試合結果

2023.01.21

2023年1月20日 新木場大会

2023年1月20日 新木場大会

天龍プロジェクト

『WRESTLE AND ROMANCE』 シリーズ第9戦
WRESTLE AND ROMANCE vol.9

2023年1月20日(金)/東京・新木場1stRING



 大会に先立ち天龍プロジェクトの嶋田紋奈代表がリングへ。「皆様、明けましておめでとうございます。少し遅いご挨拶になりましたけれども、2023年もどうぞよろしくお願い致します。“闘会始(たたかいはじめ)”ということで、本年も選手たちが精一杯ファイトしてくれると思いますので、どうぞ応援のほどよろしくお願いいたします」と年始の挨拶。続いて入院中の天龍源一郎より預かったメッセージを発表した。

天龍「天プロファンの皆様、新しい年が始まりました。私はまだ退院することは出来ませんが、プロレスを力にして目標を立て、一歩一歩頑張っております。天プロのリングに上がる選手みんなに声援を送ってあげてください。よろしく!」

 続いて、先日発表された天龍プロジェクト参戦有志選手たちによる発案の2.12「天龍エイド」の追加参戦選手として鈴木みのる、全日本プロレス提供試合として諏訪魔vs田村男児のシングルマッチが発表された。「今年も腹いっぱいのプロレスを楽しんでいただけたらと思います」と礼した代表の後に拳剛が登場。「来たぜ2023!!」とリングに飛び込んだ拳剛は「今年必ず復帰しますから! 復帰の準備してます。みんなの受け入れの準備がどうなんかなと思いましてね、それを確認しにきたんですけど。今年俺、復帰していいのかよ!」と観客に問いかけ、コール&レスポンス。拳剛コール、第1試合に登場する翔太コールの後、最後は天龍コールで会場を暖め、試合へと繋げた。

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▽第1試合/シングルマッチ(15分1本勝負)

○翔太(8分20秒 雁之助クラッチ)新井健一郎●

 約3ヶ月にわたる海外遠征から帰ってきた翔太の復帰戦。迎え撃つのは翔太とタッグチーム“ハッとしてGood”を組んでいた新井健一郎。翔太にとっては帰国後はじめてのシングルマッチとなる。

 翔太が留守の間、アラケンはレイパロマとのタッグ“ジュリーズ”でIJタッグのベルトを巻いている。先にひとりで入場した翔太に対し、後から入場したアラケンはIJタッグ、そしてWAR6人タッグのベルトを手にし、6人タッグのパートナーである佐藤耕平と河野、さらに現パートナーであるレイパロマをセコンドに入場する。

 かつてのパートナーが新パートナーを伴って現れた姿に、翔太は戸惑いの表情。握手の手を差し伸べた翔太に対しアラケンは自軍セコンドと握手する。異なる道を歩んでいることをハッキリ観客にも見せつけた2人、ゴングが鳴ると翔太は感傷を振り切るかのように素早く仕掛けていく。リング中央ヘッドロックでアラケンを捕獲、アラケンが振りほどくとロープに走ると見せかけて止まり、バックエルボーからアトミコ。リング外に逃れたアラケンはセコンド陣へ何やら囁きかけ、翔太のメンタルに揺さぶりをかける。

 ロープでの目潰しからサミングで翔太の目を狙い、トップロープから攻撃を仕掛けたアラケンを翔太がデッドリードライブ。フォールを返したアラケンはリング中央で翔太をコブラツイスト。翔太が切り返すもアラケンはヒップトスで投げ捨てる。翔太は河津落としからブレーンバスター、さらにコーナーからクロスボディ。ダメージと見せかけて切り返したアラケンが片エビ、これはカウント2。翔太が脇固めからクロスフェイスへ。頭を真っ赤にしてロープエスケープを狙うアラケンのもと登場したレイパロマ。レフェリーの注意を惹きつけてアラケンの勝機を作るが、これは翔太が同士討ちへと誘ってパロマに赤っ恥をかかせることに成功。ならばとリング中央でアラケンがDDT、追撃のパイルドライバーを狙う。翔太が切り返すとアラケンはサムソンクラッチ、さらに翔太が切り返して雁之助クラッチ。3カウントを奪った。

 試合後、よくやったとばかりに握手の手を差し伸べたアラケンだったが、今度は翔太が拒否。セコンド陣営を指さし、ベルトを指さすとタッグパートナーを連れてくるとジェスチャーで挑戦をアピールしてみせた。

翔太「僕がアメリカに行ってる間に、6人タッグは知っていた、さらにもう1人別のパートナーを見つけてIJタッグまで取ってるってどういうことですか、新井さん! しかもそれを僕に見せつけるように連れてくるって、どういうことですか新井さん! 分かりましたよ、そうなったら僕はいつでもあなたの対角につく準備はできてます。僕がアメリカでこの4ヶ月どんな経験をしてきたか、他のインディーレスラーには絶対できないような経験をしてきた。今日はそれを1つ、証明しましたよね? もう2つ、3つ、4つ、あなたの目の前で、いやあなたの肩を3カウントつけて奪ってみせます。あなたの持ってるパートナー、ベルト、全てを僕がもらう準備はエニタイム、エニウェイ、オールウェイズ、アイムレディ、そういうことだ、以上!! ごきげんようさようなら!」

新井「ハッハ。今日の試合は勝ち負け関係ねぇ、翔太、アイツも数ヶ月アメリカ行って苦労したかもしんねぇ、今日は翔太の立ち位置を見極められれば俺はそれで良かったんだ。たとえ負けようがな。見極めるというかな、翔太よ、こっち来いよ。今や天龍プロジェクトのタッグ戦線、俺を中心に回ってんだよ。いいじゃねぇか、耕平ちゃんと真幸とサイズが違い過ぎるって言うんなら、ジュリーズとハッとしてGood合体して、ハッとしてジュリーズでも良かったんじゃねぇのか? 最後、4人並んで握手求めたけど、拒否したってことはそういうことだよな。これは2023年、予想の斜めから俺の周辺、動いてるねぇ。これからも目を離すなよ。……最後に一言。……大日本の吉田(和正)はどこで何やってんだよ今?」

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▽第2試合/3WAYマッチ(15分1本勝負)

○梶トマト(10分08秒 片エビ固め)SUSHI●
 ※ダイビング・ボディープレス。もう1人は、菊タロー

 初参戦となった前回の12月大会ではSUSHIにシングルで敗戦した梶トマト。今回の3WAYで勝利し雪辱を果たすべく、ゴング前からハイテンションに会場を盛り上げていく。SUSHIも負けまいと年始から声を張り上げていく。ハイテンションとヘイラッシャイのせめぎ合い、これといって決め台詞のない菊タローはかすれ声の「エイエイオー」で参加する。

 3者が組み合っての力比べ、チョップの応酬。SUSHIをコーナーに飛ばしたトマトが追撃しようとしたところへ菊タローがカンチョー攻撃。12月に続き連続参戦となったトマトの存在に強い警戒心を抱く菊タローとSUSHIは、トマトを蹴落とす作戦に出る。しかしSUSHIがフィニッシュを狙ったところへ菊タローが裏切りの片エビ固め。3カウントを奪おうとしたが、これはトマトが肩を上げる。3WAYというより、第2試合の椅子の奪い合いといった様相となったリング上、トマトが低空ドロップキック。コーナーに上がったところで菊タローがロープ揺らしによる股間攻撃。前後にダメージを食らったトマトへ菊タローがえびす落とし、SUSHIがダイビングヘッド。地獄のコンビネーションと称してのSUSHIのサミングは菊タローへヒット。目の見えない菊タローがSUSHIへDDT、すかさずトマトが追撃し「天龍プロジェクト、最高~!」とアピールしてのダイビングボディープレス。これがズバリと決まり、トマトが天龍プロジェクト初勝利となった。カットに入ろうとした菊タローは転倒。勢いよく顔面を打ったダメージからか、見るからにテンション低く退場した。

トマト「イエェーーーー!! ハイテンショントマト、梶トマトが勝ったぜぇえええええーー! 天龍プロジェクトさん2回目、どうですか! 今年のトマトはもっと熟してるんで、これからも天龍プロジェクトさん、呼んでください! じゅくじゅくーーー!トマトーーーー!」

菊タロー「・・・・・・歯。歯、グラついとるな。何アイツ。おう。トメィトゥ。あいつほんといろんな団体で居場所作りやがってコラ、次こそは息の根を止めて、出る杭を引っこ抜いて、燃やしたるからなオイ。久しぶりに天龍プロジェクト呼ばれたのに、ああいうのが来るから俺が呼ばれなくなるんやろ。これからも新しい芽は摘んでいくから。摘んで除草剤撒いていくから。それだけだ。分かったら出て行け! 出て行けっつってんだろコラァ!」

SUSHI「クソ、新年一発目、幸先悪いなぁ。まぁ、それはいつもか。うるさいわ!! クソ、でもなんや、トマトー! あいつ鼻につくな。リング上で菊さんも言ったけど、アイツは打たなあかんやろ。出る杭は打ったるからな。何? お前じゃ打てへん? そんなん関係あるかーー! なんや、どんと来いや、なんでも来い! てやんでぃ!」

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▽第3試合/6人タッグマッチ(30分3本勝負)

◯佐藤耕平&河野真幸&椎葉おうじ&仁木琢郎(2-1)鈴木秀樹&矢野啓太&児玉裕輔&ドリュー・パーカー●

①○耕平(7分08秒 片エビ固め)児玉● ※パイルドライバー

 赤コーナー陣営はレッドブルーの仁木&椎葉とWAR6人タッグ王者の耕平&河野組、青コーナー陣営は2022年の龍魂杯覇者である矢野啓太、前IJタッグ王者の児玉裕輔、ドリュー・パーカー、そして鈴木秀樹という異色チームの対決。いずれの顔合わせも興味深い8人タッグが3本勝負形式で実現。チームワークの面でも注目が集まる。

 天プロのリングカラー、もしくはレッドブルーを意識してか、黄色いタイツで登場の鈴木が先発。対するは仁木。天プロのリングでは昨年10月に対峙、その際も互いのレスリング技術を確かめ合うような攻防を見せている両者。片足タックルを放った仁木、鈴木はこれを切って首をキープ。すぐに離れた仁木、鈴木は投げを打とうとするが仁木は拒否し投げさせない。タックルから崩しにかかる仁木、鈴木も慎重に対応する。3度目のタックルも切った鈴木、上から体重をかけていく。仁木はすぐさまバックに回りフォールを狙う。体格で上回る鈴木がそれを許さない。上から首を押さえてフォールを狙う鈴木、これは仁木が返す。徹底して鈴木へレスリング対決を仕掛けていく仁木を赤コーナー陣営も許し、鈴木も応える。

 上を取った仁木、フロントから首を取っていく。レスリングの自力で勝負をかける仁木を正面から受ける鈴木。5分経過、鈴木が仁木を低く投げる。手四つから差し合い、赤コーナーで仁木が耕平とタッチ。ならばと鈴木も味方へタッチを要請するが、児玉はハッキリと耕平との対決を拒否。ドリューも鉄柱の後ろに下がってしまい、仕方なく鈴木が対峙。鈴木のエルボーで耕平がぐらつくと、チャンスとばかりに飛び込んだ児玉だったが、待っていたのは耕平のヒザ。児玉の体が宙に浮くと、すかさず仁木、河野、椎葉がリングへ飛び込み青コーナー陣営を抑えにかかる。次いで耕平と河野の合体ブレーンバスター。とどめのパイルドライバーが放たれ、耕平が1本目を奪取する。

②○矢野(8分59秒 Lasso from Bajja California)椎葉●

 倒れた児玉は動かず。ルール上、決着がついた両者でのスタートとなる2本目、レフェリーが意思を確認すると児玉は続行の意思表示。ゴング直後に青コーナー陣営がグロッキー状態の児玉を引きずって帰還させ、ドリューとタッチ。耕平も椎葉にタッチする。

 アームホイップから低空ドロップキックをドリューに放った椎葉、ブレーンバスターを狙うもこれは返されてしまう。青コーナーに捕まったところで矢野がリングへ、自コーナー付近で椎葉を痛めつける矢野。ネッククラッチから腕を取り、椎葉の左腕を封じていく。タッチを受けた鈴木も椎葉の左腕を攻める。椎葉がエスケープで逃れるが、鈴木は再び椎葉をとらえ逃がさない。次いでドリューがリングへ、同じく左腕を攻撃していくが仁木がカット。技を解かせるがドリューもすぐにドロップキックを放って仁木を追い返す。矢野、鈴木、ドリューと、児玉を除く青コーナー陣営がかわるがわる椎葉を関節技で痛めつけ、椎葉のスピーディーな動きを封じていく。とどめとばかりに鈴木が椎葉を捕獲しバックブリーカー。フォールは耕平、河野がカット。椎葉は矢野へドロップキックを放ち自軍コーナーへ助けを求めるも、青コーナー陣営がタッチを許さず、矢野が椎葉の両足をロックしたムイビエンの体勢へ。矢野のLasso from Bajja California(ラッソ・フロム・バハカリフォルニア)でたまらず椎葉がマットを叩き、ギブアップを奪った。

③○椎葉(6分43秒 雲外蒼天)矢野●

 2本目の勝負を決したタイミングで耕平が児玉を再びパイルドライバー。椎葉を救助するための流れではあったものの、ゴング後だったためレフェリーが厳しく注意する。ようやく息を吹き返した児玉が再び眠りにつく中、3本目のゴング。矢野が椎葉を押さえ込んでフロントネックロック。さらにボディへのヘッドバッド、顔面をコーナーに叩きつけられるなど、先ほどのダメージが癒える間もなく攻撃され、タッチを求めることができない。矢野が離れてフォアアームを狙ったところで椎葉がレッグラリアートで反撃。タッチを受けたレッドブルーのパートナー、仁木が突進しまずはコーナーの鈴木に一撃、さらにドリューもなぎ倒して矢野へバックドロップ。矢野はスタンドのハンマーロックから仁木の体勢を崩し左ヒジへ攻撃、ドリューへタッチ。ヒジを抑える仁木、ドリューがビッグブーツから蒼魔刀。カットに入った耕平に対し、青コーナーから鈴木も飛び込んで投げを打つ。続いて河野が入りジャンピングニー、鈴木は組み付くと巻き込むような形でリング外へ。そこへ児玉がコーナーから場外へダイブ。この一撃を受けた耕平はまたしても児玉パイルドライバー。

 3発目のパイルドライバーが場外で放たれる中、リング内は仁木から椎葉へ。椎葉がエルボーから仁木を呼び込みダブルドロップキック。椎葉が抑えるがカウント2、仁木のボディスラム、コーナーへ登った椎葉へ飛び込んだドリューが雪崩式フランケン。アシストを受けて矢野がゆりかもめ。ここで仁木が飛び込み顔面へドロップキック。椎葉が押さえ込みカウントを迫る。仁木が延髄切りでアシスト、ドリューへスイングDDT。リング上、椎葉と矢野の一騎打ち状態から矢野がエルボースマッシュ、椎葉のハイキックで崩れたところへ雲外蒼天(ランヒェイと同型)。椎葉が矢野から3カウントを奪取した。

 3本勝負とはいえ、龍魂杯覇者の矢野からカウントを奪った椎葉をチームメイトが称える。仁木とやりあったドリューはエプロンに上がり額を付き合わせ挑発、ドリューが突き飛ばすもレフェリーが分ける。椎葉はタッグパートナーの仁木とグータッチを交わし、花道を後にした。

耕平&河野&椎葉&仁木「(拍手しながら)やったー!」
椎葉「やった。龍魂杯優勝した矢野啓太から3カウント取りました!(拍手)皆さんのアシストのおかげです。本当にありがとうございます」
仁木「俺たち、今日は四人で組みましたけど、最後2人。レッドブルーは2023年の天龍プロジェクト、もっともっと引っかき回して、まずはタッグのベルトでもなんでも狙っていきましょう。俺たち必ず今年はベルト取ってやりましょうよ」
椎葉「若いエナジーをこの天龍プロジェクトのリングに注ぎ込んで、もっと盛り上げていきます! そして僕らレッドブルーでベルトを掴んでみせます、以上です! ありがとうございました!!」
河野「明けましておめでとうございます」
耕平「今年もよろしくお願いします」
河野「今年もよろしくお願いします」

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▽セミファイナル/4WAYマッチ=次期IJシングル挑戦者決定戦(30分1本勝負)

◯谷嵜なおき(17分33秒 フェイスロック)レイパロマ●
 ※あと2人は、
岩崎孝樹、渡瀬瑞基

 セミファイナルは次期IJシングル挑戦者決定戦。ベルト再挑戦を狙う渡瀬、佐藤光留の首を狙う岩崎、前IJ王者であり12月大会後に佐藤光留への挑戦を表明した谷嵜ら、次期挑戦者候補たちに2022年の天龍プロジェクトで大活躍のIJタッグ王者・レイパロマを加え、4WAY形式で争う。

 第2試合でおなじみの3WAY、4WAYとはまったく様相の違う一戦。選手たちも戸惑う様子で互いを見合う。手探りながら同じダブプロレス所属のパロマと谷嵜が向き合うと、パロマの背後に岩崎、谷嵜の腕を取る形で渡瀬が入り、パロマ・岩崎、渡瀬・谷嵜が対峙。リング上、2つの攻防がそれぞれに展開される形に。その中でパロマへ谷嵜がヘッドロック、渡瀬がパロマへ蹴りを放つと今度は谷嵜が岩崎へエルボー。攻撃しつつも他の選手たちからも注意を放せない。

 弾みをつけたのはパロマ。自分以外の三者へビッグブーツ、エルボー、チョップ。谷嵜はパロマをアームホイップしスリーパーへ。岩崎が蹴りで割って入り、パロマを捕獲。続いて渡瀬がこれをカット、岩崎を伺いながら連携し攻撃。谷嵜がパロマを捕獲、渡瀬はパロマを攻撃と見せかけて谷嵜へ一撃する。

 パロマを標的としつつ、いつ誰が裏切るかが分からない展開。谷嵜と渡瀬がパロマを抑えると、岩崎がカット。岩崎をリング外へ追いやると渡瀬が谷嵜を呼び込んでパロマへ地獄の断頭台。あえてこの攻撃に乗った谷嵜だったが、すかさず渡瀬がフォール。これは岩崎、谷嵜がカット。

 やられっぱなしではいないとばかりに、パロマが谷嵜、岩崎へパロマボンバー。さらに渡瀬へドロップキック。渡瀬もドロップキックを返す。フットスタンプをパロマがかわすと、岩崎が入り渡瀬へ右ミドル。さらに谷嵜も入り、岩崎へヒザ。岩崎は捕獲してキャプチュード。フォールへ入ったところへ渡瀬がセグウェイ、パロマボンバーから谷嵜がカサノヴァ、岩崎がバックドロップ。必殺技の応酬で四者ダウンとなる。

 最初に立ち上がったのはパロマ。ボディアタックを岩崎がかわして自爆。パロマをフルネルソンにとらえたところ、谷嵜が背後からドロップキックを一撃する。渡瀬は岩崎、谷嵜、パロマへエルボー。三人もチョップを渡瀬へ返す。エルボーにこだわる渡瀬の攻撃で展開は渡瀬ペースに。岩崎がキック、谷嵜がヒザとエルボー、ストレート。パロマもエルボー連打で意地を見せるが、渡瀬は鈍い音を響かせてパロマへ頭突きを放つ。

 谷嵜が渡瀬をインプラントに捉えると、岩崎が正面から蹴りでカット。倒れ込んでカウントを迫る渡瀬、パロマが切り返す。そこへ岩崎がニー、渡瀬へバックブリーカー。雄叫びとともに岩崎がテキサスクローバーホールド。パロマボンバーで技を解くと、岩崎がフロントキック。迫るパロマ、ニールキック、渡瀬がジャーマン。さらに垂直落下式ブレーンバスター。渡瀬のチャンスだったが谷嵜が飛び込んでカットし、リバースインプラントへ。

 四者ともにダメージが大きい中、パロマがリング中央で岩崎へ恍惚。渡瀬がエルボーを放つもパロマは技を解かない。谷嵜は後頭部へのカサノヴァからパロマへクロスフェース。さらに渡瀬の足を払い、引き込んで渡瀬のヒザを巻き込む形で極める。四者が絡み合う中、パロマがギブアップし谷嵜が勝利した。

 変則ルールの一戦を制したのは他者に経験で勝る谷嵜。IJシングル次期挑戦権を手にした。

谷嵜「とった。挑戦権、勝ち取った。佐藤光留か那須晃太郎か分からないけども、次、次にIJのシングルに挑戦するのはこの俺、ダブプロレスの谷嵜なおきだ。この挑戦者決定戦に勝利したこの1勝はデカいぞ、デカいぞ。絶対デカいぞ」

パロマ「完全にモードが切り替わってなかった。まだ俺、これ(IJタッグ)取って、こっちに浮かれてたから。また1からやり直し。今日はケツが出なかったから勝てると思ったんだけど、どうもちょっと調子出ねぇな」

渡瀬「0点。のまれた。いつもの闘いができなかった。……いや、谷やんにさせてもらえなかった。悔しすぎる。でもこれが終わりじゃないリングって、俺は何回も味わってるから。一番後ろの列から、一番最初の順番まで飛び級で何回もいってるから。今日は0点」

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▽メインイベント/IJシングル選手権試合(60分1本勝負)

<王者>○佐藤光留(17分20秒 KO)<挑戦者>那須晃太郎●
 ※掌底。第24代王者が4度目の防衛に成功

 3度の防衛に成功し、王者として2023年を迎えた佐藤光留。那須は昨年12月大会でタッグパートナーだった光留へ突然牙をむき、バックドロップを放って挑戦を表明した。かつて佐藤光留に憧れてプロレスラーを志したという那須、両者は過去に那須のデビュー5周年記念で対決。7年3ヶ月ぶり2度目のシングルとなる。

 慎重に右手を差し伸べたのは光留、那須も握り返しすぐに二人とも離す。ゴング、しばし見合った後に前へ出た那須がローからミドル、タックルを放つも光留はこれをしっかり見て切る。掌底を顔面に受けた那須がぐらつく。立て直してコーナーへ光留を押し込むがこれはレフェリーが分ける。

 鋭い掌底が放たれる中、前へ出た那須。バランスを崩したとみせかけてタックル。光留もこれを読んで上になるが、那須は返してアームロック。掌底から腕十字を取られるが食らいついてアンクルへ繋げ、那須が王者から先にエスケープを奪うことに成功する。

 那須が勢いのままにローを連打、光留は足に狙いを定める。那須が強引に顔を張って外しにかかると光留は口から出血、構わずヒザ固め。那須がうめいてエスケープ、ロープに逃れる。対峙しローを効かせた光留、那須を崩して背後から足をロック、ヒザ十字。痛みにうめく那須、光留の背後を取ってロープへ逃れようとする光留を強引にジャーマン。さらに向き合った光留の首筋にハイキック、バズソーキック。

 追撃をしかけようとする一瞬の隙に光留がすぐさま下から巻き込み、腕を取ると水車落としへ。腕十字を切り返して那須が腕十字。伸びきった腕に一瞬タップするような様子を見せたが、クラッチし逃れる。足を伸ばす王者、ロープに届かない。ならばと那須はアームロック。ニアロープながらエスケープは許さず、リストロックへ。苦悶の表情ながらタップしようとはしない王者。腕を引き抜き、エスケープに成功する。

 レフェリーチェックも光留は続行の意思。チャンスを逃すまいと那須は痛めた左腕への連続ミドル、ガードが下がったところへ右ハイキック。この一撃がまともに光留の頭をとらえ、倒れた光留が立てない。カウント9で立ち上がるも那須はすかさず掌底ラッシュ。光留もやり返し、掌底ラッシュからヒザがアゴに入り、ダウンを奪い返す。

 ふらつきながらも立った那須、平手打ちの応酬で競り勝ったのは王者。張り手で倒れた那須、カウント9で立つ。王者もコーナーにもたれて那須が立ち上がるのを見届ける。王者の掌底に気力でやり返す那須。片膝をついたところで光留の掌底がアゴに入り、3度目のダウン。カウント9で立ち上がるも崩れて倒れ、試合終了のゴング。王者がKOでベルトを守った。

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 激戦直後の王者へ迫ったのは谷嵜なおき。激戦を前にいてもたってもいられないとばかりに名乗りをあげる。光留は谷嵜の眼前にベルトを掲げた後、固く握手をかわした。

 防衛に成功した光留がマイクを持ち、挨拶。「那須、那須! 那須くん! 那須くん! (「はい!」という返事)何十年俺に背中を見せてんだよ。今日は天龍プロジェクトのIJシングル、メインなんだよ。いつまでも背中を見せてんなよ。上がってこいよ。(※那須は帰る)あいかわらず那須晃太郎だな。そのまま百年先、またタイトルマッチしようぜ。絶対だからな。那須晃太郎は帰りましたが、次の挑戦者も耳が聞こえない僕の横でいろいろ言ってましたが、2023年最初の天龍プロジェクトです。何だよ、出場選手、他のときはみんな、わらわら来るのによ。みんな集まってくれよ。
(本日出場の全選手がリングへ)リングに上がったらみんな明日を捨てた、今を生きる天龍プロジェクトの選ばれしメンバーですが、今年も誰ひとり欠けることなく、実力で蹴落とすことはあっても、誰ひとり欠けることなく、今年も来年も100年先まで天龍プロジェクトは生き残っていきます。先頭は誰にも譲るつもりはないです。ただここは僕らの帰る家であり、そして天龍さんの帰る場所です。これはもう命がけで、もっともっと大事なものを賭けてこのリングを守っていくんで、これからももし良かったら見に来てください。
今日だけは俺がエイエイオーでしめます。なぜならもう口の中が血の味しかしないからです。今年も帰ってきたって感じがするぜ。皆さんは血の味がしないかもしれませんが、血の味がするつもりで腹の底から叫んでください。今年もよろしく! エイエイオー! エイエイオー! エイエイオー!! ありがとうございました!!」

佐藤光留「あけましておめでとうございます。今年も血の味がします。」
ーー2023年も天龍プロジェクトらしい、ごつい試合で幕開けとなりましたが
「天龍プロジェクトらしいんですかね。ついつい那須晃太郎らしくなっちゃって、悔しいですね。まさか那須晃太郎にこんな悔しい思いする日が来るとは思いませんでしたね。それも天龍プロジェクトの磁場なんだなと思います。自分で作った磁場ですからね。喜ばしいやらムカつくやら」
ーー那須選手の磁場にも引くつもりはない?
「そりゃそうですよ。そりゃそうですよ、誰か家に来たら家明けます? 自分ちですよ。戦うしかないんですよ。どんなにネットで情報調べられて、法律で誰かが守ってくれるって言っても、プロレスのリングは戦うしかないんですよ。それで勝ち取る、負けても這い上がる、それが“WRESTLE AND ROMANCE”ですよ。いつまでも佐藤光留にそんなこと言わせているようじゃ面白くねぇってやつは、取りに来てほしいですね」
ーー佐藤光留選手にとって、このリングは家のような感覚?
「今日もすっごい緊張感で、去年の天龍プロジェクトの年内最終戦で僕、欠場したんですよ、あの時の怪我が原因で欠場したんですよ。でも、そこから復帰していろいろあったんですけど、やっぱり帰ってきたときに緊張しましたね。でも、緊張はいいんじゃないですか。緊張代行、いないでしょ。退職代行があっても、緊張は代わってくれる人いないでしょ。誰かに緊張代わってもらうために頑張ったんじゃないでしょ。緊張も喜びも悲しみも全部、自分のものですよ。このリングじゃ。それがプロレスですよ」
ーー次の挑戦者は谷嵜なおき選手
「もうね、目が見えないし耳も聞こえないから。谷嵜さんかどうかも最初わかんなかったんですよ。あれ、やべぇ客だと思ったんですよ、短パンはいてるし。よくみたら谷嵜さんだったから。どこでやるのか分からないけどね、やってやりますよ。年100試合やってやりますよ。天龍プロジェクトでIJ賭けて。足りなくなったら150、200、300、1000、なんぼでもやってやりますよ。僕は天龍さんとは違う人間なんで。僕は僕の方法でお客さんをお腹いっぱいにする、それが天龍プロジェクトにいる人間のやることですよ。天龍さんのモノマネするためにいるんじゃないから。そんなやつ、天龍さん一番悲しむでしょ」
ーー画面の向こうで見ていると思うが
「いや悔しいですね。那須晃太郎、意外といいじゃないかって思われたら悔しい。でも、このベルトがあるかぎり魅力的な相手が魅力的な戦い方しながら僕の前に現れるんで。命燃やしたいですね。貴重じゃないですか、命。燃えてなくなるのは嫌でしょ? だからロマンスですよ」
ーー2月12日の天龍さんエイドは佐藤光留選手が旗振り役となったが
「でもね、今日のリング見てたら分かると思うんですけど、一歩も引かない。旗振りは佐藤光留にまかせたけど、(他の選手は)全然俺の言うこと聞かない。旗振り役が山ほどいるんですよ。でも、困ってもいいんじゃないですかね。コイツは困ったもん作ったなって。これはちょっと俺が怒鳴り込んで説教しねぇとって。それもエネルギーですから」

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