試合結果

2022.11.14

2022年11月13日 新木場大会

2022年11月13日 新木場大会

天龍プロジェクト

第二回 龍魂杯 〜決勝戦〜

2022年11月13日(日)/東京・新木場1stRING



 “龍魂”を背負う者たち16名による最も過酷なシングルトーナメント『龍魂杯』が昨年に続き開催され、連続2度目の出場となる9名、初出場となる7名が新木場に集結。昨日に続いて行われた2DAYトーナメントは初日を勝ち上がった8選手が二回戦、準決勝、そして決勝戦を行う。

 開始に先立ち、拳剛が登場し観客に挨拶。「龍魂杯2日目〜! 皆さんご来場いただきましてありがとうございます。いよいよ今日、泣いても笑っても龍魂杯の覇者が決まるわけですけど、皆さん見届ける心の準備は……まぁまだ出来てなさそうやな。だから私が出てきました。要するに誰が優勝しようとも、みんなの声で、みんなの魂で選手を応援してあげて欲しい。ただそれだけです。今日はお足元の悪い中、新木場まで来ていただいておりますけど、雨雲を吹っ飛ばすくらいの声を、このリングにぶつけて欲しい。(声を聴いて)あぁ、それじゃぁ優勝者は生まれへんな。この曲に合わせて拳剛コールをお願いします。……あかんな、寝ちゃうよ。(盛り上がる声)ありがとうございます!その勢いでメインイベントの決勝戦まで、多いに楽しんでいってくれよ兄弟!!」。恒例となった観客とのコール&レスポンスで会場を暖めた。

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▽第1試合/第二回龍魂杯トーナメント二回戦(15分1本勝負)

○佐藤耕平(3分03秒 ラ・マヒストラル)ドン・フジイ●

 昨日、大日本プロレス・吉田和正を鬼のエルボー連打で沈めた佐藤耕平と、初参戦のドン・フジイが対決。ゴング前にぶちかまし、つっぱり電車道で耕平をコーナーへ押し込んでスタートダッシュをかけたフジイ。カウントを返されてもさらにボディスラムからスリーパーと迫る。エプロンから足を出した耕平がエスケープ。体勢を立て直すべく場外へ出た耕平を追ってフジイも場外へ。チョップの打ち合いからフジイが場外でコブラツイスト。リングアウトを狙ったフジイだったが、耕平もカウント9でリングへ戻る。

 リングへ戻ってもフジイの猛攻はやまず、DDTからダイビングニーを後頭部へ突き刺す。さらに立ち上がったところへ後頭部、正面とラリアット。開始早々に勝利をとりにかかるフジイに対し、耕平はカウンターのヒザ蹴りからまさかのラ・マヒストラルで逆転勝利。昨日の対アラケンへの丸め込みを返される形で、フジイが敗北した。

耕平「なんか、トーナメントっていう形じゃなくて、もっとガッチリとした試合をしたい相手でしたね。でも今日に限ってはトーナメントなんで、勝ちにこだわる以上、どうしてもね。ああいうこともしなきゃなかなか勝てる相手でもないので。ま、とりあえず勝ったんで、次。はい」

フジイ「ああ、一発狙ってたんやけどな。まぁ、あれだけ攻撃して返してきた耕平選手。負けて納得って言うのもなんだけど、まぁ、次誰が三回戦か、耕平選手、俺の代わりに優勝してくれ。あぁ悔しい、大将に報告したかった。また三回目……僕にやらしてください大将。よろしくお願いします。どうもごっちゃんした!」

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▽第2試合/第二回龍魂杯トーナメント二回戦(15分1本勝負)

○矢野啓太(9分52秒 バッキンガムクラッチ)谷嵜なおき●

 昨日那須晃太郎を下した矢野、ユニオンジャックのタイツで登場。矢野にとってIJタッグを奪われた因縁の相手でもある谷嵜との対戦。背後の取り合いからリストの取り合い、アームバーの形で矢野が谷嵜を押さえ込み、フェイスロック、さらにトーホールドと移行していく。谷嵜は下から蹴り上げて矢野の攻撃を阻止。いったん離れた後、矢野はさらに組み合う。

 谷嵜もまた矢野の上にのしかかり、足をホールド。矢野は谷嵜の体を倒して足を固める。エスケープした谷嵜、離れ際に矢野はシャツを足に引っかけて揺さぶりをかけていく。手四つから再開、下になった矢野をキャンバスに押し込む谷嵜。肩をあげた矢野は丸め込みを狙うがこれは封じられる。リング中央、谷嵜の足を複雑に絡め取った矢野。谷嵜は2度目のエスケープ。

 矢野を警戒し思うような攻撃が出せない谷嵜。矢野はフィンガーロックから腕をねじり、クロスフェイスを狙った谷嵜の背後へ回りヒザ固めへ。悶絶の谷嵜、腕十字。逃れた矢野の背後に回り谷嵜がクロスフェイス。体を引き上げて谷嵜の肩を付け、逃れた矢野。足関節から逃れる谷嵜を弓矢固め。流れの中で谷嵜が矢野の肩を押しつけカウント2.9。

 カサノヴァから再度のクロスフェイスを狙う谷嵜、矢野は抜けて足払いからサイドに回り十字固め。一度は返した谷嵜、矢野は二度目の丸め込み。谷嵜は肩を上げられず、矢野が準決勝進出を決めた。

谷嵜「クソーッ! くそ、くそだ、本当に。考えすぎたのかな。結局、矢野啓太の世界にどっぷりはまってたのかもしんないな。くそー、くそ! この借りはいつか絶対、返してやるからなチキショウ。(カメラを指さし)俺に勝ったんだから、絶対優勝しろよオマエ」

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▽第3試合/第二回龍魂杯トーナメント二回戦(15分1本勝負)

○佐藤光留(13分13秒 捕獲式腕ひしぎ逆十字固め)岩崎孝樹●

 二回戦第三試合はIJ王者佐藤光留と、龍魂杯初参戦のガンバレプロレス・岩崎孝樹が対決。光留はベルトを手にリングへ。

 ゴングが鳴っても対角線上、相手を見据えて動かない両者。蹴りを得意とする岩崎、距離を取りつつローキック。光留もローでやり返す。岩崎の足を取った光留、グラウンドで上になる。岩崎もすぐに上を取り返す。光留が足を取ったところで岩崎がエスケープ。

 離れると岩崎がタックル、切った光留が上になり腕を取る。岩崎はこれもエスケープ。スタンドで見合い、岩崎がタックル。上になった岩崎が光留の腕を狙うも、光留は上になり袈裟固めへ。岩崎がエスケープ。離れ際に光留が痛めつけた腕へ蹴りを放っていく。グラウンドの展開から打撃戦へ、岩崎が鋭い蹴り。光留は岩崎の左腕を徹底して攻めていく。水車落としを狙う光留にヒザ蹴りからダブルアームスープレックス。

 光留が正面から平手打ち、これに目の色を変えた岩崎は前蹴りの連打からフロントキック、顔面を打ち抜くとバックブリーカー。足を取った岩崎に光留はエスケープ、岩崎の腕を取ると脇固めから腕十字。脱出すると切り返して岩崎が腕十字。光留の腕が伸びきるがエスケープはせず。上体を起こしもう一度腕十字を狙うが、岩崎が今度はテキサスクローバーホールドへ持ち込む。光留がエスケープ。

 光留の蹴り足をキャッチするとキャプチュード。光留は下から腕を取るが岩崎は振りほどき至近距離からのロー、バックドロップ。互いに極めを奪い合う展開の中、後頭部への蹴りから腕十字を狙う光留。クラッチが切れないとみるや続いて左足を取っていく。

 立ち上がりヒザ蹴りで切り返した岩崎、光留はハイキックからバックドロップでフォール、カウントを返されると腕十字。これもまた左腕へ、岩崎が踏ん張るがロープは遠く脱出できず、腕が伸びきったところでギブアップ。佐藤光留が二回戦を制した。準決勝は佐藤耕平と佐藤光留の“佐藤対決”が実現することとなった。

岩崎「(左腕を押さえて)佐藤光留、てめぇのプロレスが全てじゃねぇんだよ。偉そうにしやがって。てめぇが天龍プロジェクトの全てみたいな顔してんのが一番俺は気にくわねぇ。必ずてめぇのところまでたどり着いてやるよ。てめぇのプロレスが全てじゃねぇんだよ、この野郎。(立ち上がって)効いたな、この野郎」

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▽第4試合/第二回龍魂杯トーナメント二回戦(15分1本勝負)

○仁木琢郎(3分10秒 反則)渡瀬瑞樹●
 ※レフェリーの制止を聞かなかったため

 2回戦最後の試合は天龍プロジェクトのリングで躍進する若手2人の対決。過去のシングルでは2度対峙、いずれも渡瀬がバックドロップで勝利している。リング中央、組み合った2人。先にロープに押し込んだのは仁木。離れ際にチョップで渡瀬を挑発していく。ともにドロップキックを得意とする2人だが、先に相手の顔面へたたき込んだのは仁木。対する渡瀬はエルボーにひるむことなく前へ、仁木をコーナーへ追い込むと仁木もこの挑発に応える。エルボーを返した渡瀬、コーナーでレフェリーが両者を分けるも、渡瀬は火がついて止まらず。リング中央、エルボーの激しい乱打戦に。いったん間を置いて渾身の一撃を放った渡瀬。ぐらついた仁木へさらに乱れ打ち。

 棒立ちとなった仁木、コーナーで崩れたところに渡瀬がさらに打ち込む。レフェリーがこれをストップするが渡瀬の耳には入らず、ブレイクのカウントを数えるもエルボーを打ち続ける。5カウントを数えるも止まらず、反則裁定で渡瀬の敗北が決定した。

 互いのボルテージが上がってきたところでの決着なだけに、場内に戸惑いのどよめきが広がる。納得のいかない様子の渡瀬だったが、レフェリーの説得を受け入れると仁木に一礼し、足早にリングを降りた。

 昨日の河野真幸戦に続き“まさかの勝利”を手にする形となった仁木。昨日とは一転、割り切れないといった様子でマットを叩いたが、準決勝進出へ向けて足早に控室へ。この結果を受けて準決勝第2試合は矢野啓太vs仁木琢郎の一戦が決定した。

渡瀬「……リングのルールを守れなかった俺が弱くて、守った仁木が強かっただけです。吉野レフェリーに、天龍源一郎さんに、それを教わりました。すみませんでした」

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▽第5試合/スペシャル4WAYマッチ(15分1本勝負)

○SUSHI(8分41秒 首固め)新井健一郎●
 ※あと2人は、レイパロマ、河野真幸

 準決勝を前に一回戦で涙を呑んだ4選手によるスペシャル4WAYマッチ。河野が掲げたベルトに色気を出すSUSHI、吉野レフェリーは「勝っても何ももらえません」とキッパリ。昨日メインでの奮闘を受けて場内はパロマ応援ムード、アラケンはやっていられないといった様子で早々にエプロンへ出てしまう。

 仕方なく向き合った3選手、河野と向き合ったのはパロマ。圧倒的身長差にも構わず向かっていくも、やはり吹っ飛ばされる。そこへ忍び寄ってフォールを狙うSUSHI、さらにその背後からすかさず忍び寄ったのはアラケン。丸め込みを狙うもカウント2。

 SUSHIとパロマが結託を迫り、リング内の人間関係がもつれる中でアラケンが味方に選んだのは河野。同じベルトを持つ者同士、もしくは強い者に付いたアラケンの行動で、4WAYはアラケン&河野組対SUSHI&パロマ組の様相に。河野へ放ったコルバタでTバックを露出したパロマ、続いて恍惚を狙うがあっさり吹っ飛ばされ、コーナーにタイツが引っかかってしまう。SUSHIがこれをアシストし、河野をスリーパー。そのすきにすかさず恍惚を極めていく。

 河野が救助を求めたのはアラケン。アラケンはSUSHIを振りほどくとパロマへ向かう……と見せかけて再びの裏切り。ジュリーズの絆でパロマと合体しダブル恍惚を披露する。SUSHIの救助を受けて河野がジャンピングニーでジュリーズを吹っ飛ばす。アラケンへ追撃の串刺しを仕掛けた河野の背後からパロマが忍び寄り、タイツで河野の視界を塞いでぶら下がり首四の字へ。あとはフィニッシュを待つだけという状況で、忍び寄ったSUSHIがアラケンを丸め込みまさかの3カウント。それぞれに不服の表情を見せる三選手をよそに、SUSHIひとりが大喜びのダンスを披露した。

SUSHI「(笑顔で)てやんでぃ。よし、勝ったぞ。今日は珍しく4WAY勝ったぞ。何、俺が何もしてない? そんなん関係あるか、勝ちは勝ちや。昨日の負けは昨日まで、今日から始まりや。ここからもSUSHIらしく突っ走るで、ヘイラッシャイ!」
吉野レフェリー「帰ろう、帰ろう。何もないから帰ろう」

パロマ「アラケンさん、勝ったじゃないの。なんでSUSHIが手をあげてんの
アラケン「まぁ、こういうことだパロマ。世の中、どこに落とし穴があるか分からないってことだよ」
パロマ「落ちてるの、あんたじゃないか」
アラケン「なんでSUSHI、やる気出すかなぁ。こんな、誰が勝ってもどうでもいい試合をよ。いや、どうでもいい試合って言ったら天龍さんに怒られるな。(タイツを指さし)アンタはやりたいようにやったからいいかもしれないけどよ。俺はSUSHIと吉田和正が大嫌いだよ。吉田、今日はセミ? ふざけやがって」
パロマ「俺はいい仕事をしたじゃないですか。それよりジュリーズですよ、ジュリーズ」
アラケン「おう、昨日も言ったけど改めて言わせてもらうよ。俺は必ずローカルインディーに希望の星を与えるためにも、俺がサポートしてあんたの腰にジュニアタッグを巻かせるからな。それだけだ」

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▽第6試合/第二回龍魂杯トーナメント準決勝(30分1本勝負)

○佐藤光留(5分45秒 変形片エビ固め)佐藤耕平●

 龍魂杯準決勝第1試合、IJ王者・佐藤光留は昼間の全日本プロレス後楽園大会から連戦、1日3試合目にして耕平と対峙する。これまでタッグマッチで対決経験はあるものの、シングルでの対決はこの一戦が初めて。ゴングが鳴るも互いに動かない。じりじりと相手を見ながら距離を詰めていく両者。先に踏み込んで耕平の胸へチョップを放ったのは光留。耕平もすぐさま打ち返し、光留も返す。打ち合いではパワーの差が大きいか、ふらつく光留。威力がやや落ちてきた光留に耕平はさらに打ち込み、光留の体勢が崩れる。

 一度離れるも、打ってこいと挑発する耕平。光留が打ち込むとすぐに打ち返す耕平。打ち合いで互いの胸板が真っ赤に染まっていく。耕平がエルボー、光留がジャンピングハイキックで互いにダウン。ダウンカウントを遮って先に立ったのは光留、腕を取るも踏ん張った耕平。腕攻めを逃れて耕平がファルコンアロー。至近距離からエルボー。ダメージからなかなか立ち上がれない光留、下から捕獲式腕十字。ロープに逃れようとする耕平をマットに押しつけ、この体勢で肩をつけてカウント3。不利な状況の中、ギブアップ狙いと見せた関節技によるフォールで、光留が耕平から勝利した。

 まさかの敗北に首を振った耕平。いさぎよく敗北を認めつつ、笑顔で指を立てて「もう1度」を光留に要請。光留もうなずくと、耕平は額をつけて座礼。光留も同じく座礼し、真っ赤な胸板で決勝へ駒を進めた。

耕平「あぁ、クソ。光留くんのほうが一歩、先を読んだ結果でしたね。あれはちょっと自分の中では想定していなかったんで。でも、これだけ過酷なトーナメントなんで。お互いもう勝ちにいくっていう気持ちでしか試合をしてないので。もうこうなったら、光留くんにはこのまま一気に優勝してもらいたいと思います。また次、頑張ります」

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▽第7試合/第二回龍魂杯トーナメント準決勝(30分1本勝負)

○矢野啓太(10分11秒 カール・シックル)仁木琢郎●

 準決勝はショッキングピンクのタイツで入場の矢野。ゴングを前に矢野から仁木に手を差し伸べて握手。グラウンドで背後を狙いにいく矢野、レスリングのバックボーンがある仁木、後ろを取らせず逆に矢野のバックを狙う。互いに取れないと見るや立ち上がる。ヘッドロックを抜けた仁木、矢野の腕を取る。ヘッドスプリングで立ち上がった矢野は逆に取り返す。グラウンドで体勢をずらしながら矢野がエビ固め、カウント2。

 スタンドで矢野がアッパーカットエルボーからヘッドロック。仁木は矢野をロープに振り、ヒップトスで投げるとストンピング、ネックロック。マットに座らせると低空ドロップキック。

 矢野は仁木の腕を取り、クロスさせて痛めつけると仁木の手を踏みつけ、動きを封じるとヒジを踏む。じわじわと仁木の腕を殺していく矢野。痛みに苦しい表情の仁木、矢野はアームブリーカーで左腕を攻撃。なんとか攻勢に転じたい仁木、左腕をかばいながらも距離を取ると矢野の顔面を打ち抜くドロップキック。バックドロップで追撃し、フォールもカウントは2。

 組み合って脇固め、逆さ押さえ込み狙いも仁木は取らせない。仁木は切り返してファイヤーマンズキャリーからハリケーンドライバー。腕の痛みからすぐにフォールへ入れない。マッドスプラッシュを放つも矢野がかわしてマットに腕を打ち付けてしまう。矢野は左腕をハンマーロック、さらに押さえ込みを返す仁木だが矢野は飛びつき腕十字、さらにカール・シックル(変形チキンウィング・フェースロック)。徹底した左腕への攻撃で矢野が仁木を沈めた。

 決勝は佐藤光留と矢野啓太の対決。前IJタッグ王者にして宿命の相手といえる両者の対決が龍魂杯決勝戦となった。

仁木「あぁ、クソッ。矢野啓太。矢野啓太ぁー! 今日負けたけど、そんな差はなかったと俺は思ってますよ。今年1回戦勝って、2回戦、ああいう形だけど勝って。なんとかあと2回勝って優勝するつもりでしたけど、ダメだった。これはまた来年、第3回でリベンジしにきますから。1年間、このリングで戦っているんだ。そろそろ俺も結果を出さないといけない。あと、渡瀬瑞樹。あんなんで終われるわけないだろ。次からどうなるか分からないけど、俺はあの人とやりたいですよ」

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▽セミファイナル/スペシャルタッグマッチ(15分1本勝負)

那須晃太郎&○椎葉おうじ(13分08秒 雲外蒼天)近野剣心&吉田和正●

 先発は那須と近野。近野がミドル、那須も返す。素早く飛び込んだ那須が上になり、近野の足を狙う。近野も素早く腕を取り返す。互いの実力を測り合うとパートナーへタッチ。

 椎葉の腕にはサポーター。吉田をホイップで投げると吉田はタックルを返し、ボディスラム。さらにレッグドロップを放つもこれは椎葉がかわし、自爆させる。タッチを受けた那須はチンロック、エスケープで逃れるも厳しい蹴り。

 再び椎葉と吉田、椎葉がローリングサンダー。吉田は打ち下ろすようなエルボー、椎葉はミドルキックで崩すと自軍へ引きずり那須へタッチ。救助に入りたい近野を椎葉がマーク。那須が吉田の胸板へチョップ。吉田もバックハンドエルボーからチョップ、バックドロップで反撃し近野へタッチ。

 近野の蹴りに那須も蹴りを返す。近野が左ミドル、那須が右ミドル。打ち合いに引かない両者、那須が先に近野を崩して延髄を放ち椎葉へ。椎葉はエルボー、近野はチョークスラム。

 吉田が飛び込んで椎葉へエルボーからブレーンバスター。カウントを返した椎葉は身長差をものともしないドロップキックを吉田の顔面へ。ランヒェイを狙うも吉田は踏ん張り、近野がミドルで救助。

 ランヒェイを狙う椎葉、近野がミドル。救助に入った那須も近野が蹴り落とす。しかし椎葉もドロップキックで近野と吉田を蹴り落とし、ノータッチの場外トペ。吉田をリングへ戻すとミサイルキック、レッグラリアット。カウントを返す吉田、椎葉の蹴りをキャッチしヘッドバッドから水車落とし。バスターを振り払った椎葉がバズソーキック。ヴァルキリースプラッシュからのフォールをカットされるも、雲外蒼天(ウンガイソウテン=ランヒェイと同形)で勝利した。

椎葉「あぁ! しゃぁ!」
那須「おめでとうございます」
椎葉「(握手し)ありがとうございます。龍魂杯は1回戦負け、悔しい思いでしたけど今日2日目、気持ち的には勝った、勝ちでしたけど全然こんな、吉田には勝って当たり前だと思ってるんで。こんなの全然嬉しくないです。俺はもっともっと上を目指してます。ライバルの仁木もそうだよ、パートナーの仁木も俺はライバルとして見てるからな! 絶対俺は、あいつには負けたくないからな、負けないからな!(そのまま退席)」
那須「(ひとり残されて)僕のことライバルじゃないらしいです。僕も当たる可能性あったんで、次当たったら絶対負けないんで、この人にも。今決勝、ほら、矢野啓太の曲かかってるでしょ。僕が1回戦負けた相手だ。僕も勝ってたら絶対、決勝まで残ってたはずだ。また次、呼んでくれ! ありがとうございました!」

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▽メインイベント/第二回龍魂杯トーナメント決勝戦(60分1本勝負)

○矢野啓太(16分21秒 足取り式ゆりかもめ)佐藤光留●
 ※矢野啓太が第二回龍魂杯優勝。

 昨年に続いて決勝進出を決めた矢野、決勝は黄色と紫のコスチュームで登場。相手は“ミスター天龍プロジェクト”にしてIJ王者、佐藤光留。9月のタイトルマッチでは残り1分、光留が矢野を丸め込んで勝利している。リングインする光留を矢野は正面から見据え、ゴングを前に両者、静かな握手。

 蹴り足を掴んでロープに押し込んだのは矢野。レフェリーが引き離す。タックルを切った光留、矢野はすぐ距離を取る。光留がローキック。次いで出したミドルをキャッチ、のしかかって上になり足を取ると、アンクルで左足を固める。そこから羽根折りの状態へ、体をずらして両肩をつけてフォールを狙う。

 カウントを返した光留、ローキックで矢野を崩すと腹固めへ。さらに左腕を固める。矢野は体をつけたまま切り返しインディアンデスロック。光留がエスケープし離れるも、すぐに矢野が組み付く。光留は矢野の顔面に掌底、マウントの状態で矢野の顔面へ掌底を連打する。隙をつくった矢野の腕を十字へ。悔しい表情で矢野がエスケープ。

 スタンドで光留がミドル連打、立ち上がれない矢野へストンピング。矢野は立ち上がるとアッパーカットエルボー。サポーターを外してさらに一発。ふらつきながらも光留がハイキック。引き起こすとその背にローキック、ボディスラム。フォールに矢野が肩を上げる。

 河津落としをくらった矢野が離れ、コーナーからダブルアックスハンドル。倒れたところへ横四方、光留が回転し袈裟固め。左腕を固定し首を固める。矢野は足を伸ばし振りほどきにかかるが、両肩がついてカウント2。

 ダメージの大きい矢野の腹へ光留がエルボー、ブレーンバスターを仕掛けるも踏ん張る矢野。コブラツイストを狙う矢野、切り返そうと狙う光留を封じ込んでコブラ。そこからローリングクレイドルで回転、フォールもカウント2。互いに苦しい場面、先に立ったのは矢野啓太。咆吼し光留を引き起こしてグラウンド卍からゆりかもめ。エビで切り返すも矢野が体を引き起こす。光留がヘッドバッド、矢野も打ち返しヘッドバッド。足を取りさらに光留を封じ込め、難攻不落のIJ王者からギブアップを奪った。

 敗れた佐藤光留は大の字。矢野もまたダメージが大きいが拍手の中、リングにウィナーズカップが運び込まれるとゆっくりと立ち上がる。レフェリーが腕を高く掲げ、矢野に賞金50万円とウィナーズカップが贈られた。

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 勝利者のテーマ曲が流れる中、全選手がリングへ。倒れたままの光留の手を自分から握った矢野。

マイクを渡されると「ありがとうございました。佐藤光留選手、ありがとうございました。龍魂が宿りしファイターの皆さんも、ありがとうございました。皆さんに感謝します。そしていつも一生懸命働いてくださっている龍魂が宿りしスタッフの皆さんにも感謝を申し上げます。ありがとうございました。龍魂が宿る天龍プロジェクト、ありがとうございます」と、静かに感謝の言葉を述べる。「龍魂が宿った矢野啓太、キングオブ天龍プロジェクトから、誰に向けてって訳じゃないけども、これだけは言わせてください。あきらめないで欲しい、絶対にうまくいくから、あきらめないで欲しい。……以上、ノーコメントって言いたいところですけども、エイエイオーですね。初めて、やらせていただきます」

 またしても耕平に導かれてパロマがウィナーズカップ前へ立つ中、矢野が観客を先導。佐藤光留もパロマの肩を借りて立ち上がる。

「ないものはない。酸素がない。……行くぞー! エイエイオー! エイエイオー! エイエイオー!! ありがとうございました!!」。サンダーストームが流れる中、光留と矢野が固い握手。そして敗れた王者が矢野の手を上げた。

 矢野がコメントブースに座り「まだ実感わかないですね」と一言。すぐにテーブルが設置され、アサヒスーパードライが登場。代表の「やりましょう」の声で、フジイ、拳剛、アラケン、耕平らからウィナーズカップにビールが注がれる。一気に飲み干した矢野に拍手が贈られた。

矢野「終わりましたね。いい汗かいた後のビールは格別ですね。おいしいです。やっぱり僕は天龍プロジェクトさんに救われた人間の一人だと思うので、昨年のIJタッグの時も思いましたけど、こうした形で結果が残せてほんとうに嬉しいです。ありがとうございます。さっきも言ったけど放心状態。まだ実感が…。
(優勝後、あきらめないで欲しいとマイクで言っていたが)希望があるってことをこの2日間、だけじゃなくて天龍プロジェクトさんに携わらせていただいた期間中に証明してきたと思っているので。出口の見えないトンネルなんてないってことを証明したくて、いつも一生懸命戦っています。それはこれからも変わらないです。
(光留からの初勝利)シングルで初か……、そうか。いつまでたっても強い光留さんでいて欲しいです。対角線に立って欲しいと思ってます。まだまだ戦いたいです、光留さんに伝えたいのはそれですね。
(現チャンピオンからの勝利だが)もちろん、色気は見せていかないと生き残れない天龍プロジェクト、生き残れない業界ではあるので、それはもちろん自己主張していきます。今日勝ったからってゆう訳ではないと思うので-。まだまだって言いたいところですけど、ちょっと休みます。
リング上でも言いましたけど、本当は、隣に天龍源一郎大将がいてほしかったというのが本当の気持ちですし、龍魂杯この文字を書いていただいた女将さん…見てもらいたかった。…まだまだやめられないね。
(龍魂はみえましたか)2日間で4試合やりましたけど、いろんな色の龍魂が見せられたと思うし、もっともっと見せていきたいですね。チャンスは待ってちゃ来ない。あとはお客さんが決めるんじゃないですか。彼には龍魂が有る、もしくは、まだまだって。ジャッジするのはチケットを買って会場に足を運び、配信を見ている全世界の方々が決めることだと思います。龍魂杯を勝ったからって安住の地があるとは絶対ないと思うので。
(スーパードライを飲んで)……キミが笑い、ボクが戦うとき、新たな冒険が始まる。アナタもキミも、それほど長くこの世にいるわけではない。太陽の代わりに雷鳴を、月の代わりに夢を。お腹をすかせた全世界をリードする、キング・オブ・天龍プロジェクト、矢野啓太。以上ノーコメント!ありがとうございました!」

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