試合結果

2023.02.17

2023年2月16日 新木場大会

2023年2月16日 新木場大会

天龍プロジェクト

『WRESTLE AND ROMANCE』 シリーズ第10戦
WRESTLE AND ROMANCE vol.10

2023年2月16日(木)/東京・新木場1stRING



 試合に先駆け、いつもより若干厚着の売店部長・拳剛がリングへ登場。「本日も非常に寒い中、新木場1stリングへお越しいただきありがとうございます!」と挨拶。自身は欠場中でもう少し復帰は先になることと、今日も声出しOKの大会であることをアナウンスし、1試合目の田村男児と吉田和正の試合からコールを行ってほしいと観客に要請。観客の声援を確認すると「最後まで楽しんでいってください!!」と声を張り上げ、リングを後にした。

 また、第5試合に出場予定だったドリュー・パーカー選手が昨日負傷したため欠場すること、代わって進祐哉選手が参戦することがリングアナより発表された。

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▽第1試合/シングルマッチ(15分1本勝負)

○田村男児(9分29秒 片エビ固め)吉田和正●
 ※デスバレーボム

 第1試合で全日本プロレスの田村と大日本プロレスの吉田が対決。両者は天龍プロジェクトの7月大会でも対峙し、この時は田村が逆片エビで勝利している。前回よりも強くなった自分をアピールし、勝利を掴むべく積極的に前へ出て田村のリストを取り、腕を極めていく吉田。田村は吉田をヘッドロック、ロープに走るとショルダータックル。吉田も踏ん張り逆に田村を倒すとバックエルボー。ブレーンバスターを放つ吉田、田村は着地しガットショットからDDT。突き刺すような吉田のエルボーに田村もエルボー。ネックブリーカーからキャメルクラッチで吉田を痛めつけていく。

 吉田は足を伸ばしてエスケープ。田村が対角線コーナーに吉田を飛ばすと、吉田はその反動を利用して体当たり。突進してのバックエルボー2連発、ショルダータックルで反撃する。吉田のエルボーに田村はアッパーカットエルボー、コーナーからダイビングアタック。デスバレーを狙うが吉田が抵抗、ならばと田村はエルボー。吉田もエルボーを打ち返す。激しい打ち合いにぐらついた吉田、手数で上回るべく連打を放ちスパインバスターへ。さらにバックドロップで田村をマットに叩きつける。

 エルボー、ラリアットの打ち合いから田村が吉田をラリアットでなぎ倒すとデスバレーボム。吉田の奮闘を受けきった上で田村が底力を見せた。

田村「今日、天龍プロジェクトに参戦させていただいて相手、大日本の吉田選手とシングルやりましたけど、まだまだ負けられないなと思います。そして今、天龍さんはいないということですけど、なぜEvolutionがあるかというと、天龍さんのRevolutionがあって、いまEvolutionがあると思うので。だからこそ僕はこれから、Evolutionとして暴れ回っていきたいと思います。以上です」

吉田「久しぶりの天龍プロジェクト、3ヶ月くらい呼ばれなかったから、もう飽きられちゃったのかなってと思ったけど、やっぱりここは俺のホームだと俺は勝手に思ってるんで。だってデビューしてから2ヶ月経たずに呼んでもらって、それってもう生え抜きみたいなもんじゃないですか。だからここに出続けるためにも、もっと今日みたいのじゃダメ。もっと力付けて、僕が背負っていきますんで。よろしく御願い致します」

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▽第2試合/シングルマッチ(15分1本勝負)

○新井健一郎(10分10秒 片エビ固め)SUSHI●
 ※パイルドライバー

 SUSHIがこの日迎え撃つのはIJタッグ&WAR6人タッグ王者のアラケン。両者はつい先日の『天龍祭』バトルロイヤルで対決、最後に残った2名として激突も、アラケンが回転エビ固めで丸め込み勝利している。右手を差し出して握手を求めるアラケンに対し、SUSHIは全く応えようとせず。ロックアップで組みあった両者、ロープ際で体を入れ替えたアラケンがトップロープを利用してSUSHIの左腕を攻撃。SUSHIは強引にアラケンをマットに叩きつけて解く。

 リストを取ったSUSHI、パンチを放とうとするも痛めつけられて出せず。しつこくSUSHIが攻め続け、徐々にアラケンのスタミナが奪われていく。モンキーフリップで投げられるもリストを放とうとしないSUSHI。徹底した一点責めを続けるSUSHI、アラケンが試合を自分ペースに持ち込めない。

 いったん左腕を離すとエルボーを落とすSUSHI。アラケンはロープから帰ってきたところをとらえてコブラツイスト。さらにレフェリーのブラインドでロープを使い、ダメージを増幅させる。反則に怒ったSUSHI、アラケンの命乞いにも全く応えようとしない。揺さぶりが効かないとみるや、アラケンはダブルスレッジハンマーをうっかり?レフェリーに誤爆させる。

 レフェリーがダメージで倒れる中、SUSHIはアラケンをアームロック。痛みにアラケンはタップ、……もダメージが深いのレフェリーはこれを確認しておらず。SUSHIはやるせないニールキックからラリアット、コーナーからのフィニッシュを狙うもアラケンは場外へ逃走。場外追いかけっこから素早くリングに戻ったのはアラケン、戻り際でアラケンがSUSHIをとらえてパイルドライバー。この一撃でアラケンが勝利を奪った。

アラケン「天龍祭の2月12日と16日、今日? 今週2回続けてSUSHIと絡むって、なかなかの精神的な重労働だぞオマエ。まぁアレだよ、SUSHIよ。オマエ確かになんか俺、ずっと腕攻められて、アームロック極められてギブアップしたと勘違いしてんのか。じゃあオマエ、天龍プロジェクトで2本のタッグのベルト持ってる俺がよ“万年第2試合”のオマエにギブアップするわけねぇだろ。あれはな、オメェのその生臭ぇ体臭にハエが寄ってきてな、それをはたいてただけだよバカヤロー。テメェのSUSHIは生臭くってしょうがねぇ。もう2度と、俺の前に現れるんじゃねぇぞ」

SUSHI「アラケン! 汚いことばっかりしやがって。ギブアップしたやんけオマエ。途中ギブアップしたやろ、こうやって。だから離したのにオマエ。なんやのオマエ。おいアラケン、毎回毎回汚い手で勝ちやがって。どこまででも追いかけたるからな。オマエの持ってるベルトもあるやろ、それも賭けろ! 獲ったるから! くそ、気ぃ済まんなぁホンマに、くそ、悔しい!」

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▽第3試合/6人タッグマッチ(30分1本勝負)

◯児玉裕輔&河野真幸&羆嵐(15分14秒 エビ固め)佐藤耕平&渡瀬瑞基&レイパロマ●
 ※河野のシャイニングウィザードから丸め込む

 児玉・河野・羆嵐はWRESTLE-1のテーマで一緒に入場、W-1軍の絆を見せる。両軍見合った状態からパロマが児玉へ出てこいと挑発するが、児玉は応えず。下がった児玉に代わり河野と渡瀬でのゴング。後ろを取った河野、渡瀬の腕をねじり上げる。さらにグラウンドへ持ち込もうとするが渡瀬は立ち上がり逃れ、組み付くと腰を押し込むようにして赤コーナーへ、耕平にタッチ。耕平は河野ではなく児玉を呼び込む。

 1月大会でも6人タッグで耕平と対峙し、パイルドライバー連打葬となった児玉は警戒し、リングを一周。強引に羆嵐とタッチ。羆嵐は熊さながらのパワーで耕平をヘッドロック。動きを止め、振りほどこうとする抵抗も構わずに締め続けるが、ロープに振る形で技を解く。有利とみた児玉がタッチしリングイン。しかし耕平はすぐさま復活、すぐに児玉をヒザ蹴り。耕平がパイルドライバーの体勢に入ると、あわてて羆嵐がカットする。

 パロマと児玉が対峙。組み合うと早々にロープへ押し込まれ、コーナーで早速股間を押しつけられてしまう児玉。IJタッグ陥落の悪夢が蘇る中、青コーナーへ引きこみ羆嵐へ繋ぐ。パロマも渡瀬へタッチ、果敢に投げるぞと宣言する渡瀬だが、さすがに無理があり逆に投げられ、セントーンを浴びせられてしまう。

 渡瀬は正面からチョップを放つが羆嵐は微動だにせず。踏みつけられてさらにダメージを負う渡瀬。愚直にエルボーで攻める渡瀬へ羆嵐はニヤリと笑ってエルボー。負けん気の強さを見せ、手数で上回った渡瀬、しかし至近距離からのラリアット。倒れたところをブレーンバスターに持ち込むが、渡瀬がこれをはねのけて逆ブレーンバスターを成功させる。

 すかさず耕平、パロマが入り串刺し攻撃からパロマのスワントーンボム、渡瀬のフットスタンプ。連携でクマ狩りにかかった赤コーナーだったが羆嵐もバックブリーカーで渡瀬へさらに追撃。羆嵐が河野にタッチすると渡瀬はランニングニーをかわしてドロップキック。渡瀬からタッチを受けたパロマはニールキック、かつごうとするも無理がありニーリフトを喰らってしまう。羆嵐、児玉が入りパロマへラリアットから河野のエルボー、児玉がトラースキック。カットに入った耕平がパイルドライバーを狙うが、これはクロスボディで羆嵐がカット。

 リング上、試合権利は児玉とパロマ。エルボーの打ち合いからパロマの放ったヘッドシザースでタイツが下がり、パロマのお尻がむきだしとなるアクシデントが勃発。気づかないパロマは串刺しのパロマボンバー。羆嵐が飛び込みラリアットでアシスト、児玉がブレーンバスター。児玉が悪夢を振り払うようにマッドスプラッシュを放つが、かわされてしまい自爆。またしても児玉の顔面に襲いかかるパロマの生尻。恍惚へ繋がれ、IJタッグの悪夢再来という場面から河野がシャイニングウィザードでパロマを打ち抜く。ギブアップ寸前の児玉が正気に戻って丸め込みに成功、勝利を手にした。

 勝利した児玉はマイクを持ち「おいちょっと待て、2つ言わせてくれ。1つ、佐藤耕平どこだ。児玉裕輔をおもちゃにしすぎ」とまず最初に抗議。その上で「2つ目、レイパロマ。俺が谷やんと持ってたベルト、そのケツの悪夢で落としてしまって、まだ悪夢から覚めてねぇ。今日も多分眠れない。まだ悪夢から覚めない。リベンジだ。谷やんと組んでオマエのケツの悪夢を終わらせてやるからな」と、前王者である谷嵜とのタッグでIJタッグ再挑戦をアピールした。

児玉「言いたいことが2つ。1つ目、佐藤耕平、俺を、児玉裕輔をおもちゃにしすぎ。何の恨みがあるんだ、パイルドライバーばっかり狙いやがって。2つ目、今日もくらったけど、あのケツの悪夢のせいでこっちはベルト落としてる。今日はくらったけど、一本返したぞ。谷やんと組んで、もう1度あのベルトに挑戦する。それだけ。くまやん。くまやんじゃない、羆嵐」
羆嵐「天龍プロジェクトの皆さん、はじめまして、羆嵐です。はじめて上がらせてもらったんですけど、相手にいる渡瀬選手。あんなすごいエルボー打つ選手だとは思わなかったんで。でももっともっとこの先、やりたいですね。シングルとかもやりたいなぁ。それと河野さん、この団体ってベルトがあるらしいですね?」
河野「あります。シングル、タッグ、6人タッグと3つあります」
羆嵐「ベルト。ベルト……いいですね。今後も継続参戦、してもいいですか?」
河野「それは天龍さんの娘さんの嶋田紋奈代表に。コメント見るから言っておいたほうがいいよ」
羆嵐「ベルトも視野に入れて、今後もお邪魔させていただきます。よろしく御願いします」

耕平「負けたうちに入らないでしょ、今日のは。いろいろ言われてましたけど」
パロマ「あんなの児玉に負けたわけじゃないから。児玉、2つ、俺からも2つ言っておいてやるよ。いいか。2度あることは3度ある。そしていいか、チャンピオン挑戦だと? 俺はケツを洗わずに待っておくからな!」
耕平「ケツは洗ったほうがいいじゃないんですか」
パロマ「いや、洗わないほうがいいっすよ」
耕平「渡瀬、おまえ面白そうな相手見つけてたな」
渡瀬「このリングはいつでも楽しい相手を当ててくれますよ。羆嵐、またいつでも、どこでもやってやりますよ」
耕平「同じくね、俺は児玉をおもちゃにしてたわけじゃない。次は突き刺すから、しっかりと。まぁとりあえず、今日は負けたうちに入らないから。リセットして次、頑張りましょう」

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▽第4試合/シングルマッチ(30分1本勝負)

◯岩崎孝樹(16分25秒 バックドロップホールド)那須晃太郎●

 前回大会で王者・佐藤光留の持つベルトに挑戦も敗れた那須、佐藤光留狩りに闘志を燃やしベルト挑戦を熱望する岩崎の対決。ゴングが鳴ると静かに互いを見合い組み合う。腕の取り合いから踏み込んで足を取ったのは岩崎。切り返した那須は足から首、バックを取ろうとした那須に立ち上がる岩崎。互いを見合う。

 岩崎のインローが内ももに入り、那須が悶絶の声。続いて岩崎がフロントキック、さらに背後へ回りスリーパー。那須は苦しい表情、足を伸ばしてロープエスケープ。那須はエルボー、岩崎のローに那須もローを返す。互いに蹴りを得意とする者同士の蹴り合い。那須が競り勝って岩崎を崩し、アキレス腱固めへ。那須も岩崎からエスケープを取り返す。

 那須が岩崎の背中へローキック。さらにレッグロックで再び岩崎からエスケープを奪う。さらにボディへのローキックで岩崎がダウン、追撃の蹴りを放つ那須だったが岩崎はこれをとらえてキャプチュードへ。蹴りで那須の体をうかせ、反撃へと転じていく。

 那須は棒立ちと見せかけてミドルキックを誘い、岩崎の蹴り足をキャッチしてヒザ十字固め、さらにアンクルホールド。岩崎の足にダメージを与えてボディへミドル、ランニングローキックへつなぐが今度は岩崎がキャッチ。テキサスクローバーホールドで那須を捕獲する。一瞬那須の手が空を切ったが、粘ってエスケープ。

 岩崎は首相撲の体勢からヒザ、那須はかわしてレッグボンバー。ともに立ち上がれず、レフェリーは両者ダウンと判断しカウント。先に立ち上がったのは那須、蹴りを受けた岩崎も蹴りを返す。蹴りでの会話から岩崎はフルネルソンスープレックス。那須はジャンピングハイキックで返答。2度目の両者ダウン。カウント9で岩崎が立つ。

 エルボーの打ち合いから岩崎がフロントキック、那須がヒザへの低空キック。倒したところを那須がクロスヒールホールド。逃れられないとみて横面を叩くが、那須は解かない。エスケープしたところへPK、返されるとバズソーキック。これも岩崎は返す。

 強引に立たせてバックドロップを狙うが、岩崎は抵抗、ハイキックをかわされると逆バックドロップ。胸板へのローキックからツイスターのフォールは那須が意地で返すも、バックドロップホールドで岩崎が那須を沈めた。

 激闘を制し、右手を差し出す岩崎に那須も答える。前回の挑戦者をシングルで下した岩崎はリング上でベルトのジェスチャーを行い、佐藤光留の持つIJシングルのベルト挑戦の意思表示を行った。

岩崎「なんだよ那須晃太郎。頭バカスカ蹴ってきやがって。ただでさえ頭悪いのに、さらにバカになっちまうじゃねぇか。ただこのあとメイン、一番バカなチャンピオンがいるんだろ、あの野郎いつまでも偉そうにしやがって。あの一番のバカを必ず引っぺがしにいってやるよ。偉そうにしてんじゃねぇ、次は俺だ。一番バカなチャンピオン、待っとけ」

那須「彼がデビュー2、3戦目くらいの時に1度シングルしたっきりで、そこから関わることもなかったんですけど、岩崎孝樹、めちゃくちゃ強かった。蹴りのレベルが自分の比じゃないくらい強いです。投げもある、体もある、ガッツもある。今の自分は何もあの若い子に勝ってないと思います。『WRESTLE AND ROMANCE』ツアーで久々に復帰したわけですけど、あと2回、最後の『WRESTLE AND ROMANCE』で絶対勝てるように練習してきたいと思います。今日はもう悔しいとかじゃなくて、負けて当たり前の試合でした。ありがとうございました」

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▽セミファイナル/タッグマッチ(30分1本勝負)

◯椎葉おうじ&仁木琢郎(21分18秒 雲外蒼天)進祐哉&矢野啓太●

 矢野とタッグを組む予定だったドリュー・パーカーが負傷により欠場、急遽参戦が決定したのは進祐哉。進は1年2ヶ月ぶりの天龍プロジェクト参戦となる。第2回龍魂杯の覇者、矢野はこの日対戦相手の“レッドブルー”を意識してか、赤と青のショートタイツ。進は入場し椎葉を睨む。

 先発は進と天龍祭でザ・グレート・サスケからシングル勝利を奪った椎葉。手の取り合いから後ろを取る椎葉、すぐに進が取り返して手を取り背後へ、サイドから椎葉のリストを取り、自軍コーナーへ引き込む。

 矢野が背を叩く形でタッチ。しかし椎葉はタッチ後も進へ向かっていく。レフェリーが制して分け、椎葉が矢野に向き合う。組み合い回転すると椎葉の手を決めたのは矢野、椎葉はコーナーに詰めて仁木にタッチする。タックルしグラウンドへ持ち込む矢野、仁木も切り返しを狙うが矢野はアームロック、すぐに仁木はロープへ足を伸ばす。スタンドからハンマーロックにとらえたのは仁木、フライングメイヤーには行かせない矢野、腕を取り返して固定したところでタッチ。進はロープへ走ると見せかけてヘッドロック、仁木は突き放すように振りほどくとドロップキック、椎葉にタッチ。2人がかりでのダブルドロップキックを決める。

 進の動きを止めたレッドブルー、椎葉のチョップに進は顔面かきむしりからボディスラムを放ち矢野へタッチ。チョップ連打に矢野は足をかけて倒しヘッドロック、同時に腕を固める。フォールを迫る間にも肩固め、ヒザを使ってのチョークと細かく椎葉へダメージを蓄積させていく。ミドルを放つ椎葉、ヒザ裏にローキック。崩すと右腕と左腕を固めた状態で痛めつける。救出に入った仁木を進が場外ボディスラム。

 矢野が進と息の合ったコンビネーションを見せてねちっこく椎葉の左腕を攻める展開が続くが、椎葉はドロップキックを叩き込んで帰還成功。仁木が串刺しエルボーから矢野が座り込んだところへ低空ドロップキック。長く赤コーナーペースだった試合をなんとか返したいレッドブルー。バックドロップで動きを止めるも、矢野はフライングメイヤーから顔面攻撃を仕掛けて進にタッチ。

 進がDDTから腹固め。椎葉がこれをカットし救助、仁木はロープを使ってのスイングDDTで進をなぎ倒すと椎葉がレッグラリアット。ステップ式延髄からフィッシャーマンバスター。進はショルダースルーから矢野へタッチ。

 反撃も矢野はアームバー、固定しての踏みつけと左腕攻めは止まない。変形卍固めからグラウンドへ、さらにゆりかもめへ。仁木のカットも進が制止し、ここまでかという場面でようやく仁木が進を振りほどき、カットに成功する。

 矢野がアッパーカットエルボー連打。左腕をだらりとさせた椎葉は打たれるばかりに。仁木が入りスープレックスを狙う、椎葉のレッグラリアットから仁木がジャーマン。最後は椎葉が雲外蒼天で勝利を手にした。

 厳しい攻めをタッグの絆で切り抜け、勝利してマイクを持った椎葉。

「よっしゃ! 龍魂杯優勝者の矢野啓太に2度目の勝利をあげました。あんまり喋るの得意じゃないんで、代表、単刀直入に言わせてください。僕らレッドブルーでIJタッグ、次期挑戦させてください。よろしく御願いいたします!! お客さん、どうですか!!」

 嶋田紋奈代表は観客の反応に委ねる返答。「お客さん、どうですか!!」の椎名の呼びかけに、観客は拍手で返す。「ありがとうございます。よっしゃ! 仁木! IJタッグ、獲ろうぜ!!」と、ハッキリ挑戦表明を行った椎葉と仁木。前王者の児玉&谷嵜組も名乗りをあげているだけに、タイトルマッチの行方はどうなるか。王者であるレイパロマ・新井健一郎両名の回答及び、天龍プロジェクトとしての判断は後日、正式に決定の後発表される。

「おいおい、代打で呼ばれたんじゃねぇんだよ。天龍プロジェクト? 全然顔ぶれ違うじゃねぇかよ。せっかく来たんだ、これこれ。(ベルトがプリントされたタオルを掲げ)狙うもん狙わしてもらうわ」

椎葉「よっしゃー! 龍魂杯覇者である矢野啓太から今日も2度目の3カウント取りましたー! やったー!! この勢いのまんま、俺と仁木のレッドブルーでIJタッグのベルト、新井健一郎、レイパロマ!獲ってやるからな、覚悟しとけよ!!」
仁木「2回も勝ったんだ、文句ないでしょう。そろそろレッドブルーとして形ある結果ほしいですね。次に俺たちがタッグのベルト獲って、この天龍プロジェクトのリング、かき回してやる!」

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▽メインイベント/IJシングル選手権試合(60分1本勝負)

○<王者>佐藤光留(24分27秒 変形ヒールホールド)<挑戦者>谷嵜なおき●
 ※第24代王者が5度目の防衛に成功

 動かない光留にジリジリと距離を詰める谷嵜。踏み込み、片足タックルを放った光留に対し、切って逆に後ろを取ろうとする谷嵜。グラウンドへ引き込もうとする光留、谷嵜は慎重に対応しヘッドシザース、踏み込んだ光留がサイドへ回り袈裟固め。体勢をずらしながら立ち上がりフライングメイヤーへ繋ごうとする谷嵜、光留はそうはさせまいとロープ際へ、レフェリーが分ける。

 谷嵜は組み合うとすぐにココナツクラッシュ2連発、不意を突かれた格好の光留はエプロンへ一旦逃れる。リングへ戻ったところをストンピング、腕を取って河津落とし。すぐに組み付いてスリーパーへ。ロープに足を伸ばすも外に出ず、エスケープできない。

 ヘッドロックで絞り王者のスタミナを奪っていく谷嵜。光留は左足をとらえニークラッシャー。谷嵜の苦しい表情に光留は再度ニークラッシャー、追い打ちでローキック、ストンピング。さらにソバットを左ヒザへ放ち、ロープを使っての足攻めも絡めて徹底し谷嵜を止めていく。

 リング中央、スタンディングでのクラッチからクロスヒールホールド。谷嵜の動きを封じる左ヒザ攻めが続く。負けじと谷嵜は光留のバックエルボーに合わせたカウンターのレッグブリーカー。ボディスラムで光留をマットに叩きつけ、串刺しのニー。

 追撃を狙った谷嵜が対角線上を走ると光留はキャッチしてヒザ十字。谷嵜も蹴り足を掴み、セカンドロープに光留を固定して地獄の断頭台。流れを変えたい谷嵜、インプラントを狙いに行く。ストレートから走って追撃を狙った谷嵜、光留は担ぎ上げてマットにヒザを叩きつける。

 光留が「投げるぞ!!」と宣告してからの水車落とし、エルボー連打からデスバレーボム。カウントを返すとすぐさまアンクルホールドで左足を捕獲。振りほどこうとするとヒザ十字。それでもギブアップしない谷嵜、張り手、ボディへのパンチを連打し強引に技を解く。

 立ち上がった両者、光留がエルボー。谷嵜も返す。打ってこいと顔を突き出す王者、谷嵜が打つと光留が返しかち上げのヒザ。光留は延髄からハイキック。前のめりに倒れた谷嵜を光留が引き起こし、頭突きを放とうとしたところへ谷嵜がヒザ。

 再度、地獄の断頭台を狙いに行く谷嵜。光留は固定を解いて谷嵜を持ち上げ、雪崩式ブレーンバスターを狙う。谷嵜は抵抗しエルボー、痛むヒザを叩きつけるように放ってマットに落とし、カサノヴァ。ヒザへ執拗に攻撃を加える光留をクロスフェース。ロープへ手を伸ばす光留をさらに引き起こす。光留は体を起こして谷嵜の背をつけ、フォールを迫って技を解く。

 リバースインプラントからフォールも光留が返す。再度のインプラントボムも執念で光留が返す。持ち上げたところをドラゴンスクリュー、もう一度アンクルホールド。バックドロップをあびせてつぶす。執拗に左足攻撃、ギブアップしない谷嵜。顔面蹴りも外さず。右足も固められてクロスヒールホールド。谷嵜がマットを叩き、王者勝利のゴングが打ち鳴らされた。

 児玉が駆け寄り、パートナー谷嵜の足を労る。ロープにもたれて立ち上がり、ベルトを手にした佐藤光留。勝ち名乗りを上げるもダメージは大きく、座り込む。ベルトを手に谷嵜のもとへ歩み寄り、手を差し伸べて握手、手を引いて立たせると一言、二言会話をかわし、離れた。

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 マイクを持った王者。

「谷嵜さん。谷嵜さん。一言だけ。ありがとうございました。はじめて会ったときから、やらしい女の話ばっかりしてた、でも、この痛みの伝わりすぎる天龍プロジェクトのメインで闘えて、何もかも忘れるくらい面白かったです。今日は勝ったけど今日のことなんか明日は忘れてるから、またやりましょう。
……何で俺が勝った時だけ誰も上がらないんだよ。『WRESTLE AND ROMANCE』、ベルトを持っているヤツはたくさんいるけど、今日も結局、佐藤光留がマイクを持つ。俺は誰も見ていないところでずっとそれが悔しくて、いま人生の頂点にいるよ。いつでも、誰でもかかってこい。ちょっと大きい人はダイエットしてジュニアになってからだったらいつでも受けるよ。よく、龍の魂とか闘魂とか、勝手なこと言うやついるけど、そんなの調子のいいときだったら誰でも言えるんだよ。もううしろ、崖っぷち、誰も助けてくれないところで魂ってのは輝くもんだから。それがあるヤツ、全員かかってこい。俺が全員ぶっ倒してやる!
 もし会場を出て何か追い詰められたことがあったら、いつでも天龍プロジェクトのことを思い出して。きっとみんなの、きみの、きみの、きみの魂に火が付くはずだから。大きい声だしていくよ! エイエイオー! エイエイオー! エイエイオー! 今日はありがとうございました!!」

光留「どいつもこいつも、天龍プロジェクトに出れば龍の魂だ、龍魂だ、どっかのリングもそうだろ。黒いパンツ履いたら闘魂かよ。俺の近しい人が言ってたよ。一緒だよ。どいつもこいつも名前だけ欲しがってさ。違うだろ。商標登録の奪い合いしてんじゃねぇんだよ。元気な時は、誰だって言えるんだよ、好きなこと。追い詰められたとき、カウント2.9のとき、ちょっとだけ火が付くんだよ、魂っていうのは。どいつもこいつも、試合もしねぇで、ウォーミングアップしてストレッチして、ウェートトレーニングで筋肉張っただけで魂に火が付いたとか言ってねぇか。違うから。追い込まれて追い詰められたとき、もうダメだって思ったときだけ、魂に火がつくから。
 天龍さん、現役引退したのに魂、火つきっぱなしだと思うけど、元気になってほっとできるようになったらまた、リングで『このままじゃいかん!』って思う試合、山ほどやって。痛み伝わりすぎて、魂に火つけるんで。待ってますよ。

ーー挑戦者にもその魂を求めるか
求めるっていうか、自然とそうなっていくもんじゃん。なんで普通の試合もタイトルマッチもこの世にはあるの。バトルロイヤルもあって、今日だってSUSHIがグダグダ言って、若手の試合があって。なんでタイトルマッチがあるの? そういうことでしょ。この試合だけ、特別だからだよ。そのなかで特別なもの見せなきゃダメだからだよ。だから追い詰められて魂に火が付くんだよ。もしかしたらメインイベントだけかもしれない。毎回毎回火が付いてたらそれは火が付いてる風だから。場所だってそうだし、シチュエーションだってそうだし、引きよせるのも運だし。それも実力のうちだし、誰だっていいっすよ。必ず、火を付けてやるよ。意味は自分で作るもんですよ。その中で、選ばれた人間だけがチャンピオンになって、メインのあとにコメントを出せるんです。作れないやつがプロレスやるべきじゃないしね、そう思います」

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