、エイエイオーいきますよ。皆さんご起立願います。まずは全天龍プロジェクトファン、そして天龍プロジェクトなんか知らないよっていうファン、そして天龍さん、そして会場使用料、すべてに向けて思いをエイエイオーで届くように。いくぞー! エイエイオー! エイエイオー! エイエイ、オー!! ありがとうございました!!」

光留「言うことなし!! なぜなら、天龍プロジェクト、試合が全てを物語ったから。もういいでしょう。質問あるやつは試合を見返せ。先のことが聞きたいやつは今日の試合を予想しろ。以上だ、終わり」

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